腫瘍内科医には「燃え尽き症候群」が多い? アメリカの腫瘍内科医約3000人(アメリカ臨床腫瘍学会〔ASCO〕のmembership fileでは、アメリカの腫瘍内科医は約9000人)へ、ワークライフバランスや自身のキャリアへの満足度などについてアンケート調査を実施した結果が2014年のJournal of Clinical Oncologyに掲載されています。最終的に調査に… 2015/10/28 癌
ASCO TOP5リストを読む~Choosing Wisely~ 低リスク前立腺がんに画像診断は必要? アメリカでは、医療費高騰を背景に、不必要な医療に警鐘を鳴らすキャンペーンが行われていて、“Choosing Wisely”(賢く選択するために)という標語の下、主要学会が「日常臨床で広く行われているものの、エビデンスには基づいておらず、医療費の無駄遣いになるばかりか、患者さんのためにもなら… 2015/05/12 癌
ASCO TOP5リストを読む ベネフィットのない抗がん剤治療は「やってはいけない」 アメリカ臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology;ASCO)は2012年および2013年に、「やってはいけないリスト」として5項目からなるリスト(TOP5リスト)を発表しました。これは、高騰するアメリカの医療費を何とか抑制しようと、国内の主要な内科系学会が“Choosing Wisely”(賢く… 2014/12/11 癌
Liverpool Care Pathwayの普及と、その後の顛末 一般病棟における緩和ケアプログラムであるLiverpool Care Pathway(LCP)について、その普及の経緯と問題が生じた顛末を紹介し、検討したい。 2014/09/30 癌
「抗がん剤は効かない」の罪 腫瘍内科医の大切な役割とは? おかげさまで、拙著『「抗がん剤は効かない」の罪』(毎日新聞社、2014年)には様々な反響をいただきました。概して良いコメントをいただいているのでホッとしているのですが、反面、「難しかった」「もっとしっかりと反論すべき」「抗がん剤が効いたという例を挙げてほしい」などのコメントもい… 2014/09/03 癌
アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)2014レポート 肺がん領域の薬物療法、現在と未来 アメリカ臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology;ASCO)は、1964年にシカゴで産声を上げて以来、今年で50周年になります。プレジデンシャルアドレスでは、Dr.Hudisが「サイエンスと社会:50年後」というタイトルでプレゼンテーションを行いました。過去50年のアメリカ社会の歴史… 2014/07/29 癌
アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)2014レポート がんサバイバー関連発表に意識の差を見た 私は、このたび初めてアメリカ臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology;ASCO)に参加しました。乳がん・婦人科がん領域では日常診療をすぐに変えるような発表はありませんでしたが、さすがはASCOで、興味深い発表や今後が期待される発表のオンパレードでした。… 2014/06/27 癌
アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)2014レポート 泌尿器がん治療は免疫療法の時代へ 第50回アメリカ臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology;ASCO)が2014年5月30日から6月3日まで、例年通り、イリノイ州シカゴで開催されました。私は腫瘍内科医として、特に泌尿器腫瘍を専門としているため、この分野にかかわるセッションに主に参加しました。… 2014/06/25 癌
アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)2014レポート 医療情報を共有するソーシャルメディアの可能性 アメリカ臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology;ASCO)の年次総会は、例年シカゴで開催されます。開催期間中、街はASCOムード一色です。市内の各ホテルからのシャトルバスが参加者を巨大な会議場へと運びます。会議場もさることながら、展示場も東京ドームの5倍もの面積があり、… 2014/06/19 癌
