
【Photo Gallery】 2007.12〜
日本医科大学千葉北総病院救命救急センター
国立成育医療センターでのレジデント研修中に、ドクターヘリでの患者搬送を何度か経験した。連絡があってから運ばれてくるまでの迅速さに驚いた。このスピードこそ、外傷、脳血管障害、心血管障害など、緊急度の高い治療には欠かせないものであると感じた。そして今回、その生の現場を経験し、改めてそのスピードに圧倒された。一人でも多くの命を救うために、この事業が日本に必要であると確信した。
※「日本医科大学千葉北総病院ドクターヘリ事業」のページも、ぜひご覧下さい。
■ドクターヘリチーム
ヘリを運航する機長と整備士、当番のフライトナースとフライトドクターが、出動要請に対応する。救急要請から約3分後にはヘリが離陸し、傷病者のもとへ急行する。一方、3次救急ホットラインを受け、指令塔としてチーム全体の後方支援を担うのが、CS(Communication Specialist)だ。CSは、フライトドクターとともに運航の判断を迅速に行う。様々な情報の整理や難しい判断を求められる専門性の高い仕事だ。ドクターヘリ事業は、すべてのスタッフの信念によって支えられていることを強く感じた。
■フライトドクターによる現場での初療
ホットラインが鳴る。チームがヘリポートまで駆け付け、ヘリで現場へ急行する。そのスピードに改めて感動した。チームは、その場で評価・診断を行い、気道確保、急速輸液、胸腔ドレーン挿入、薬剤投与などの必要な処置を開始する。一方で、搬送先病院に状況を連絡し、その後の治療へ連携する。手術やカテーテルインターベンションなどを開始するまでの時間が短縮できることは、患者の予後に大きく影響する。
■救命救急センター処置室
外傷では受傷部位、出血の量や変化が重要である。FAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)により、心タンポナーデや腹腔内出血を評価する。迅速なCTやMRI検査で評価し、緊急手術まで迅速に行う。そのスピードには圧倒される。
■救命救急センター医局
救命救急医に必要な資質は何か。救命救急センター松本先生に尋ねると「医師の裁量の責任と限界を理解し、その裁量を自ら行使できること。そしてオンとオフの切り替えができること」とのこと。実際、忙しい状況下でも医局内では、笑いの絶えないリラックスした雰囲気と、真剣な議論がテンポよく交錯していた。この切り替えこそが、救命救急医に必要な資質なのだろう。
