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薬剤師道一直線

一、初心忘るべからず

 2月11日は建国記念日。日本国民の祝日である。もともとは紀元節と呼ばれ、『日本書紀』によると紀元前660年の神武天皇即位の日とされている。
 読者の皆さんの薬局にも開設した日、開局記念日があり、お祝いの行事をするところが多いのではなかろうか。ちなみに日本で最初の西洋風調剤薬局は、海軍病院薬局長であった福原有信が東京・銀座に開いた資生堂薬局である。1872年(明治5年)の開局であった。
 さて、薬剤師個人にとっての記念日に当たるのは、薬剤師免許の登録日であろう。すべての薬剤師が持っている薬剤師免許証に、時の厚生(労働)大臣の名とともに記された、あの日である。その日を薬剤師としての出立の日として記憶にとどめておくことを、ぜひお勧めしたい。
 ここで大切なのは、出立の日を手帳に記入したり、周りの者に言いふらすことではない。ましてや、薬剤師になって10年目、20年目を祝うことでもない。毎年その日が来るたびに初心に立ち返る、それこそが重要なのである。そう、「初心忘るべからず」の日とすべきなのである。
 「初心不可忘(初心忘るべからず)」は、室町時代の能役者、世阿弥が自著『花鏡』の中で述べた一節である。これは能を学ぶ上での心得を説いたもので、修行を始めたころの失敗や、修行の各段階において感じた未熟さを忘れてはならないという教えである。そこから謙虚に自分を見つめ直し、戒め、そして修行に励むべきであるというのが、「初心忘るべからず」の意味するところである。 この教えが、薬剤師にもそのまま当てはまることは言うまでもない。さあ、初心に立ち返って調剤に取り組もう。まずは薬包紙での薬の包み方から。
 ん? そんなことはやったことがない? 小生も老境入りか……。

(結城 真吾)