「抗がん剤は効かない」近藤理論をめぐる患者の意思決定サポート 毎日新聞社から本年3月に出版された『「抗がん剤は効かない」の罪』(勝俣範之著)を皆さんはもうお読みになられたでしょうか? 私が勤務する島根県は知っての通り非常に田舎で、高齢化も進んでおり、いまだに医師‐患者関係には強いパターナリズムが残存しています。がん治療に関してもしかりで… 2014/06/13 癌
「隙を見せる」がコミュニケーションを変える 日々の診療において、皆様一人ひとりが大切にしていることがあると思います。私にもやはり、緩和医療に携わる者として、日々患者・家族と接するときに大切にし、心がけていることがいくつかあります。その一つは、「隙を作ること」です。… 2014/06/05 癌
遺伝診療とELSIの観点から見る「アンジェリーナ問題」 2013年5月、アメリカの著名な女優であるアンジェリーナ・ジョリー氏が、BRCA1遺伝子の病的変異のため、予防的乳房切除術を受けたというニュースが流れました。BRCA1もしくはBRCA2(BRCA1/2はどちらもミスマッチ修復〔mismatch repair;MMR〕遺伝子)に生殖細胞系変異を有する人のがん発症リスクを… 2014/05/15 癌
認知症患者の抗がん剤治療で「意思決定」はどうする? 高齢化社会になり認知症の患者ががんを併発することは珍しくなく、またその逆もあります。厚生労働省の報告によると、わが国の65歳以上の高齢者における認知症の有病率は8~10%程度と推定され、専門家の間ではすでに10%に達していると言われています。現に私の周囲のがん患者にも、認知症を有し… 2014/05/08 癌
医療における緩和ケアの位置付けは何か 中心か、辺縁か 読者諸兄にとって意外かもしれないが、緩和ケア科の若手医師が集まると、「緩和ケアこそが医療の本質を体現している。医療の中心にあるべきだ」といった発言がしばしば聞かれる。その際、よく引用されるのが“cure sometimes,treat often,comfort always”というヒポクラテスの格言だ。… 2014/05/01 癌
「がんもどき難民」を増やさない! 高齢化社会の到来と、健診の普及、診断技術・能力の向上、治療法の改善などにより、血液内科に通院する患者さんの数は年々増えています。このような背景の中、新規患者さんとしてご紹介いただく血液腫瘍疾患で増えている実感があるのが、いわゆる「がんもどき」と呼ばれるような疾患です。… 2014/04/24 癌
がんになった親を持つ子どもの力を信じよう 罹患のピークが40~50歳代にある乳がん・卵巣がんや、30~40歳代にある子宮頚がんに罹患して治療を受けている女性は、子育て真っ最中という方も多く、現在私が勤務している外来輸液療法室でも患者さんとの会話の中で、がん治療中の子育てに関する話をする機会が多くあります。がんになったことを… 2014/04/17 癌
がん化学療法中のアピアランス(外見)ケアへの取り組み 私は看護師になって外科病棟に配属され、現在はブレストセンターで勤務しています。乳がん治療の発展は手術・薬物療法など目覚ましいものがあります。われわれ看護師は、1980年代から90年代にかけて、化学療法中の患者さんの最もつらい副作用の一つである吐き気や骨髄抑制などに着目し、ケアを組… 2014/04/10 癌
一般内科的知識の重要性 私はこれまで、内科医になりたての後期研修の間に、拠点病院以外での中小病院で一般内科診療に当たりつつがん診療に携わってきました。現在、がん薬物療法専門医の認定を取るために勉強中の身ですが、初期研修が終了してすぐに薬物療法の専門医認定を取るための研修プログラムがある病院で研修し… 2014/04/03 癌
薬剤師をもっとがんの現場に! 私ががんの患者さんとかかわるようになったのは、2007年に当院の外来化学療法室が開設されたときです。入職から4年間、薬剤部内の調剤業務中心で患者さんと会話をする機会はほとんどありませんでした。外来化学療法室開設初日、抗がん剤のミキシングを終え、調製した薬剤を持って患者さんのベッド… 2014/03/27 癌
