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【Photo Gallery】 2008.4〜

再建外科 ブレストサージャリークリニック 岩平佳子先生

 人は「性」というものから逃れられない。自我の芽生えから死の瞬間を迎えるまで、それは心の奥底に居座り続ける。乳房は女性にとっての性の象徴であり、乳がんと宣告された女性にとって、乳房を切り離されることは自らのアイデンティティを失うことなのだろう。男性である私には、自らのペニスを失うことを想像することでそれを感じるしかない。

 今回は乳房再建を中心とした形成外科クリニックを開設している岩平佳子先生を取材させていただいた。岩平先生は学生時代、ハワイでの病院実習で形成外科と出会った。卒業と同時期に母校で立ち上がった形成外科教室へ入局、その後、ベルギーへの留学、アメリカでの形成外科修行などを経験した。その経緯は、先生の著書『ブラックジャックになりたくて』(NHK出版)に詳しい。この本を、ぜひ医学生や若い医師に読んでいただきたい。国際女医学会日本代表でもあった岩平先生は、今後のキャリア形成を模索する女性にとってのロールモデルになると思う。

 岩平先生がこれまでに経験した乳房再建は約3000例になるという。現在クリニックでは、人工乳房置換術を多く手がけている。腹直筋皮弁、広背筋皮弁を用いた再建術も他院へ出向いて行う。

 乳がんは、早期発見をすれば、良好な予後が期待できるようになった。早期発見の時点から、再建を視野に入れた必要かつ十分な範囲での切除手術を計画し、乳房再建手術を行い、定期検診を繰り返して再発に備える。そうした連携のとれた乳がん治療を、全国どこででも受けることができる社会が実現すること。それが岩平先生の願いだ。ただし、乳房再建には、保険診療の壁、乳腺外科医の理解不足、再建外科医の不足など、解決しなければならない問題は多いという。

 乳腺外科、形成外科に自分のキャリアをかけようと思う医師は、一度、岩平先生を訪ねてみてはいかがだろうか? 駆け出し時代の岩平先生が、思いを込めた手紙をしたため、海外へ飛び出していったように。

■再建外科医 岩平佳子先生

 日々の診療を行う中で、より多くの乳がん患者に、より良い人工乳房置換術を行いたい――。岩平先生はそう考えたのだという。渡米中に出会ったビジネスマンのご主人がクリニックの開院を後押しし、経営を引き受けてくれた。そして開院から5年、年間約300例の人工乳房置換術を行うまでになった。
 クリニックでは看護スタッフに責任を持たせ、担当した患者さんの経過をすべて診させている。心に不安を抱えている乳がん患者のカウンセリング、手術場での業務、術後から長期にわたる検診など、仕事は多岐にわたる。見学者も全国から多く訪れる。