新型コロナワクチンの予診票を見て「おや?」 聞くべき服用薬は「血をサラサラにする薬」なのか 2月17日から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が本邦でも始まった。最初に使われるのは「コミナティ筋注」(商品名、開発コードBNT162b2)という米ファイザーのワクチン(右写真)だが、その名の通り筋肉注射で接種される。現在、厚生労働省が提示している予防接種のガイドラ… 2021/02/24 感染症
東京2020オリンピックに向け最優先すべきこと 新会長?ワクチン?いやマスクと換気でしょう 直近の報道によればまさに本日(2月17日)から、英米に2カ月遅れて本邦でも、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチン接種が開始されるという。最初に使用されるワクチンは、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した、3週間程度の間隔で2回の接種を必要とするmRNAワクチンである。医療従… 2021/02/17 感染症
COVID-19まん延で危惧されるもう1つの合併症 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、高齢、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患既往などの要因を持つ患者で重症化リスクの高いことがよく知られている[1, 2]。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の受容体蛋白であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)、主要組織適合抗原(HLA)、Toll様受容体7(TL… 2021/02/01 感染症
アクリル板ではコロナの流行は抑制できない 緊急事態宣言が1月8日付で発出されてから原稿執筆時点で10日が経過しているが、今でも重症者数は増える一方で、大都市圏では医療崩壊が起きているとの報道も相次ぐ[1, 2]。今の国のやり方には欠陥があるのではないかと、個人的には思っている。他の主要国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)… 2021/01/25 感染症
ひっそりと保険収載されていた和温療法 心不全パンデミック対策の一助になることを期待 2019年11月のイバブラジン(商品名コララン)、2020年8月のサクビトリルバルサルタン(商品名エンレスト)の発売に続き、2020年11月にはSGLT2阻害薬ダパグリフロジン(商品名フォシーガ)の適応が慢性心不全にも広げられ、心不全の治療手段が一気に広がった。こうした中、ほとんどメディアに取り… 2021/01/19 循環器
「心不全入院を有意に抑制」と聞くと身構える訳 「心不全による入院を有意に抑制した」と聞くと、今でも「だまされるな!」と体が反応してしまう。10年近く前に「ディオバン事件」として世を騒がせた一連の臨床研究不正の発端となった、Jikei Heart StudyやKyoto Heart Studyが採用していたPROBE法を思い出してしまうためだ。… 2021/01/12 循環器
心筋ミオシン活性化薬に対する期待と不安 オメカムチブ・メカルビルの第3相試験GALACTIC-HFの結果を読み解く ホスホジエステラーゼ3阻害薬enoximone(国内未発売)の臨床試験ESSENTIAL[1]以来、11年ぶりの新規経口強心薬の臨床試験の結果発表に、期待と不安が入り交じった思いを持った循環器科医は少なくなかったはずだ。… 2020/12/21 循環器
慢性心不全も外来薬剤費高騰の時代に 求められる「誰にいつまで」の議論 8月19日、第464回中央社会保険医療協議会総会が開催され、心不全治療薬「エンレスト錠」(サクビトリル・バルサルタンナトリウム水和物)の薬価が提示された(26日収載予定)[1]。いよいよ、アンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬(ARNI)が、日本の日常臨床の現場に登場する。… 2020/08/25 循環器
“イソジン吉村はん”に送りたいエール 8月4日にやらかしはった、「イソジンうがい推奨会見」から2週間経ちますが、その後どないでっしゃろ。太陽の塔や通天閣をライトアップする新型コロナ対策の大阪モデルは、えらい高評価でしたなぁ。その反動なんですかなぁ、テレビはもちろん、TwitterやYouTubeなんかでも「ウソジン吉村」やの「イ… 2020/08/21 感染症
COVID-19と循環器疾患 これだけ違う、パンデミック下のSTEMI治療指針 日米欧の一時的指針・ガイダンスの比較 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は血栓塞栓症ではないか」との議論がある[1]。オランダ・ライデン大学など3施設による合同報告では、標準的血栓予防薬投与下においてもICU入院症例の31%に血栓塞栓性イベントを認め、内訳では急性肺塞栓症が最も多く81%を占めたという[2]。COVID-19誘発… 2020/05/15 循環器
心血管疾患として捉えたCOVID-19 新型コロナは心血管系を直接攻撃するのか? コロナウイルス(SARS-CoVおよびSARS-CoV-2)は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)2を認識して宿主細胞に感染する。ヒトにおいてACE2は、肺だけでなく、消化管、腎臓、心臓、血管に幅広く発現している。実験動物レベルではACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与によってACE2の… 2020/04/30 循環器
不可避のパンデミック第2波に備えよ 1918 flu pandemic(スペイン風邪ともいわれる)は、1918年1月から1920年12月までに世界中で5億人が感染したともいわれるインフルエンザの世界的大流行として有名です。1918年春、秋、冬(1919年春という記載もあります)の、全部で3回の流行の波があったことが知られています。米疾病対策センタ… 2020/04/27 感染症
新型コロナウイルスを巡る将来見通しへの疑問 YOSHKIさんが、業界を敵に回してしまうリスクも覚悟の上として「日本は至急、緊急事態宣言をするべきだと思います」のメッセージをTwitterに4月4日上げました。Yoshikiさんと新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)についてYouTube上で対談されている[1]山中伸弥先生は3月31日、「批判を恐れず、勇気を… 2020/04/10 感染症
ニトロは心不全には使えない、マルかバツか 教育病院での研修内容は、毎年目まぐるしく変わる。最近はアーリーエクスポージャー実習として、医学生が大挙して病院実習にやってくる。そして、医学生自身の経歴が実に多様になった。一度社会人を経験して、医療人を目指す真摯な思いを持った学士入学者。海外から日本の医学部に入学した外国籍… 2020/02/03 循環器
New England Journal of Medicineから 宇宙飛行士のロングフライト血栓症明らかに 地上での常識は通じない宇宙旅行時の予防策 今年からNASA(米航空宇宙局)の国際宇宙ステーション(ISS)商業化計画の一環として、民間宇宙飛行士の滞在ミッションが可能となるらしい[1]。もっとも、1泊63億円らしいので、ごく限られた旅行者しか滞在できないだろう[2]。いずれにしても、選抜を受け特殊な訓練を修了した軍人や科学者だけで… 2020/01/10 循環器
心アミロイドへのタファミジスには年齢制限がある、マルかバツか とある教育病院の指導医がカンファレンスで、研修医から88歳の心アミロイドーシス患者に対するタファミジスメグルミン(商品名ビンダケル)の適応を尋ねられた。「あれは若年発症が多い家族性だけじゃなかったかな」といぶかりつつもあわてて調べ直した指導医は、資料を前に改めて考え込んでしま… 2019/12/23 循環器
サイファーだからDAPTは一生涯、マルかバツか 第一世代の薬剤溶出ステント(DES)であるサイファーやタキサスが第一線で使用されていた時代、そう、今から10年くらい前に経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)を行った患者を、大学病院から関連病院に出向する先輩から引き継ぐことは、ままある事例だろう。… 2019/12/09 循環器
FFR-CTのこのセールストーク、マルかバツか とある病院のホームページに「FFR-CTの登場により、カテーテル検査をせずに治療の必要性をより正確に評価することが可能になりました」とあった。ちょっと気になる表現として妙に頭に残った。これをマルバツ問題とするなら、正答はマルだろうか? それともバツだろうか? 今回はFFR(冠血流予備… 2019/11/11 循環器
心植え込みデバイスのこの適応、マルかバツか 新しいデバイスほど適応は細分化 今は昔、筆者が若手と呼ばれ冠動脈ステントもまだなかった頃、循環器系の植え込み医療機器といえば唯一、ペースメーカーだった。もちろん、デバイスなどという呼び名はなかった。今や一口にペースメーカーといっても、DDDRだのCRT-PだのCRT-Dだの、アルファベットが1字違うだけで機種そのものが違… 2019/08/26 循環器
心不全へのこの薬物投与、マルかバツか 次々改訂される診療ガイドラインへのキャッチアップ、できてますか? 2016年以降、循環器学会関連の診療ガイドラインは年3本以上、新規ないしは改訂版が発行されており、ここ3年間で16本にもなる。正直、ついて行けない。 2019/07/23 循環器
Science誌から 「飲む注射器」を創る ペプチド製剤を経口投与で吸収させる新たなシステム インスリンの皮下注射を人前でせざるを得ない1型糖尿病患者本人でなくても、注射薬が内服薬に変わることで得られる幸福感はよく理解できる。経口インスリン製剤は、インスリンが親水性高分子であるため膜透過性が著しく低く、また酵素分解を受けることから生体内での安定性も極めて低いため、研究… 2019/03/04 代謝・内分泌
China Watch 3 中国開発の薬剤溶出ステントの実力はいかに カナダ司法省は2018年12月1日、中国・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モン・ワンチョウ)副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕した。サイバー覇権をめぐる米中衝突の激化が背景にあると言われる。米国をなりふり構わぬ対決姿勢にさせるほど、中国のハイテク製造業の隆盛は著しい。そんな中、… 2019/02/07 循環器
Ann Intern Med誌から 心房細動の脳卒中リスク評価は毎年更新すべき 当然の内容だが、それを裏付ける台湾国民健康保険データがすごい 心房細動患者に対するCHA2DS2-VAScスコアを用いた脳卒中リスク評価は毎年更新されるべきと、台北退役軍人総合病院のTze-Fan Chao氏らがAnn Intern Med誌で提言した[1]。台湾の国民健康保険データベースの解析によるもので、同誌オンライン版に1月1日掲出された。… 2019/01/15 循環器
