薬剤師道一直線

一、弟子を取ってこそ一人前

 今年も残すところ1カ月。薬剤師走る12月、師走。走るのは薬剤師だけではなかろう。
 薬剤師のほかに師の付く職業といえば、まず思い浮かぶのが、医師、歯科医師、看護師といった医療関係者。教師、牧師、宣教師などの、いわゆる聖職者もいる。はたまた奇術師、詐欺師、ペテン師に至るまで、師の付く職業(?)は意外と多い。
 これらには一見、共通点などないように思えるが、実は確実に、ある共通点がある。それは、弟子を取る職業、弟子を持って一人前と見なされる職業だということである。
 では、薬剤師にとっての師弟関係とは。
 まず、師匠に弟子入りをして、調剤における知識、技術、態度、心構えを教えられる。さらに薬剤師としての道を教えられ、守るべきところをしっかり守り、考えるところをしっかり考えて、自分のものとする。そして今度は、自分が師匠となり弟子を取り、教えを伝えていく。そうすることによって、初めて一人前と認められる。
 薬剤師も師の付く職業である以上、弟子を取らなければ師といえず、真の薬剤師とはいえない。薬学部を卒業して国家試験に受かっても、“薬剤師見習い”にすぎないのである。
 優秀な薬剤師になるために研修に出掛けるのも結構だが、薬剤師道を極めんとする者には、優れた師と出会い、その下で研さんを積み、そして旅立つこと──「守・破・離」の理(ことわり)のごとく──が不可欠である。これは一朝一夕にできるものではない。そこには師から弟子へと時間を掛けて引き継がれたゆるぎなきもの、脈々と流れる流派伝統がある。決して自己流ではなく、確たる理論に裏打ちされた流派が。
 このような師の付く職業として当たり前のことを忘れてしまうようでは、薬剤師は“師がない”職業と言われてしまうことだろう。

(結城 真吾)

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