コード(心肺蘇生)を末期がん患者や家族に尋ねるな 「心臓マッサージをしたり、延命のための人工呼吸器を着けますか? 私としては勧めませんがどうします?」こんな会話が末期がん患者やその家族と医師との間で行われているとしたら、すぐに改めるべきだ。感染症やCOPD、心不全の急性増悪などと異なり、末期がんの進行による心停止・呼吸停止に対… 2014/03/20 癌
「効率の悪い」情報提供も悪くないかも 僕は昨年までは大学病院に勤務し、主に肺がんの患者さんの外来および入院の診療・化学療法に携わらせていただきました。現在は、訳あって実家の内科開業医院を継いでいます。つまり、現在はがん治療の最前線から身を引いているわけです。大学病院時代の多事多端な毎日から離れはしたものの、内科… 2014/03/13 癌
僕のProfessor Round If time is short―残された時間が短いとしたら 臨床実習の始まった医学部3年生を対象に、2カ月に1回、“Professor Round”と名付けられた講義を担当しています。各専門科(総合内科も含む)が、自分の科はどんな科なのか、その基本的な考え方を伝える時間なのです。… 2014/03/06 癌
弱き者の真理に生きる意味を見つけるには 臨床腫瘍内科医としてがん化学療法に携わって10年以上が経過するが、実に様々な人の死にかかわってきたと思う。医師をしていれば誰でも人の「生き死に」に直接的・間接的に関与するが、血液内科医のかかわる死は、常に謙虚でろうそくのような光ではあるが、絶えることなくわれわれの視界をわずか… 2014/02/27 癌
腫瘍内科医として実践する日々の心配り 腫瘍内科医として私は日々どのように心がけているかについて、これから腫瘍内科医になろうと考えている医学生や研修医の皆さんへ向けて記したいと思います。やや偏った面もありますし、正解がない問題もありますので、異論を持たれる箇所もあるかと思います。ご容赦ください。… 2014/02/20 癌
「治らないがん」を抱えて、それでも希望を… かつて医師を志したとき、私は「病気は治すもの」と思っていました。「治せなければ最終的には死んでしまう。だから、病気は治さなければならない」という思考です。一見、当たり前の発想であり、それなりの種類の病気に当てはまる考え方です。また、テレビや書籍、インターネットなどには「病気… 2014/02/13 癌
化学療法中は生もの禁止…なんてウソ 私は、初期研修の2年間、腫瘍内科の後期研修1年間を海の町・千葉県鴨川市で過ごしました。鴨川は美味しい海産物の宝庫です。大切な人たちと食べた鴨川のご飯は、一つひとつ心に刻まれています。 2014/02/06 癌
患者さんから、逃げない 「患者さんから、逃げない」。緩和ケアでは、まずこの心構えを持つことが、とても大切だと思っている。医師が、患者さんから逃げる? そんなこと、あるわけない、と皆さんは思うかもしれない。「私は患者さんから逃げたことなど一度もない」と言うかもしれない。ええ、そうでしょう。確かに、い… 2014/01/30 癌
「臨床現場の状況・環境」の視点からEBMを再考する 癌診療におけるエビデンスの集大成である『がん診療 UP TO DATE』(日経BP社、2013)において、私は「補完代替医療とそのエビデンス」の項目の執筆を担当させていただきました。残念ながら、現時点では、補完代替医療の領域にはヒトを対象としたランダム化比較試験のエビデンスは非常に少ないのが… 2014/01/23 癌
大空に解き放たれて銀杏散る Adolescent and Young Adult(AYA)Oncologyにおける緩和ケア “Adolescent and Young Adult(AYA)Oncology”は比較的新しい概念です。“AYA”とは、一般的に15~39歳辺りの世代を指します。若年癌患者の生存率は、ここ数十年ほとんど向上していません。若年者の癌は独特な生物学的特性を有する可能性があることや、若年患者は特有の心理社会的なニーズを抱… 2014/01/16 癌
「癌に効く」サプリメントが脱毛を招いた 患者を診察する際、どのような薬剤を内服しているのか、すなわち薬剤歴を聴取することは非常に重要です。併存疾患の治療状況を確認するためだけでなく、こちらが投与しようとする薬剤と相互作用を起こすものがないか確認するためでもあります。… 2014/01/09 癌
連載の紹介 がん診療UP TO DATE トピックス 日経メディカルブックス『がん診療UP TO DATE』の著者陣によるリレーエッセイです。がん治療に関する最新の話題や、日常診療の中で遭遇したエピソードなどを、自由な形式で綴ります。