原著第20版が今年8月に出版 『ハリソン内科学』のハリソン先生に迫る 今年8月、かの『ハリソン内科学』の原著第20版(Harrison's Principles of Internal Medicine, Twentieth Edition)が出版された(写真)。出版社(McGraw-Hill Education)の宣伝文句は、“Landmark Twentieth Edition of the Global Icon of Internal Medicine”とある。内科学の世界的象徴なの… 2018/09/18 循環器
心肺蘇生のガイドラインが変わる? 院外心停止例に対するアドレナリン投与、神経学的予後改善せず ひょんなことからJMECC(ジェイメック:Japanese Medical Emergency Care Course、日本内科学会認定内科救急・ICLS講習会)の講習を受ける機会に恵まれた。10年来、日本ACLS協会あるいは日本循環器学会近畿地方会が主催する、米国心臓協会(AHA)プロトコール準拠の一次救命処置(BSL)/二次救命… 2018/08/22 循環器
ChinaWatch 2 心血管死亡にJカーブなし、中国の超高齢者研究 急速な高齢化に直面する中国が秘める意外な“老人力” 中国で行われた長期におよぶ前向きコホート研究から、80歳以上の超高齢者では、収縮期血圧値(SBP)と総死亡リスクの関連はU字カーブを示したが、SBPと心血管死亡リスクの関連では、U字またはJ字カーブは認められなかった[1]。著者である中国疾病管理予防センターのYue-Bin Lv氏らは、「高血圧ガ… 2018/08/09 循環器
冠静脈デバイスは冠虚血治療のラストリゾートか 心疾患に対するカテーテルデバイスといわれて思い浮かぶのは、現下には経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)に使用するバルーン拡張型人工弁や、僧帽弁閉鎖不全に使われるMitraclipなどであり、もはや冠動脈ステントではない。… 2018/07/17 循環器
ChinaWatch 1 日中で異なる高血圧基準値変更へのスタンス 今年1月、中国からの科学技術論文数が米国を抜いて世界一になったとの報道があった(全米科学財団調べ)。太平洋分割管理を企てるとも噂される中国は、その存在感をアピールする行動を政治経済分野で披瀝(ひれき)するだけでなく、科学技術分野でも月探査の「嫦娥(じょうが)計画」など独自路線… 2018/06/20 循環器
本当は怖い診療ガイドライン(2) 腎機能の検査の遅れが透析導入や死亡早めた 「腹八分目にして毎日よく体を動かすように」の指示で債務不履行 日経メディカル Onlineでも活躍中の田邉昇氏の著書『弁護医師が斬る医療裁判ケースファイル180』[1]で紹介された事案が気になって、調べてみた。東京地方裁判所で2003年5月28日に判決された「平成13年(ワ)第16065号 損害賠償請求事件」である。… 2018/05/24 腎・泌尿器
本当は怖い診療ガイドライン(1) 心房細動の電気的除細動後に脳梗塞発症 注意義務違反の判決額は7900万円 ガイドラインを引用する訴訟が急増しているという(特集◎医療訴訟の落とし穴、インタビュー◎桑原博道氏、日経メディカル Online、2017/8/16)。今回は、岐阜地方裁判所で2009年6月18日に判決された「平成17年(ワ)第114号損害賠償請求事件」を材料として、抗凝固療法に関連するガイドラインを… 2018/01/17 循環器
訴訟とガイドラインの奇妙な関係 吐き気と微妙な心電図、先生の判断は? 過日、総合診療スキル習得のための教育講演会を行っている「21世紀適々斎塾」[1]が主催する医師国家試験活用セミナー「国家試験をぶっとばせ!」[2]を聴講する機会があった。主たる講演対象はむろん医学生と研修医だが、筆者のようなロートル内科医(参加者の皆様、失礼の段、お許しください)も… 2017/09/20 循環器
「記者の眼」も取り上げていた健診項目の怪 心電図や胸部X線は12年前の厚労省班研究でも意義不明との指摘 ほぼ毎年のように、どこかのメディアが健診や人間ドックは本当に役に立つのかという話題を取り上げている。今年は日経メディカル Onlineでも、そんな記事を読んだ(記者の眼◎なんでこんな検査を定期健診に入れている?、2017/6/22)。… 2017/08/23 循環器
デジタル・ウェアラブル・AI・ヘルツ その4 郵送も可能なウェアラブル機器で心房細動を検出 Stroke誌・第3回欧州脳卒中学会(ESOC2017)より 循環器専門医でなくてもホルター心電図検査をオーダーしたことがある医師なら、24時間だけの監視では発作性の心房細動(AF)はほとんど検知できないという実感を持っていると思う。監視時間を長くすればきっと見つかるだろうという直感は、最近の臨床研究で実証されつつある。… 2017/06/27 循環器
Lancet誌から 医療の質で世界1位となったアンドラ公国とは 5月18日にランセットのオンライン版に公開されたレポートによれば、世界疾病負担研究(GBD)2015データに基づいて世界195カ国の医療へのアクセスと質を評価したところ、日本は11位と振るわなかった[1]。 2017/06/09 循環器
予防医療では総医療費は減らせない 5年以上前から中央社会保険医療協議会内に医療技術評価分科会が設けられ、英国のNICEを見習って、薬剤や手術の費用対効果の評価が本邦でも始まっている(特集◎「高額薬剤が国を滅ぼす」は本当か《4》費用対効果の検証が進めば診療行為も対象に?、日経メディカルOnline、2016/7/14)… 2017/04/05 公衆衛生・予防医学
デジタル・ウェアラブル・AI・ヘルツ その3 WATSONやってみた。…けど。 昨年末あたりから、医療系メディアで人工知能(AI)の文字を見ない日はないくらい、メディア上ではAIばやりである。2016年11月10日の未来投資会議での安倍首相の発言「ビッグデータや人工知能を最大限活用し、『予防・健康管理』や『遠隔診療』を進め、質の高い医療を実現していきます」があって… 2017/03/02 先端医学
Ann Intern Med誌から 米国内科学会、60歳以上はSBP150未満を推奨 SPRINT試験後に初めて発表された米国ガイドラインが持つ意味 2年前、「血圧は下げれば下げるほどいい」と受け取れる研究結果を、米国立衛生研究所(NIH)の主導するSPRINT試験[1]が明らかにし、本邦でもメディアを騒がせた(「収縮期血圧120未満で予後改善」の衝撃、日経メディカル Online、2015/12/3)。… 2017/02/14 循環器
繰り返される移植レシピエントの選定間違い 再開第1例でも発生、20年間改善されてない選定システムに構造的欠陥 1月27日、そのニュースを目にして、まるで筆者の誕生日を狙って天から贈られたプレゼントのごとく、驚き、震えた。レシピエントの待機日数計算を誤ったため、本来心臓移植を受けられるはずだったレシピエント候補者がスキップされてしまい、待機していた後ろの順位のレシピエントに移植が行われて… 2017/01/30 循環器
Anesthesiology誌から 添付文書とガイドラインと常識と 術前の降圧薬中止について 手術の際、ACE阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を一時的に切るというのは常識だと思っていた。循環血漿量を減らし低血圧や腎機能障害のリスクを高めるから、というのが理由だ。多くの病院では似たようなマニュアルになっているのではないだろうか。ACE阻害薬とARBの添付文書には、「… 2017/01/26 循環器
デジタル・ウェアラブル・AI・ヘルツ その2 遠隔医療、ネット診療って儲かるの? テレヘルス、テレメディシンという単語は、「遠隔医療」と訳される。なので、「離島にいる患者さんをテレビ電話で診療する」くらいのイメージで捉えていた。ところが研究論文に当たってみると、定義は研究者によってまちまちで、離島とかテレビ電話とも違う内容がテレメディシンとして報告されて… 2017/01/17 循環器
デジタル・ウェアラブル・AI・ヘルツ その1 デジタルヘルスってそんなにすごいのですか? 「Singularity」(技術的特異点)、つまり「人工知能(AI)が人間を超える日」がやってくるころには、自分は90歳くらいだろうから関係ないと思っていた。ところが今年に入り、囲碁AI「AlphaGo」が人間のチャンピオンを打ち負かしただけでなく、国内で治療に行き詰まっていた特殊な白血病の診断をA… 2016/12/15 循環器
Eur Heart J誌などから 左室駆出率はそんなに偉いのですか? 前回のコラムでは、今年改訂された欧州心臓病学会(ESC)の心不全ガイドラインにおいて、「左室駆出率(EF)が低下している心不全(HFrEF)」と「EFが保たれている心不全(HFpEF)」の中間に位置する第3のカテゴリー「HFmrEF」(EF:40~49%)が定義されたことを紹介した[1]。HFmrEFの病態的特徴… 2016/09/08 循環器
JAMA Cardiol、Circ Heart Fail誌などから 今後は駆出率を3つに分けるのが常識になる? HFrEFとHFpEFの間に心不全を解く鍵が存在する可能性 今年5月に欧州心臓病学会(ESC)が発表した心不全に関する新しいガイドラインでは、大きな変化がいくつかあった[1]。心不全が疑われる非急性例(non-acute onset)に対する診断アルゴリズムの提案、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(LCZ696)の位置付け、QRS幅130msec未満の患者に対… 2016/07/28 循環器
かかりつけ薬局・薬剤師を目指す向上心に感服 筆者は一時期薬学部の教員をしていたことがあり、以来薬学・薬理学関係の会合や薬剤師さんとの交流が多い。今も現役薬剤師さんに聴診器の使い方などのフィジカルアセスメントの基礎を知っていただく「薬剤師のための医学講座」を実施している[1]。薬剤師さんが在宅訪問する際に患者の病状を適切に… 2016/07/19 薬剤師
人工知能が「人間医師」に追いつけない理由 人工知能(AI)のワトソンが米国の人気クイズ番組「ジェパディ!」で優勝したとか、人工知能プログラム「アルファ碁」が囲碁の世界トップに勝ち越したと、人工知能が人間を超える能力を披露するたびに派手に報道される。… 2016/06/29 循環器
BMJ誌から 40年前の研究を蘇らせたレヴェナントな少佐 リノール酸によるイベント抑制効果を検証した1960年代のRCTを再解析 古くはキリストやラゾロの復活、最近ではゾンビ。西欧文明では、「復活」はごく自然で違和感のない概念なのかもしれない。「40年前に当時としては空前の規模と精度で実施された心血管リスクに対する食事介入の臨床試験は、当時の常識を覆す成績を出してしまった。そのため学術誌には報告されず、… 2016/05/20 循環器
Washington Post紙から 聴診器はもはや前世紀の遺物か? 200歳迎える聴診器は、心音だけでなく心の声も聞く 年明け早々の1月2日、今年で200歳となる聴診器の現在の診療現場での意義について、編集者のLenny Bernstein氏がワシントンポスト電子版に寄稿していた。同記事の中で、心エコー検査の達人である米国マウント・サイナイ・アイカーン医科大学副学部長のJagat Narula氏は、「聴診器は死んだ」「(循… 2016/02/19 循環器
