DOCTOR COMMENTS

一ノ瀬 正和 先生

一ノ瀬 正和 先生
和歌山県立医科大学医学部内科学第三講座 教授

COPDの進行や生命予後に関わる増悪には、
チオトロピウムが高い効果を示す

COPD治療におけるPOET試験の意義についてお教えください。

一ノ瀬COPDに対しては数年前まで、気管支拡張薬を用いて症状を改善することが一義的に重要と考えられてきました。しかし最近、気管支拡張薬が増悪の発現を抑制すること、また、死亡率および疾患の進行にも効果を示しうることが認識され、このような有効性に薬剤間の差があるのかが注目されています。
POET試験では、長時間作用性抗コリン薬チオトロピウムと長時間作用性β2刺激薬サルメテロールという、世界で広く用いられている薬剤を用い、増悪への効果を直接比較しています。過去にも同じような試験はありましたが、試験期間が短く対象例数があまり多くなかったために、群間の差を評価するには限界がありました。POET試験では増悪を1年にわたり、多数の対象患者において検討した点が注目されます。

今回報告されたPOET試験の結果についてはどう思われましたか。

一ノ瀬チオトロピウム群で脱落の頻度が有意に低いことは、本剤の忍容性が高いことを示しています。またサルメテロール群に比較した初回増悪のリスクが、有意に17%低下(p<0.001、log rank test)しているのは大きいですね。さらに、入院を要する重度の増悪を28%も有意に低下(p<0.001、log rank test)させていることは重要です。国際的なガイドラインでファーストラインの1つとされている薬剤同士の比較において、疾患進行や生命予後に関連する増悪、特に重度の増悪に対して高い抑制効果を示すという結果は、強力なエビデンスになると思います。

UPLIFTおよびPOET試験から導かれることについて、お考えをお聞かせください。

一ノ瀬COPDは長い間、治療にあまり反応しないと考えられており、早期診断の重要性も認識されていませんでした。治療効果が十分でないという認識が広まっていたのは、最近まで「治療により何が改善するか」が明確に提示されていなかったからでしょう。しかし2008年に報告されたUPLIFT試験とその後のサブ解析においては、チオトロピウムが死亡率に好ましい効果を示すことや、早期ないし未治療のCOPDの進行を有意に抑制することが明らかになっています。
こうしたUPLIFT、そして今回のPOET試験の結果は、COPDに関して今後より早期の診断および治療介入を推進しなければならないことを示しています。呼吸器専門医の先生方はもちろん、一般医の先生方にも、両試験の結果を広く知っていただく必要があると思います。

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