システム導入費、月額利用費の無料提供を実現 医療従事者と患者さんとのコミュニケーションの橋渡し役を目指して -オンライン診療サービス「MediTel」の本格稼働― メディアコンテンツファクトリー 代表取締役社長 毛塚 牧人氏 × NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 担当課長 清藤 亮氏

2018年度の診療報酬改定で「オンライン診療料」および「オンライン医学管理料」が新設され、外来診療、入院診療、在宅診療に次ぐ診療行為として、スマートフォンなどのテレビ電話機能を用いたオンライン診療が注目されている。現状では導入している医療機関は限られているものの、今後、日常診療に大きな影響を与える可能性が期待されている。このような状況の中で、株式会社NTTドコモが開発したオンライン診療サービス「MediTel」が本格稼働しようとしている。

なぜMediTelはオンライン診療サービスを無料で提供しているのか

株式会社メディアコンテンツファクトリーと株式会社NTTドコモは、オンライン診療サービス「MediTel」の早期普及を目的として、システム導入費、月額利用料を無料で提供するサービスを2018年11月から開始している。さらに、患者さんのサービス利用料も無料とする業界初のサービスになっているという。まずは、NTTドコモの清藤亮氏に、オンライン診療サービス「MediTel」の概要について伺った。

「MediTelは、患者さんがスマートフォンアプリを用いてオンラインで診療予約、テレビ電話による受診や医師とのコミュニケーション、クレジットカードによる決済などを行える診療および診療支援サービスです。加えて患者さん自身で体重や血圧などの日々のデータを入力することで、自己管理にも利用することが可能です。この入力されたデータを見て医師は、患者状態の把握、治療方針の検討などを行うことができます。MediTelを活用することで、患者さんは通院のための移動や待ち時間などの負担を軽減することができ、治療中断の回避、患者さんと医師との協働による治療などに貢献できると考えています」

また、NTTドコモとともにMediTelの運用に携わるメディアコンテンツファクトリーの毛塚牧人氏は、無料でサービスを提供する理由についてこう語る。

「現在、数多くのオンライン診療サービスが存在していますが、その市場規模はまだ限定的です。オンライン診療は患者さんにとっても大変便利で、医師にとっても治療の継続を実現する効果的かつ効率的な手段となり得るはずですので、今後は徐々に市場が拡大していくものと確信しています。しかし、現状での診療報酬の算定要件などを勘案すると、有料のオンライン診療では医療機関の経済的なメリットは得られにくいのではないかと考えました。そこで、まずは医療機関に初期費用を抑えてオンライン診療システムを導入していただき、医療機関と患者さんにこのメリットを実感していただきたいとの想いから、無料によるサービスの提供を開始しました。これを通じ、医療機関、患者さん、私たちとのwin-winの関係が構築できればと思っています」

また、将来的には新たな機能を有料で追加提供していくことも視野に入れているという。なお、診察料やシステム利用料については患者さんに請求することが可能で、医療機関にはクレジットカードの手数料が別途請求される。また、患者数や医師アカウント数などによって料金が発生することはない。

NTTドコモとメディアコンテンツファクトリーとの協業の狙い

NTTドコモは、健康アプリや健康製品を介した一人ひとりの“未病”に貢献するさまざまなサービスを展開してきた。しかし、医療機関と患者とをつなぐメディカルビジネスへの参入は今回が初めてのケースとなる。では、どのような経緯でNTTドコモはMediTelを開発したのだろうか。

MediTelは、NTTドコモ社内の新規事業創出プログラム「39works」によって開発された製品だという。39worksは未来の“あたりまえ”を創りたいというスローガンを掲げ、未来を支える大きなイノベーションを生み出すため、ユーザーファースト、パートナーとの共創を軸に新規事業開発に取り組んでいる。