実は過去にも頻発していたカフェイン中毒死 「格差症候群」の犠牲者か?厚労省は認識不足を露呈 2015年12月に、エナジードリンクの大量摂取により死亡したとされる事例が新聞など各種メディアで報道された。カフェイン中毒が疑われたとのことだが、報道を丹念に追うと、ロンドン大学マーモット教授が指摘する「ステータスシンドローム(格差症候群)」という言葉が浮かび上がる。… 2016/01/22 事件・話題
アスピリンによる大腸癌再発予防試験始まる 国の支援する大規模臨床試験がガラパゴス化? 誰かの筋書き通りではなく、患者の利益になるガイドラインを 100年以上も臨床の最前線で活躍するレジェンドな薬物、アスピリン。アスピリンはどうやら大腸癌の罹患率と死亡率の両方を抑制するらしいことが、日経メディカル Onlineでもたびたび報じられてきた。 2016/01/05 医薬品
奈良にも広がるコクランの「輪」 システマティック・レビュー実践のキックスターターとなるか 日経メディカル Onlineの読者諸氏にとっては、コクランライブラリーやコクランレビューは日常の情報収集ツールの1つに過ぎないかもしれない。だが、本邦のごく一般的な医療関係者にとってはどうなのだろう。… 2015/11/26 循環器
NEJM誌のたこつぼ心筋症論文に異議あり! β遮断薬が無効との結論も冠攣縮の混在が一因である可能性 本邦で1990年に見いだされた「たこつぼ心筋症」(別名ストレス性心筋症)に関して、最近、N Engl J Med誌に看過できない論文が掲載された。欧米の医療機関で結成された「国際タコツボ・レジストリー」(日本は参加していない)の登録患者を急性冠症候群(ACS)の患者と比較した症例対照研究で、ス… 2015/10/15 循環器
Nature Methods誌から◎雲を掴む話 その2 それでも有意と言いますか?気まぐれP値の「不都合な真実」 前回ご紹介したP値にまつわる話題の記事が、分かりにくかったと不評のようだったので猛省し、今度こそ分かりやすくP値の話を提供したいと思います。よって専門統計家の方が読むと、幼稚かつ雑駁な内容と思われるかもしれませんが、ご容赦ください。… 2015/06/17 循環器
Nature Methods誌から◎雲を掴む話 その1 一度有意差が出ても反復実験では有意でなくなる シミュレーションで明らかになるP値の「不都合な真実」 理系大学院生の学位取得のための奴隷のような生活や、ただ生き残るためだけにデータ不正や論文捏造へ誘惑される研究現場の背景が一般に知られるようになってきた[1, 2]。実験結果の統計的検定の「P値」が有意になるかどうか、投稿した論文がインパクトファクター上位のジャーナルに通るがどうかが… 2015/06/02 医薬品
Science誌、Lancet誌から 脳巨大化でマウスはヒト化?水頭症でも社会生活に問題なし? 大切なのは脳の容積なのか、ネットワークなのか ネットサーフィンをしていて、たまたま“Scientists Upload Worm's Mind Into a Lego Robot”[1]というビデオを見る機会があった。線虫(C elegans)の神経細胞は302個しかないのに、物理刺激に対する回避運動のほか、学習や順応行動を示す。… 2015/04/18 精神・神経
Diabetologia誌から レガシー効果と「親の因果が子に報い」にある共通点とは メタボリックメモリーの陰にあるエピジェネティクス 米国の私立大学、中でもアイビーリーグには、卒業生の親族や子孫を優先的に入学させるシステムがある。これも「レガシー(遺産)」と呼ばれ、多大な寄付金の原資や大学の広告塔になってくれる制度であるということを最近知った。エスタブリッシュメントと呼ばれる階層が、こうして再生産される。… 2015/04/04 代謝・内分泌
番外編 アジア最後のフロンティア、日本人医師を招く ヤンゴン総合病院での心エコー研修会を通して知る同国の医療事情 KUROFUNetを覗いても、ミャンマーの医療事情についてはまだ投稿されていないようなので、今回初めて訪れた「微笑みの国」で知ったことを、番外編として寄稿させていただこうと思う。 2015/02/16 海外
JAMA誌から 2つの神話を崩した、日本の第一線臨床医の実力 AHAの「2014年の循環器研究ベスト10」にも選出されたJPPP試験 既に日経メディカル Onlineでも紹介されているので、JPPP(Japanese Primary Prevention Project)試験について読者諸氏はよくご存じのことと思う(日本人の心血管一次予防、アスピリンに利益なし、2014.12.23)。本邦の「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」を書き換… 2014/12/29 循環器
財務省の“極秘資料”が明らかにした歴代首相たちの健康上の秘密とは 10月6日付の産経ニュース政治デスクノートに、興味深い話が紹介されていた[1]。そのコラム執筆者は、財務省幹部が省内で極秘に作成させた1枚の文書を入手したという。そこには戦中の東条英機から現在の安倍晋三まで、第40代から第69代までの首相(実数で36人分)のパーソナルデータがまとめられて… 2014/10/16 循環器
既存の薬でアルツハイマー病に挑む なぜNHKスペシャルはシロスタゾールをとりあげたのか 7月20日(日)の夜、NHKスペシャルで“認知症800万人”時代「認知症をくい止めろ ~ここまで来た!世界の最前線~」が放映された[1]。この中で、既存薬によるアルツハイマー病の新規治療法として、日本のシロスタゾールに関する観察研究[2]と、米国の経鼻インスリン療法が紹介された。前者につい… 2014/09/08 精神・神経
JACC Heart Failure誌から 骨粗鬆症と心不全、その不気味な関連 高齢女性は二重苦にさいなまれることになるのか 「心不全だと骨粗鬆症や骨折を起こしやすい」という報告は以前からあり[1-3]、日経メディカルOnlineでも佐藤幸人氏がブログで取り上げていた(心不全患者におけるカヘキシーの病態は「筋肉、脂肪、骨組織の減少」、2013.11.6)[4]。… 2014/07/30 循環器
FDA Information for Consumersから 米FDAも「1次予防にアスピリンを使うな!」と結論 標題は、日経メディカル Onlineの筆者記事(「1次予防にアスピリンを使うな!」が最終結論か、2010.5.14)に引っかけたものだが、当該記事では4年前のBMJ誌(2010年4月24日発行、340巻7752号)に掲載された警告「心血管疾患の1次予防にアスピリンを使うな(原題:Don't use aspirin for primary p… 2014/07/02 循環器
J Clin Invest誌、PLos One誌から Apelinは肺高血圧だけでなく心不全にも効く もう存在しないかもしれない循環器系の新たな創薬ターゲットになるか Apelinという分子名は、古川哲史氏のブログ「基礎と臨床の架け橋」で教えていただくまで知らなかった(肺高血圧症の新たな治療標的が浮上、叢状病変形成に「apelin」が関与、日経メディカル循環器プレミアム、2013/2/1)。最近になって、apelinは肺高血圧だけでなく心不全をはじめ動脈硬化そして… 2014/06/02 循環器
Am Heart J誌、Crit Care誌、J Card Fail誌から 利尿薬抵抗性心不全に高張食塩水が効く 常識に逆行した治療が奏効する理由は 水分[1]と塩分[2]の制限は、世界中で日々実践されている心不全治療の基本である。しかし最近、急性非代償性心不全(ADHF)患者に対して水分と塩分の積極的制限を行っても体重も臨床的うっ血スコアも変化せず、口渇感だけが有意に悪化するとの報告があった[3]。… 2014/05/02 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより AMI後の心不全入院率、米国では有意減少 メディケアのデータに基づいた300万近い症例による検討 今回取り上げたAHAのCME CourseはCirculation誌2013年12月17日号(vol.128、no.24、p.2577-84)に掲載された、急性心筋梗塞(AMI)後の心不全による入院率と死亡率の推移に関する論文が題材となった[1]。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原論文を… 2014/01/30 循環器
第86回米国心臓協会・学術集会(AHA2013)より スピロノラクトンはHFpEFに対するlast hopeか TOPCAT試験では心不全増悪による入院が有意減少 11月に米ダラスで開催された第86回米国心臓協会・学術集会(AHA2013)で、左室駆出率が保持された症候性心不全(HFpEF;heart failure with preserved ejection fraction)に対するスピロノラクトンの効果を評価した大規模臨床試験、「TOPCAT」の結果が発表された。… 2013/12/16 循環器
Circulation Research誌Reviewから どこにでもある血圧計で心筋虚血傷害を治す 遠隔プレコンディショニングでCABG患者の予後も改善 世界中の研究者が創薬を目指してしのぎを削っていた虚血プレコンディショニングの臨床へのトランスレーションが、どこにでもある血圧計で実現してしまった。今回はCirculation Research誌に掲載された最新のレビューから、その現状を探ってみた。… 2013/10/21 循環器
JAMA誌から STOP-HF試験の結果と日本心不全学会のBNPステートメントを読み比べる BNPカットオフ値の本当の使い方とは 人間ドックの受診者から、「心不全マーカーのこれって何なんですか」と脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値の解釈を求められることは、読者の先生方にとって日常茶飯事と思われる。筆者もこの値を用いて、受診者自身への、そして何より主治医としていかなる行動変容を起こすべきなのか、長らく分… 2013/08/21 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 基本的に効くはずの細胞治療が無効だったことの意味 Swiss AMI試験は警鐘なのか 今回取り上げたAHAのCME Coursesは、Circulation誌5月14日号(vol.127、no.19、p.1968-79)に掲載された、急性心筋梗塞(AMI)患者に対する骨髄単核球移植の論文が題材となった[1]。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原論文を読む前に問題を解くこ… 2013/07/08 循環器
