薬剤師道一直線

アメリカ合衆国の大統領選挙に、バラク・オバマ氏が当選した。初のアフリカ系アメリカ人の大統領になる。そのオバマ氏の演説で最も有名なフレーズといえば、「Yes, we can 」であろう。直訳すれば「私たちはできる」となるが、この言葉の主語はwe 、すなわち「私たち」である。私たちが主役である、ということを強調している。
さて、ここで問題を一つ。既に医療現場で広く使われている言葉「informed consent」を、あなたならどう訳すか。一昔前なら「説明と同意」と訳す人もいたであろうが、今なら「医学的処置や治療に先立って、それを承諾し選択するのに必要な情報を医師から受ける権利」(広辞苑)となる。
では「informed consent 」を、本来の意味に沿って主語を付けて訳すとしたら……。その主語は、医師なのか薬剤師なのか、はたまたほかの医療関係者なのか。
それらの答えは、すべて不正解である。この場合の主語は、患者さんでなければならない。医療における主役は、いついかなるときも、患者さんなのである。そのことを忘れると、医療の本道を見失うことになる。医療が高度化・専門化し、いかに高度な教育がなされようとも、こればかりは「Change 」できない。いや、してはいけないのである。
さしずめ「informed consent 」の薬剤師版訳は、「患者さんが、薬剤師から薬物療法について丁寧で詳しい説明を受け、納得をした上で、薬剤師とともにどのような薬物療法に取り組むかを決めること」とでもなろうか。そうした手順を踏まえた上で、薬剤師は患者さんに対して決意表明をする。「どんなことがあろうと薬剤師である私は、あなたとともに最善の薬物療法を実現します。私たちには、それができます」と。
そう、まさしく「Yes, we can 」なのである。
(結城 真吾)
- 薬剤師道一直線に進むべし
- 薬剤師の原点に立ち返るべし
- 「礼」と「間合い」を習得すべし
- 最後まで、気を抜くべからず
- 薬剤師、美学を持つべし
- 薬剤師たるもの体を鍛えるべし
- 顔に責任を持つべし
- 離れて物事を見るべし
- 「理想の上司」となるべく精進せよ
- 身近な人にまず認められよ
- ラストサムライの心意気を見せよ
- 肩書を捨て実力で勝負せよ
- 薬剤師たる覚悟を新たにせよ(後)
- 薬剤師たる覚悟を新たにせよ(前)
- 薬剤師に休息の時はなし
- 患者とともに歩め
- 分け隔てなく患者に接せよ
- いつも患者のそばに立つべし
- 非常時を想定し鍛錬せよ
- 10年後の自分を思い描け
- 最高責任者として行動せよ
- 環境問題を考え行動せよ
- プロに言い訳は禁物
- たかが挨拶と侮ることなかれ
- 日々の仕事こそ荒行と心得よ
- 初心忘るべからず
- 一日の計は掃除にあり
- 弟子を取ってこそ一人前
- 薬は奇しきものと心得よ
- 名を名乗る