「これまで患者さんは、通院しなければ薬はもらえない、医師とは診察室でしか話ができないということがあたりまえと思っていました。働き方やライフスタイルが多様になった現在において、患者さんが自ら受診機会を選択できるような医療はありえないだろうか。ICTを活用し、自宅などからのオンライン診療で患者さん自身が治療に積極的に携わる医療を実現したい。このような発想で社内からアイデアが浮かび、MediTelが誕生しました」と清藤氏は語る。

さらに、NTTドコモはMediTelの本格的な普及を目指し、運用およびサービス提供会社としてメディアコンテンツファクトリーを選定した。この理由について清藤氏は、「メディアコンテンツファクトリーは、医療をわかりやすくするためのコンテンツ作りをモットーとし、待合室のディスプレイでさまざまな情報を発信できるサイネージ、医療機関のホームページ制作、来院前にタブレットやスマートフォンで入力する問診ツールなどのサービスを提供しています。このような、医療機関と患者さんとのコミュニケーションに貢献する豊富なノウハウを持つ会社と事業を進めることで、MediTelによるオンライン診療の普及をより加速させ、医療機関や患者さんからの意見を広く収集しながら、診療の現場に即したサービスの開発と提供を進めていくことができると考えました」と語った。

オンライン診療の現状の課題と今後の展望

現状では、どのような患者さんがオンライン診療を利用しているのだろうか。医療機関側のメリットも含めて毛塚氏に伺った。

「MediTelを導入している医療機関では、患者さんは来院する必要がなく、待合室で待つこともなく診察を受け、薬を処方してもらうことができます。これにより、患者さんの満足度が向上し、長期的には集患力のアップが期待されます。さらに、定期的に通院している患者さんにMediTelによるオンライン診療を紹介することで、診療業務自体はもちろん、それに伴うさまざまな患者対応の効率化にもつながります。また現状、オンライン診療を利用しているのは、糖尿病、甲状腺疾患、高血圧などの慢性疾患の患者さんが多いようです。これらの疾患は治療が長期にわたるため、血液検査などで来院が必要な日以外はオンライン診療を利用することで継続的な治療が可能になっていると伺っています。加えて、オンライン診療を導入することで、診察室という緊張を強いる環境では見えにくかった患者さんの状態や生活習慣などが把握でき、よりきめ細かな治療にも役立てられているようです。」

さらに、毛塚氏はオンライン診療が向かう方向性について、次のように思いを語る。

「今後、スマートフォンを使いこなしている現役世代が高齢者となり、介護分野を含めた高齢者医療においてオンライン診療の進展が見込まれると考えています。例えば、訪問診療とオンライン診療を組み合わせることで、介護士なども交えた多職種連携による効率的な在宅医療の実現に貢献できるのではないかと期待しています。現状では、オンライン診療料やオンライン医学管理料の算定にはさまざまな要件が付加されていますが、近い将来オンライン診療が広く普及し、その評価が確立される中で保険診療における位置づけも変わってくるかもしれません」

どんなに有効性が高い治療薬が処方されても、患者さんが医師の指示通りにきちんと服用しないと十分な効果は得られない。そのため、最近は”服薬アドヒアランス”をいかに向上させるかが、あらゆる疾患の治療において重要な課題のひとつとなっている。オンライン診療を通じて患者さんに直接服薬の重要性を説明したり、残薬の状況を確認したりすることは、効果的な解決手段になると思われる。また生活習慣病などでは、自覚症状がないため通院を勝手に止めてしまう患者さんが少なくない。オンライン診療により治療継続率が向上し、疾患の重症化を防ぐことで医療費の削減につながる可能性も考えられる。

最後に清藤氏は、「今後、MediTelによるオンライン診療、医療従事者と患者さんとのコミュニケーションのプラットフォームをベースに、さまざまな付加価値を産み出すサービスの開発に努め、オンライン診療がより一層医療現場の中で浸透するように貢献していきたい」と結んだ。

MediTelの特長的な機能

患者さんの診療のタイミングをカレンダー画面で抜け漏れなく管理

臨時休診など患者さんへのお知らせなどをメッセージ送信できる

患者さんの顔や表情を見ながらオンライン診療が可能。発信は医師から行う