N Engl J Med誌PERSPECTIVEから 月並みな結論の地中海食研究がNEJMに掲載されたワケ かなり以前から何度も、オリーブ油と果実やナッツ類の割合が多い地中海食は心血管(CVD)イベントの予防に有効であるとする観察研究の結果が発表されてきた。2013年4月、権威あるN Engl J Med誌に、糖尿病、高血圧、喫煙、肥満などCVDリスクの高い集団での一次予防に対する地中海食の効果を検討し… 2013/05/21 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより メタボの陰にアルドステロンあり、アルドステロンの裏にメタボあり AHAのCME Courses、今回はHypertension誌4月号(vol.61、no.4、p.886-93)に掲載された、アルドステロンの新指標に関する論文を題材としていた[1]。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原論文を読む前に問題を解くことで、論文のポイントをつかむ一… 2013/04/15 循環器
European Heart Journal誌から PM2.5への暴露で心房細動は増加するのか? 最近、大気汚染と循環器疾患との関連に関する報告が急激に増えている。なかでも環境省が外出についての注意喚起指針を見直した微小粒子状物質、PM2.5が注目を集めており、日経メディカル オンラインでも取り上げられた。… 2013/03/13 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 安全なはずのダビガトランも抗血小板薬との併用時には用心を AHAのCME Courses、今回はCirculation誌2月5日号(vol.127、no.5、p.634-40)から、ダビガトランと抗血小板薬の併用による出血リスクの上昇について検討した、RE-LY試験のサブ解析の論文を題材としていた[1]。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原… 2013/02/25 循環器
BMJ誌から もし毎朝2個卵を食べるVIPの主治医になったら 現状では1日1個が安全か つい最近、宮内庁大膳課職員として昭和天皇の料理番を26年間務めた谷部金次郎氏が、テレビ番組の中で、毎日の朝食に目玉焼きが2個あったことを披露していた。それを見たとき、別のテレビ番組で紹介していたケネディ大統領の定番の朝食に、2個のポーチドエッグが映っていたことを思い出した。世界… 2013/02/13 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 難しいPCIはIABP下で行うという常識が、やっと立証された AHAのCME Courses、今回はCirculation誌1月15日号(vol.127、no.2、p.207-12)に掲載された英国ロンドン大学からの報告を題材としていた。その論文では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時に待機的大動脈内バルーンパンピング(IABP)を併用することで、長期の生命予後が改善したと結… 2013/02/04 循環器
J Am Coll Cardiol誌から スポーツ選手突然死予防のための心電図健診、1件の予防に10億円? 新春の箱根駅伝では低体温と脱水症で2校が棄権したと伝えられた。幸い心肺停止例はなかったが、2月に予定されている東京マラソンでは、過去6年間で5件の心肺停止があったという[1]。健康診断を受診しておくことが予防策として推奨されている。… 2013/01/16 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより NIH脳卒中スケールを不整脈のリスク層別化に使う AHAのCME Courses、今回はStroke誌11月号(vol.43、no.11、p.2892-7)に掲載された、脳卒中後の重症不整脈の発生を前向きに追ったドイツErlangen大学からの報告を題材としていた。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原論文を読む前に問題を解くこと… 2012/12/18 循環器
番外編 クイズで学ぶ、再生医療だけでないiPS細胞の創薬での役割、10の常識 京大山中教授のノーベル賞受賞を受けて、本邦での再生医療の実用化に向けた動きが本格化しはじめた。しかしながらiPS細胞の真の重要性は、山中教授が自ら話しているように、創薬における革新的な役割にあると考える。… 2012/11/22 医薬品
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 心不全発症における右室肥大の役割とは AHAのCME Courses、今回はCirculation誌10月2日号(vol.126、no.14、p.1681-8)に掲載されたMESA研究(多人種の集団ベースのコホートにおける心血管疾患[CVD]発症のリスク因子研究)のサブ解析であるMESA-RV研究を題材としていた。MESA-RV研究では、MESA研究の登録者を対象に心不全およびCVD死… 2012/11/14 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 女性であるだけでAF患者の脳梗塞リスクは7.7倍に AHAのCME Courses、今回はStroke誌10月号(vol.43、no.10、p.2551-55)に掲載された、実際のイベントリスクとCHA2DS2-VAScスコアの関連を検討した台湾からの論文を題材としていた。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原論文を読む前に問題を解くこ… 2012/10/17 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 待機的な非心臓手術はDES留置180日後まで待つべき AHAのCME Courses、今回はCirculation誌9月11日号(vol.126、no.11、p.1355-62)に掲載された、冠動脈ステント留置術後の非心臓手術の実施時期に関する論文を題材としていた。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原論文を読む前に問題を解くことで、… 2012/10/09 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 80歳以上の急性脳梗塞患者に対する血管内治療 AHAのCME Courses、今回はStroke誌9月号(vol.43、no.9、p.2369-75)に掲載された、高齢者の急性脳梗塞患者に対する血管内治療の成績に関する論文を題材としていた。はたして80歳以上でも血管内治療は有用なのか? 抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆… 2012/09/24 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 閉経後女性の血圧変動性と脳卒中リスクの関連 今回は、Hypertension誌9月号(vol.60、no.3、p.625-30)に掲載された、血圧の変動性と脳卒中リスクに関する論文についてのAHA CME Coursesを紹介する。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間が節約できるはずである。逆に、原論文を読む前に問題を解くことで、論文のポイントをつか… 2012/09/18 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 多枝動脈グラフトバイパス術の長期成績は良好 日本冠動脈外科学会の調査によれば、2011年に行われた単独冠動脈バイパス術(CABG)の死亡率が2.72%まで1ポイント以上上昇し、過去10年で最悪になったという。そこで今回はAHAのCME Coursesから、Circulation誌8月28日号(vol.126、no.9、p.1023-30)に掲載された多枝動脈グラフトバイパス術の長… 2012/09/11 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより ビタミンD低値は日系米国人男性の脳卒中リスクと関連 J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articles打ち切りに伴い、新たにAHAのCME Coursesを紹介する。今回はStroke誌8月号(vol.43、p.2163-7)に掲載された、ビタミンD低値と脳卒中リスクの関連についての論文が取り上げられている。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む時間… 2012/08/29 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 腎交感神経アブレーションによる腎機能への影響 J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articles打ち切りに伴い、新たにAHAのCME Coursesを紹介する。今回はHypertension誌8月号(Vol.60、p.419-24)に掲載された、腎交感神経アブレーション後の腎機能に関する論文が取り上げられている。抄録を読んで問題を解くだけでも、原論文を読む… 2012/08/23 循環器
読んでから解くか、解いてから読むか:AHAのCMEクイズより 冠動脈解離の自然発症に関するコホート研究から学ぶこと ご好評をいただいていた「毎月の重要論文」シリーズだったが、ニュースソースとしていたJ Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesが、残念なことに7月で打ち切りになってしまった。そこで新シリーズとして、AHAのCME Coursesを取り上げたい。今回はCirculation誌7月31日号(Vol.12… 2012/08/16 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから 2012年7月の重要論文(2):ESC心不全ガイドラインにおける重要事項10カ条 CoumaGen-II、CTT Collaboration、WARFASA 怒涛のスピードで発信される世界の循環器領域の臨床試験の結果をキャッチアップするために、J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesは、その短さとコメントが優れている。今回は7月3日号(Vol.60, No.1, p.1-8)に基づいた。お忙しい臨床の先生方が、スキマ時間にでもスマートフ… 2012/07/19 循環器
JACCのEditor+駒村が選んだ重要論文―2012年6月 Editor’s choice:AFに対するアブレーション、6年後の無再発率は39% IMMEDIATE、INFUSE-AMI、FOCUS-CCTRN、TRA 2P-TIMI 50など 怒涛のスピードで発信される世界の循環器領域の臨床試験の結果をキャッチアップするために、J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesは、その短さとコメントが優れている。新年度となった4月を機に、これまで3回に分けて紹介してきた内容を、筆者の独断と偏見で絞り込みさせてい… 2012/06/21 循環器
