薬剤師道一直線

一、一日の計は掃除にあり

 「一年の計は元旦にあり」──。これは、明代の中国で著された『月令広義』の一節、「一日の計は晨(あした=朝)にあり、一年の計は春にあり、一生の計は勤にあり、一家の計は身にあり」から来ている。では、ここに出てくる「一日の計は晨にあり」とは、薬剤師にとってどのような意味を持つのか。
 薬剤師が朝、最初にすること──それは掃除である。薬局内の汚れをくまなく取り除き、すがすがしくしなければならない。「夜のうちにたまった陰なる気、邪気を払い、陽なる気、生気あふれん場所とする」という陰陽五行説の教えや、感染やコンタミネーション(薬剤への不純物の混合)を防ぐという科学的根拠からも然(しか)りである。
 ところで、薬剤師道を極めんとする薬剤師は、その第一歩としてトイレ掃除を極めなければいけない。師匠からトイレ掃除を教えられ、自分のものとするのである。便器の汚れは何で落とせばよいのか。酸を使うべきか塩基を使うべきか。また、除菌とは、殺菌とは何か。そして消毒との違いとは──といった疑問への解答を、トイレという“教室”で見付け出さなければならないのである。
 しかし、本当に重要なことはほかにある。トイレ掃除をするときは、誰もがぞうきん掛けをするために、頭を下げなければならない。つまり、トイレ掃除を通じて、頭(こうべ)を垂れる謙虚さを忘れないようにすることが大事なのである。
 トイレ掃除のできない薬剤師は薬剤師にあらず。薬剤師にトイレ掃除をさせない薬局は薬局にあらず。もちろん、6年制の薬学部を出た薬剤師とて例外ではない。まずはトイレ掃除からである。
 さあ、ぞうきんをよく絞ろう! 掃除で薬剤師道は極められ、かつ薬局がきれいになり患者さんも喜ぶ。まさに相乗効果(そうじ・よう・こうか)ではないか。

(結城 真吾)

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