JACCのEditor+駒村が選んだ重要論文―2012年5月 Editors’ Choice:VTやAFへのアブレーション治療で知っておくべき10カ条 心不全に関するAHAからの声明10カ条など 怒涛のスピードで発信される世界の循環器領域の臨床試験の結果をキャッチアップするために、J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesは、その短さとコメントが優れている。新年度となった4月を機に、これまで3回に分けて紹介してきた内容を、筆者の独断と偏見で絞り込みさせてい… 2012/05/21 循環器
Heart誌から non HDL-Cが下がらなければHDL-Cを上げても無意味? フラミンガム研究を検証してみると否定的結果に スタチンによる心血管疾患(CVD)イベントリスクの減少は25%程度にとどまることから、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)を上昇させることで、さらなるイベントの抑制を期待する研究が古くからある。… 2012/05/01 循環器
JACCのEditor+駒村が選んだ重要論文―2012年4月 スタチンは重症の頻脈性心室不整脈を予防するか TAVI 2年成績・費用対効果、Y染色体リスク、CRT、CTAなども 怒涛のスピードで発信される世界の循環器領域の臨床試験の結果をキャッチアップするために、J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesは、その短さとコメントが優れている。新年度となった4月を機に、これまで3回に分けて紹介してきた内容を、筆者の独断と偏見で絞り込みさせてい… 2012/04/20 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年3月(3) TAVIによる脳卒中、肥満手術、ワルファリン中断期間、スタチンの作用 前回、前々回に引き続き、J Am Coll Cardiol誌2012年3月6日号(vol.59、no.10、p.883-90)掲載のSCANNING THE LITERATUREで取り上げられた論文を紹介する。 2012/04/02 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年3月(2) CYP2C19多型、血清K値、再入院と入院日数、睡眠時無呼吸、手技関連MI 前回に引き続き、J Am Coll Cardiol誌2012年3月6日号(vol.59、no.10、p.883-90)掲載のSCANNING THE LITERATUREで取り上げられた論文を紹介する。 2012/03/26 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年3月(1) AFアブレーション、ASSERT、RACER、BRIDGE、MVR+三尖弁形成など 怒涛のスピードで発信される世界の循環器領域の臨床試験の結果をキャッチアップするために、J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesは、その短さとコメントが優れている。2012年3月6日号(vol.59、no.10、p.883-90)掲載の同記事を基に、さらにコンパクトにして紹介する。… 2012/03/19 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年2月(3) ARIC、PINNACLE、SHEP、WHSなど 前回、前々回に引き続き、J Am Coll Cardiol誌2012年2月7日号(vol.59、no.6、p.545-52)掲載のSCANNING THE LITERATUREで取り上げられた論文を紹介する。 2012/03/05 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年2月(2) Val-HeFT+GISSI-HF後付け解析、CaVenT、OATなど 前回に引き続き、J Am Coll Cardiol誌2012年2月7日号(vol.59、no.6、p.545-52)掲載のSCANNING THE LITERATUREで取り上げられた論文を紹介する。 2012/02/27 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年2月(1) ANTIPAF、成人先天性心疾患、メタボへのCPAP、米国医療政策など 怒涛のスピードで発信される世界の循環器領域の臨床試験の結果をキャッチアップするために、J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesは、その短さとコメントが優れている。2012年2月7日号(vol.59、no.6、p.545-52)掲載の同記事を基に、さらにコンパクトにして紹介する。… 2012/02/20 循環器
J Am Coll Cardiol誌Commentから ありふれた遺伝子多型がAFの薬剤反応性と関連 AFに関する個別化医療の先駆けとなるか 心房細動(AF)に対する治療戦略は、心室レートコントロールが主体となっている。しかし薬剤反応性が高い患者を特定する方法は、これまで実際に投与する以外にはなかった。これに対して米国・Vanderbilt大学のBabar Parvez氏らは、β1アドレナリン受容体遺伝子(ADRB1)上でよく知られていた多型… 2012/02/13 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年1月(3) ATLAS ACS 2-TIMI 51、ELEVATE-TIMI 56、MI FREEE、SATURNなど 前回、前々回に引き続き、J Am Coll Cardiol誌2012年1月3日号(vol.59、no.1、p.1-8)掲載のSCANNING THE LITERATUREで取り上げられた論文を紹介する。 2012/01/30 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年1月(2) AIM-HIGH、TRACER、ADOPT、SCIPIO、ISAR-REACT 4 前回に引き続き、J Am Coll Cardiol誌2012年1月3日号(vol.59、no.1、p.1-8)掲載のSCANNING THE LITERATUREで取り上げられた論文を紹介する。 2012/01/23 循環器
J Am Coll Cardiol誌SCANNING THE LITERATUREから JACCのEditorが選んだ重要論文―2012年1月(1) ACTIVEサブ解析、FAST、PALLAS、PROFESSサブ解析など 怒涛のスピードで発信される世界の循環器領域の臨床試験の結果をキャッチアップするために、J Am Coll Cardiol誌のSummaries of Key Journal Articlesは、その短さとコメントが優れている。今回、2012年1月3日号(vol.59、no.1、p.1-8)掲載の同記事を基に、さらにコンパクトにして紹介してみた。… 2012/01/16 循環器
JACC誌STATE-OF-THE-ART PAPER、Lancet誌Commentから 細胞治療、今こそ10年越しの夢がかなうのか それとも「スキピオ」の夢と消えるのか 46歳の急性心筋梗塞(AMI)患者に対して、骨髄系幹細胞の冠動脈内注入療法が最初に行われたのは2001年3月30日。それから10年がたった[1]。この間、幹細胞によるMI治療の臨床試験は、ポジティブあるいはネガティブ両方の結果を出しながら症例を重ねてきた[2,3]。用いる細胞の種類、投与時期、投与… 2012/01/12 循環器
Lancet誌commentから Inotropeとは呼ばないで・・・ 急性心不全に対するミオシン活性化薬はダーウィンの海を泳ぎ切れるか ノーベル賞受賞者の方々のご高説やマスコミで取り上げられる記事を載せたりと、Science誌は自分とは縁もゆかりもない雲の上の科学雑誌と思っていた。興味本位に、「新しい強心薬?かもしれない」化合物の報告を読んでいて、目を疑った[1]。20年前に書いた自分の論文(Komamura K, et al. J Clin I… 2011/11/01 循環器
N Engl J Med誌Editorialから 日本の「失われた10年」に例えられたnesiritide 急性心不全の死亡率を減らすことができる治療とは わが国では発売されていないが、2001年に急性心不全治療に対して米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた組換え型B型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド「nesiritide」は、米国ではガイドラインにも明示された急性心不全に対する標準治療薬だった[1]。しかし、腎機能悪化や急性期死亡増加の懸念が表明さ… 2011/08/23 循環器
J Am Coll Cardiol誌Editorial Commentから 「駆出率が保持された心不全」の妙薬を探す旅 伝説かそれとも真実か いきなり私事で恐縮だが、最近走っている。正確に言うと、早歩き(brisk walking)に少々走りが混ざっている。健康のためだけではない。必ず襲ってくるであろう南海・東南海地震の際の津波に備えているのだ。朝早くすれ違うランナーたちの中に、私のようにリュックを背負って走っている者を見つけ… 2011/08/02 循環器
番外編 東日本大震災の医療支援に参加し感得したこと 普段は循環器プレミアムで、「EBMがどうの、リアルワールドがどうの」と論文を相手に薀蓄を傾けている私だが、東日本大震災の被災地でリアルワールドの災害医療支援を体験する機会を得た。長期化する被災の状況に関しては、既に日経メディカルオンラインでも数多くのレポートが行われている。これ… 2011/05/16
Lancet誌Commentから 冠動脈疾患でCRPを測って、さて何をする? CRP: star trekking the galaxy of risk markers 冠動脈疾患と血管の炎症との関連が以前から報告されていて、炎症性バイオマーカーとして血清C反応性蛋白(CRP)が注目されてきた。 2011/04/05 循環器
Lancet誌Commentから アスピリンこそ不老不死の薬だった? Will an aspirin a day help keep fatal cancer away? アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が大腸癌の発症・死亡を抑制するかもしれないと以前から報告されてきた[1-4]。その機序はいまだ確立していないが、Wnt/βカテニン系の抑制を介したものではないかと推測されている[5-6]。さらにアスピリン服用によって便潜血の陽性率が上がることも… 2011/02/03 癌
Arch Intern Med誌INVITED COMMENTARYから 心不全予防の降圧薬第1位は利尿薬といわれても 臨床試験をリアルワールドに翻訳する際の注意点 イタリア・ローマ大学のSebastiano Sciarretta氏らは、既報のランダム化比較試験を対象にBayes流のネットワーク・メタ解析を行い、心不全予防のための第1選択降圧薬は利尿薬であると、2010年11月8日付のArch Intern Med誌オンライン版に発表した[1]。… 2011/01/01 循環器
クロピドグレルとPPIの併用はやめるべきか トップジャーナルに掲載された8論文を並べてみると 医師会員制コミュニティーサイトのMedPeerが今年7月に実施したクロピドグレルとプロトンポンプ阻害薬の併用に関するアンケートによれば、クロピドグレル処方時にはPPIも処方しているとの回答が716件中39%と最も多く、… 2010/11/05 循環器
JAMA誌Editorialから ロシグリタゾンは市場から引き上げられるべきか FDA諮問委員会は販売継続を支持したが・・・ ロシグリタゾン騒動はいまだに続いていた。ロシグリタゾンを承認した米食品医薬品局(FDA)のお膝元、薬剤評価研究センターのDavid J. Graham氏らは、同じチアゾリジン系糖尿病治療薬であるピオグリタゾンとロシグリタゾンを後ろ向きコホート研究で比較、ロシグリタゾン使用により有意な心血管リ… 2010/09/07 代謝・内分泌
Arch Intern Med誌から JUPITER試験に対する疑惑表明か、平衡感覚か 同一号に4編の論文、いずれも同試験の解釈は慎重を要すると主張 6月28日付のArch Intern Med誌に、JUPITER試験を巡る論文が4編も掲載された。そのいずれもが、44%もの1次エンドポイント減少と20%の総死亡抑制を示したJUPITER試験の結果には不備があり、ロスバスタチンの心血管イベントに対する1次予防効果は過大評価で慎重な解釈を要するというものだった。… 2010/08/09 循環器
Lancet誌 Commentから フィブラートの使用はオーダーメード医療の第1歩? 糖尿病合併例に多い高TG・低HDL-C患者では確実な利益 フィブラート系脂質異常症治療薬の心血管イベント抑制効果は、まだ確立していなかった。抑制効果を示したのはHelsinki Heart StudyとVA-HIT Studyのみで、ほかの試験は心血管イベントの抑制効果を示していない。そこで、高中性脂肪(TG)血症、低HDL-C(高比重リポ蛋白コレステロール)血症を合併… 2010/07/20 循環器
Ann Intern Med誌EDITORIALから ロスバスタチンは本当に万能薬なのか 多様な2次解析でも効果を次々に証明、欧米では1次予防へ適応拡大 ロスバスタチンによる動脈硬化イベントの1次予防効果を実証したJUPITER試験は、その後のさまざまな2次解析でも好成績を連発している。静脈血栓塞栓症の1次予防効果、脳卒中に対する1次予防効果、女性における心血管イベント1次予防効果、CKDにおける1次予防効果などである。… 2010/06/03 循環器
JAMA誌Editorial、BMJ誌Change Pageから 「1次予防にアスピリンを使うな!」が最終結論か 今年中に発表されるわが国のJPPP試験に注目 足関節上腕血圧比(ABI)低値の一般住民に対するアスピリンの心血管イベント1次予防効果を検討したF. Gerald R. Fowkesらの論文、および同じ号(JAMA誌3月3日発行号)に掲載されたEditorialをまとめようとしている間に、4月24日付のBMJ誌に何と「1次予防にアスピリンを使うな!」との警告が掲載さ… 2010/05/14 循環器
Lancet誌Commentから 救急搬送中の上腕圧迫で心筋梗塞が縮小:実証された「リモコン効果」 Giving the ischaemic heart a shot in the arm 急性心筋梗塞では再潅流療法の普及によって予後は改善されたものの、致死的再潅流障害による梗塞サイズ縮小効果の減弱は克服できていない。動物モデルにおいては、心筋虚血・再潅流の繰り返しを、長期虚血の前(preconditioning)あるいは虚血後再灌流のごく初期(postconditioning)に行うことで… 2010/04/06 循環器
Lancet誌Perspectiveから ハリソン・フォード、バイオベンチャー、ポンペ病 Film Biotech on the big screen 小児で心肥大を来たす疾患には糖原病・ムコ多糖症・褐色細胞種・大動脈二尖弁・肥大型心筋症などがあるが、糖原病II型は、頻度は低いものの必ず鑑別すべき疾患の1つに挙げられる。 2010/03/05 循環器
N Engl J Med誌 EDITORIALから 縮んだ心臓―COPDと心不全をつなぐもの The Shrinking Heart in Chronic Obstructive Pulmonary Disease 滴状心は、肺気腫で横隔膜が下降すると心臓は垂直位となるため、胸部X線正面像では心陰影が大血管から垂れ下がってみえると説明されてきた。しかし今回、心臓が実際に小さくなっていることが報告された。… 2010/02/25 循環器
Ann Intern Med誌EDITORIALから まだまだ救急医は楽できない(2)肺塞栓症 Handy Point-of-Care Decision Support 米・ハーバード大学Brigham and Women's HospitalのJeffrey M Rothschild氏は11月17日付のAnn Intern Med誌EDITORIAL [1]において、仏・アンジェ大学中央病院救急部のPierre-Marie Roy氏らによる、携帯情報端末(PDA)を用いた肺塞栓症・診断支援システムの報告[2]を論評した。… 2010/01/04 循環器
Am J Coll Cardiol誌EDITORIAL COMMENTから まだまだ救急医は楽できない(1)急性心不全 Diagnosing Acute Heart Failure: The Mathematician and the Clinician 最近、プログラム(人工知能ではない)による診断を扱った論文の論評が2本続いた。興味深いので、2回にわたって取り上げてみたい。 2009/12/22 循環器
J Am Coll Cardiol誌Editorialから CRTを軽症心不全にも適応拡大すべき時、それは今なのか Is it Time to Expand the Use of Cardiac Resynchronization Therapy to Patients With Mildly Symptomatic Heart Failure? QRS幅延長の所見があるNYHA III~IV度の心不全患者において、転帰を改善することが証明されている心臓再同期治療(CRT)の有効性を、無症候性~軽度の症候性心不全患者において評価したREVERSE (Resynchronization reverses remodeling in systolic left ventricular dysfunction study) 試験の… 2009/11/02 循環器
Ann Intern Med誌EDITORIALから 心房細動に対してワルファリンは処方しすぎなのか? Do Current Guidelines Result in Overuse of Warfarin Anticoagulation in Patients With Atrial Fibrillation? Ann Intern Med誌9月1日号に、米・マサチューセッツ総合病院のDaniel E. Singer氏らによる、ワルファリンの塞栓症予防効果の純便益に関する論文[1]が掲載された。その論文について、米・テキサス大学のRobert G. Hart氏らが同誌EDITORIALに投稿した論評を考察してみよう。… 2009/10/05 循環器
Ann Intern Med誌REVIEWから 旅行時間が2時間延びると静脈血栓塞栓症リスクは18%上昇 Meta-analysis: Travel and Risk for Venous Thromboembolism ロングフライト症候群とかエコノミー症候群として知られる旅行に関連した静脈血栓塞栓症(VTE)は、旅行とVTEが当然関係しているのだという仮定を前提にした用語だが、驚くことに従来の疫学研究の半数は、両者が無関係であるとしてきた。… 2009/09/09 循環器
J Am Coll Cardiol誌Editorialから 血糖コントロールは“ど真ん中”を狙え Aiming for the Best Control of Glycemia in Patients With Heart Failure and Type 2 Diabetes:The "Sweet Spot" J Am Coll Cardiol誌7月28日号で米ベイラー大学のDavid Aguilar氏らは、糖尿病を合併する心不全患者における血糖管理と死亡率の関連を見た後向き観察研究の結果を報告した[1]。この論文について同じ号で、米ジョスリン糖尿病センターのLarry A. Weinrauch氏が論評している[2]。… 2009/08/25 循環器
J Am Coll Cardiol誌Editorialから CARP遺伝子は肥大型・拡張型の両方で心筋症の原因に Phenotypic Heterogeneity of Sarcomeric Gene Mutations: A Matter of Gain and Loss? J Am Coll Cardiol誌7月21日号に、原因不明の難病として特定疾患に指定されている特発性心筋症で新たな原因遺伝子を発見したとする2編の論文が掲載された。同一の遺伝子が、肥大型心筋症と拡張型心筋症という、ある意味で対極にある2つの病態の原因遺伝子となるという興味深いもので、同号におい… 2009/08/18 循環器
N Engl J Med誌Perspectiveから 臨床現場でプラスグレルをどう使うか Prasugrel in Clinical Practice Brigham and Women's HospitalのDeepak L. Bhatt氏は、7月15日にインターネットで公開されたN Engl J Med誌Perspectiveで、プラスグレルの臨床使用についての見通しを語っている[1]。プラスグレルは7月10日、経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者における血栓性心血管イベン… 2009/08/10 循環器
Circulation誌Editorialから AF患者のうつ病非治療と抗凝固療法非実施のリスクは同等? Is It Time to Treat Depression in Patients With Cardiovascular Disease? うつ病が冠動脈疾患や心不全の予後を悪化させる報告はあったが、心房細動と心不全の合併症例についての報告はなかった。Circulation誌7月14日号でカナダ・モントリオール心臓協会研究センターのFrasure-Smith氏らは、心房細動と心不全を合併した患者の予後をうつ病が悪化させることを初めて報告し… 2009/08/03 循環器
Ann Intern Med誌Editorialから スタチン関連筋炎、RCTと症例報告のどちらを重視すべきか Balancing Randomized Trials With Anecdote バイアスなく厳密に評価できるはずの無作為化対照試験(RCT)で安全と判定された薬物の重大な有害反応が、幾度となく報告されてきた。RCTでは、薬物有害反応の起こりやすい高齢者・重症者・多剤服用者を系統的に除外しており、頻繁には起こらない有害反応を検知するには不十分な症例数と観察期間… 2009/07/23 循環器
Ann Intern Med誌Reviewから β遮断薬による心不全の死亡率改善効果は心拍数減少度に依存 Meta-analysis: β-Blocker Dose, Heart Rate Reduction, and Death in Patients With Heart Failure 安静時の心拍数が心不全の予後規定因子であることは既に知られているが、心不全に対するβ遮断薬の予後改善作用が投与量に関連するのか、あるいは心拍数低下の程度に関連するのかについては、いまだ明らかではない。β遮断薬の用量は副作用発現と関連があり、さらに心不全の非専門施設においては… 2009/07/01 循環器
Circulation誌Editorialから 院外心停止者の救命率向上のため“CBA”の心脳蘇生へ Do modifications of the American Heart Association guidelines improve survival of patients with out-of-hospital cardiac arrest? 5月19日付けのCirculation誌Editorial[1]で著者のGordon A. Ewy氏は、同号に掲載された米国ジョージタウン大学のAlex G. Garza氏らの論文「Improved patient survival using a modified resuscitation protocol for out-of-hospital cardiac arrest.(胸骨圧迫を中断しないことを強調するプロトコ… 2009/06/16 循環器
JAMA誌Editorialから なぜ米国では非専門医によるICD埋め込みが多いのか Physician Credentials and ICD Implantation: Certified "Electricians" Best Deal With Electrical Problems 4月22日付JAMA誌Edeitorial[1]は、ICD植え込みを非専門医が行うと合併症が増えると結論した米エール大学Jeptha Curtis氏らの論文(Association of Physician Certification and Outcomes Among Patients Receiving an Implantable Cardioverter-Defibrillator[2])に関する、米ニュージャージー医… 2009/06/02 循環器
Ann Intern Med誌Editorial Evidence-basedの意味合いにご用心 Optimal Duration of Anticoagulation After Venous Thromboembolism:Fixed and Evidence-Based, or Flexible and Personalized? Ann Intern Med 誌5月5日号のEditorialは、イタリア・パデュア大学のPrandoni氏らの論文に対する、米・Brigham and Wemens HospitalのGoldhaber氏による論評だった。 2009/05/21 循環器
Ann Intern Med誌Editorial Evidence-basedの意味合いにご用心 Optimal duration of anticoagulation after venous thromboembolism:fixed and evidence-based, or flexible and personalized? Ann Intern Med 誌5月5日号のEditorialは、イタリア・パデュア大学のPrandoni氏らの論文に対する、米・Brigham and Wemens HospitalのGoldhaber氏による論評だった。 2009/05/21 循環器
J Am Coll Cardiol誌 STATE-OF-THE-ART PAPER 免疫系と慢性心不全:心不全に対する免疫修飾療法の可能性 The Immune System and Chronic Heart Failure: Is the Heart in Control? TNFαをはじめとして多数の炎症性・抗炎症性サイトカインが慢性心不全の病態に関与しているとされるが、相反する報告もあり、免疫系の役割はいまだ不明である。にもかかわらず多くの免疫修飾療法が試みられており、その結果も一定していない。… 2009/05/14 循環器
J Am Coll Cardiol誌 STATE-OF-THE-ART PAPER 免疫系と慢性心不全:心不全に対する免疫修飾療法の可能性 TNFαをはじめとして多数の炎症性・抗炎症性サイトカインが慢性心不全の病態に関与しているとされるが、相反する報告もあり、免疫系の役割はいまだ不明である。にもかかわらず多くの免疫修飾療法が試みられており、その結果も一定していない。… 2009/05/14 循環器
J Am Coll Cardiol誌 STATE-OF-THE-ART PAPER 正常左室駆出率の心不全 Heart Failure With Normal Left Ventricular Ejection Fraction 心不全の約半数が、左室駆出率(EF)は正常の、いわゆるHFNEF(heart failure with normal ejection fraction)であることが報告されている。HFNEFはEF低下心不全症例と比較して、高齢、女性、高血圧、肥満、腎不全、貧血、心房細動の比率は高いが、糖尿病(約3割)と冠疾患(約4~5割)の比率は変… 2009/04/21 循環器
J Am Coll Cardiol誌 STATE-OF-THE-ART PAPER 正常左室駆出率の心不全 心不全の約半数が、左室駆出率(EF)は正常の、いわゆるHFNEF(heart failure with normal ejection fraction)であることが報告されている。HFNEFはEF低下心不全症例と比較して、高齢、女性、高血圧、肥満、腎不全、貧血、心房細動の比率は高いが、糖尿病(約3割)と冠疾患(約4~5割)の比率は変… 2009/04/21 循環器
日本循環器学会2009 第5回心臓移植セミナー 海外渡航移植に依存する日本の心臓移植に警鐘 イスタンブール宣言で渡航移植の門戸が閉じられつつあるのだが・・ 第73回日本循環器学会総会・学術集会の初日(3月20日)、「我が国の心臓移植はどのようにあるべきか―将来への提言」というテーマで第5回心臓移植セミナーが行われ、医療関係者以外からも貴重な報告と提言があった。その概要を筆者の記憶に基づいて再現する。… 2009/04/08 循環器
Ann Intern Med誌から 脂質低下1次予防戦略の公衆衛生的インパクトと費用対効果 スタチンの価格と社会のコスト負担許容額により異なる結論 脂質低下療法はコストがかかるが、冠動脈疾患のリスクを減少させるのに有用である。しかしスタチンが高価であることやその副作用を考慮すると、医療政策として投与すべき患者層の決定は容易ではない。… 2009/03/12 循環器
N Engl J Med誌から 薬理遺伝学的アルゴリズムでWarfarin初回投与量を決める 臨床医の日常的な疑問に答えるものではないが、1つの到達点を示す論文 経口抗凝固療法の開始時にワルファリンの投与量を決定する際、同薬剤の薬物動態にかかわる遺伝子多型を考慮すべきという指摘があるものの、遺伝情報を用いた実際的な決定方法について、多様かつ大規模な集団を対象とした評価はなされていない。… 2009/02/26 循環器
N Engl J Med誌速報 ドロネダロンが心房細動患者の総死亡+初回入院を24%減少 「調律管理」対「心拍数管理」議論を再燃させる可能性も、ATHENA試験 アミオダロンの副作用を軽減する目的で、アミオダロンからヨウ素を除去しメタンスルホニル基を導入したベンゾフラン誘導体が、新規III群抗不整脈薬「ドロネダロン」(サノフィ アベンティス社)として開発された。アミオダロン類似の電気薬理学的特性を持つが、脂溶性と半減期が低下し組織蓄積が… 2009/02/17 循環器
Ann Intern Med誌から Warfarin代謝酵素の遺伝子多型検査に医療費抑制効果なし 出血リスクが高い、結果がすぐ分かる、検査費用が安い場合などならペイできる ワルファリンの薬理作用に影響を与える遺伝子は約30個知られているが、個々の患者による投与量の違いの3分の1は、2つの遺伝子すなわちCYP2C9とVKORC1の遺伝子多型によって説明される。これら特定の多型を有する患者では、ワルファリン導入時の出血リスクが3倍になることが知られている。… 2009/02/16 循環器
1分間だけ基礎医学 遺伝子診断で生活習慣病のリスク評価が変わるのか 既知の危険因子に比して遺伝的因子の影響は小さい アポ蛋白は、血中での脂質搬送体であるリポ蛋白の表層に存在し、リポ蛋白が細胞内に取り込まれる際に細胞側の受容体と結合するリガンドとなる蛋白です。アポ蛋白の一種であるApoEは、超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)などのリポ蛋白上に存在して、これらのリポ蛋白が肝臓に取り込… 2009/02/05 循環器
JAMA誌から 拡張不全があると年齢以上に運動耐容能が低下する 運動やARBなどによる拡張不全への介入が今後の検討課題に 運動能力を規定する因子として、年齢、性別、肥満度(BMI)、合併症などが挙げられているが、詳細は明らかではない。年齢が最も強い規定因子とされ、その機序は最大心拍数の抑制にあるとされる。しかしこれは修正不可能な因子であり、運動能力の男女差を規定する心拍出量や骨格筋量の違いも修正不… 2009/02/02 循環器
N Engl J Med誌から 圧ワイヤーでPCIのアウトカムとコストを改善 冠血流予備量比によるステント挿入判定は血管造影単独より有用 薬剤溶出ステント(DES)の出現で多枝冠動脈疾患に対するPCIの頻度が増え、コストの問題や晩期合併症の問題などから、DESの適切な適応判定が極めて重要な問題となっている。オランダCatharina病院のToninoらは、DES(Endeavor、Cypher、Taxus)留置の適応判定に際し、血管造影単独と、血管造影に… 2009/01/26 循環器
Look back Cardiology 2008 08年の臨床試験から抽出できる7つのキーワード 2008年は、100年に1度という世界金融恐慌が始まった年として記憶されるのかもしれません。ですが、こと医療に関していえば、わが国のみならず米国でも、国家レベルでの医療供給体制が大きな曲がり角を迎えた年として記憶されることになると思います。08年の重大医療ニュースといえば、わが国では… 2009/01/01 循環器
速報 NEJM+Lancet クロピドグレルの作用は遺伝的代謝能の影響を受ける 循環器領域でも個別化医療がいよいよ離陸か 抗腫瘍薬の塩酸イリノテカンについて、米食品医薬品局(FDA)は既に2005年、その代謝酵素であるUGT1A1の*28多型を判定する診断キット(Invader UGT1A1 Molecular Assay、米Third Wave Technologies, Inc.;TWT社製)の臨床使用を承認。… 2008/12/26 循環器
1分間だけ基礎医学 Science誌のブレークスルー2008は「細胞錬金術」 マイクロRNA-21が心不全治療の標的となる可能性示す論文にも注目 毎年恒例のScience誌「今年の画期的研究(Breakthrough of the Year)」第1位に「細胞錬金術」として細胞初期化技術が選ばれました。もちろん、わが国の山中伸弥・京大教授のiPS細胞[1]にも言及されています[2]。 2008/12/24 循環器
AHA2008 Overview 特別編 アスピリンは本当に糖尿病者のCVD一次予防に無効なのか 有意差は出なかったがLBCTセッションで高く評価されたJPAD 11月9日、16時過ぎ。AHA2008の会場となったErnest N. Morial会議場。センセーショナルな大規模臨床試験「JUPITER」の発表と質疑が終了しても、席を立つ聴衆はほとんどいなかった。彼らが身じろぎせず待っていた次の発表は、「JPAD」。さっそうと小川久雄教授が登壇したが、相変わらずAV機器の調子… 2008/12/17 循環器
Circulation誌から AFの経口抗凝固療法はTTRを指標としたINR管理が必要 TTRが60~65%以下では抗血小板薬治療と同等の効果しかない 心房細動において脳卒中や血管イベントを最も有効に阻止するのは経口抗凝固療法(OAC)であることは、無作為化臨床試験のメタ解析から明白である。OAC効果の個人差や個人内での日差変動から、INRを用いた投与量調節が国際的に行われている。… 2008/12/12 循環器
AHA2008 Report about the JUPITER vol. 2 木星ないしは雷神という名の“衝撃波”が世界を襲った(下) エキスパートオピニオンをインターネットで集める 米国心臓協会・学術集会2008(AHA2008)で11月9日に発表されたJUPITER試験。同日にはN Engl J Med誌オンライン版に原著論文が掲載された[1,2]。その衝撃波は、瞬く間に世界に広がっていった(記事vol.1はこちら) 2008/12/01 循環器
AHA2008 Report about the JUPITER vol. 1 木星ないしは雷神という名の“衝撃波”が世界を襲った(上) 心血管イベント予防のため健常人でも炎症マーカーをみるべきか 米国ルイジアナ州ニューオーリンズ、2008年11月9日(日曜日)の午後3時45分。私は米国心臓協会・学術集会2008(AHA2008)会場にいた。共同研究者がポスター発表していたErnest N. Morial会議場のHall Aから、オープニングセッションに引き続きLate Breaking Trialの発表が行われるHall Fに戻った… 2008/11/26 循環器
J Am Coll Cardiol誌から β遮断薬による徐脈で高血圧患者のイベントリスクが上昇 「積極的適応となる合併症がない場合は推奨されない」とKaplan氏 安静時の心拍数が心血管疾患の独立した危険因子になることは、急性心筋梗塞、高血圧、冠動脈疾患などで証明されてきた。心拍数を減少させることは有益なはずで、例えば運動により安静時心拍数が減少すれば生存率は改善する。無作為化臨床試験(RCT)のメタ解析では、心筋梗塞の急性期・慢性期にお… 2008/11/13 循環器
Ann Intern Med誌から 運動負荷時、右脚ブロックタイプの心室性不整脈に注意 2925例を平均23.6カ月追跡したコホート研究からの知見 運動負荷試験で観察される運動誘発性心室性不整脈(EIVA)の予後予測性については、意見の一致をみていない。EIVAが冠動脈疾患や臨床転帰不良と関連するとの報告は既にある。しかし、明らかな心疾患がなければEIVAは短期の予後不良を意味しないという報告がある一方、EIVAの中で繰り返すタイプの… 2008/11/07 循環器
NEJM誌から 急性心筋梗塞でもDESがBMSに勝る Propensity Scoreを用いたリアルワールドデータの解析結果 これまで、薬剤溶出ステント(DES)とベアメタルステント(BMS)を比較する多くの無作為化比較対照試験(RCT)は、急性心筋梗塞(AMI)を除外していた。AMIを対象にDESとBMSを比較したRCTは比較的小規模で(300~700症例)、追跡期間も1年以下と短かった。… 2008/10/29 循環器
J Am Coll Cardiol誌Online版速報 NYHA I~IIの心不全に対してもCRTは有効 REVERSE研究。適応拡大には追い風となる結果だが・・ 心臓再同期療法(CRT)が、NYHA III~IV度の心不全患者のQOLや心不全重症度、運動耐容能、死亡率などを改善することは知られている。だが、CRTが軽症の心不全の進展を抑制するかについては、NYHA II度を対象とした2つの研究があるものの6カ月間の追跡であり、無症候性心不全も含まれていないなど… 2008/10/17 循環器
J Am Coll Cardiol誌から 心房細動があっても心臓再同期療法は有用か 洞調律に比べ駆出率は有意増加したが、臨床転帰の改善は洞調律が優れた 洞調律(SR)の重症心不全患者に対する心臓再同期療法(CRT)の有効性は確立している。しかし心不全患者の3分の1は心房細動(AF)を合併しているにもかかわらず、これまでのシステマティックレビューは心房細動患者を除外しており、AF合併例に対するCRTの効果はよく分かっていなかった。そこで、U… 2008/10/09 循環器
Ann Intern Med誌から COPD治療薬による総死亡・心血管死亡リスク 大規模なコホートによるリアルワールドでの調査結果が判明 医薬品安全性監視の観点からは、薬剤の使用による死亡といった発生率が低い有害事象は、治験のような短期間の追跡では不十分である。さらに治験の被験者より薬剤発売後に処方された患者の方が、有害事象を被りやすい傾向にある。特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)のように患者に高齢者が多く様々な合… 2008/10/02 循環器
J Am Coll Cardiol誌から 高血圧患者の心不全1次予防としてのβ遮断薬 効果は他降圧薬と同等。脳卒中の増加から、高齢者では第1選択にならず フラミンガム研究によれば高血圧は心不全発症の大きなリスクで、男性の心不全の39%、女性では59%が高血圧に起因するとされる。高血圧により心不全発症リスクは2倍となるが、これはすべての危険因子の中で最も大きなリスクであり、なおかつ血圧の上昇に比例してリスクは増加する。しかも、心不全… 2008/10/01 循環器
Circulation誌から 営利組織が支援した臨床試験の方が引用されやすい JAMA、Lancet、NEJMに掲載された心血管系試験の引用回数を集計 営利組織が支援した臨床試験は、非営利組織が支援した臨床試験よりもポジティブな結果が多いとされる。しかし、1つのエビデンスが医師の治療行為を変え得るわけではなく、その結果が医学界でどのように広まったかも大きな影響を持つ。Conenらハーバード大Brigham and Women's hospitalの研究グル… 2008/09/25 循環器
NEJM誌Online版速報 強力な脂質低下療法を行っても大動脈弁狭窄症は改善せず シンバスタチンとエゼチミブを併用、虚血関連イベントは減少するも癌が増加 大動脈弁狭窄症の弁尖における組織病理学的変化は、血管におけるアテローム性動脈硬化症の変化と同様の炎症性変化であることが知られている。弁膜のこの変化は、血管の閉塞や冠動脈疾患の徴候がなくても、心血管死や心筋梗塞のリスク増加と関連する。… 2008/09/22 循環器
J Am Coll Cardiol誌から ω3不飽和脂肪酸は日本でも心不全死を減少させていた GISSI-HFと同様な傾向を確認した、わが国のJACC研究 西欧では魚やω-3不飽和脂肪酸(ω-3 PUFA)の食事摂取が虚血性心疾患のリスクを軽減することが多数報告されてきたが、アジア諸国での情報は不足している。本邦についても、2つのコホート研究(NIPPON DATA80、JPHC研究)と1つのRCT(JELIS研究)に限られている。しかも脳卒中や心不全との関連と… 2008/09/16 循環器
Circulation誌から ST上昇型急性心筋梗塞においてもDESが優位に DEDICATION試験の結果、ただし心臓死は増える傾向に 薬剤溶出ステント(DES)は狭心症治療に対する効果は確立しているものの、プライマリーPCIとして施行されるST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)に対しての使用は、まだ知見が不足している。発症12時間以内のSTEMI患者においてプライマリーPCIは治療の選択肢の1つであるが、DESはいまだoff-label useで… 2008/09/09 循環器
Ann Intern Med誌から 膝関節鏡手術後にも低分子ヘパリン投与を 弾性ストッキングより血栓症発症は低く、出血性合併症は増加せず 膝関節鏡手術は侵襲度も低く整形外科では最も一般的な手術の一つであり、世界中で年間約350万例も施行されている。特にスポーツによる半月板損傷がその原因の大半であるため、若い患者が多い。本手術でも深在静脈血栓症の明確なリスクがあるものの、これまで血栓予防策はルーチンには推奨されてい… 2008/09/08 循環器
特報◆感染性心内膜炎予防のための抗菌薬投与 vol. 1 ACC/AHA心臓弁膜症ガイドライン、大幅改訂される 極めて限定的になった抗菌薬予防投与の適応 ACC/AHA(米国心臓学会/米国心臓協会)のガイドライン改訂委員会は、心臓弁膜症(以下、VHD)2006年版ガイドラインにある感染性心内膜炎(IE)の予防策の部分を改訂し、歯科処置のための抗菌薬の予防的投与は特定の患者のみに限定すると勧告。8月19日付けのJournal of American College of Cardio… 2008/09/03 循環器
Circulation誌Online版速報 心不全入院患者における心臓再同期療法の適用状況 リアルワールドとガイドラインの違いが明らかに 無作為化臨床試験のエビデンスやACC/AHAガイドラインでの推奨により、心臓再同期療法(CRT)が急速に普及している。しかし臨床試験以外での、臨床現場におけるCRTの使用頻度や患者背景などについては、情報が不足している。限られた医療資源の有効活用に資する目的で、実際の臨床現場におけるCRT… 2008/08/25 循環器
Ann Intern Med誌から 青年期の前高血圧は中年期における冠動脈石灰化のリスクに 後の高血圧発症とは無関係に青年期の前高血圧が有害であることを初めて示す 35歳以下の青年期に前高血圧(prehypertension、120-139/80-89mmHg)だった人は、中年期になったとき冠動脈石灰化がより進行していることを示す研究結果が発表された。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のプレッチャーらのグループによる前向きコホートを用いた調査で、Ann Intern Med誌7月15… 2008/08/21 循環器
Ann Intern Med誌から コーヒー摂取と低い総死亡・心血管死亡が有意に関連 男性18年間、女性24年間の前向き追跡研究から結論 コーヒー摂取が健康に与える影響についての報告は多数あり、最近では2型糖尿病や心疾患リスクを低下させるとの報告もある。実際には有益であるという報告と有害であるという報告が入り混じっている。コーヒー摂取が炎症を抑制することで総死亡率と逆相関したという報告もあるが、死亡率との関連に… 2008/08/20 循環器