医薬品副作用被害救済制度Q&A

近藤 達也 氏

医薬品によって重篤な健康被害を受けた患者を救済するための公的制度である「医薬品副作用被害救済制度」。必要な患者が利用できるように、医師や薬剤師のサポートが必要だ。医療者が知っておきたい、医薬品副作用被害救済制度のQ&AをPMDA(医薬品医療機器総合機構)理事長の近藤達也氏に解説してもらった。
PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)とは、どんな機関ですか?

A

PMDAのセイフティ・トライアングル

 PMDAは、国民保健の向上に貢献することを目的として、薬事法に基づく医薬品や医療機器の承認審査及び安全対策ならびに健康被害救済業務の3つの業務を行う厚生労働省所管の独立行政法人です。

 この3つの業務は、国民の健康を中心に相互に関係し、医薬品や医療機器などの開発から使用までの全般に関わる「セイフティ・トライアングル」という、世界に類を見ない日本独自の素晴らしい仕組みです。
医薬品副作用被害救済制度とは?

A

 医薬品副作用被害救済制度は、医薬品により健康被害を受けられた方を迅速に救済するために、昭和55年に設立された公的な制度です。

医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害者に対して、各種の副作用救済給付 を行い、被害者の迅速な救済を図ることを目的としています。薬剤師の皆さんは、この制度を知っていただき、患者さんに制度について、伝えていただきたいと思います。
■救済給付件数、支給額の年次推移
 
どのような場合に 救済給付が受けられるのでしょうか。

A

 医療用医薬品、一般用医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用によって、入院治療が必要な程度の疾病や、日常生活が著しく制限される程度の障害などの健康被害を受けた場合、被害を受けた本人が請求することで、救済給付を受けることができます。副作用救済給付は医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料の7種類に分けられています。
救済給付が不支給となるのはどのような場合でしょうか。

A

 対象とならないのは、医薬品の使用目的・方法が適正であったとは認められない場合や、健康被害が入院治療を要する程度ではなかった場合などがあります。

 2008年度から2012年度の不支給決定された理由の内訳では、「医薬品により発現したとは認められない(40%)」「使用目的または使用方法が適正とは認められない(28%)」「入院を要する程度または障害の等級に該当しない(17%)」でした。
支給・不支給の割合(2008〜2012年度)

 このうち、「使用目的または使用方法が適正とは認められない」として不支給だった例には、原則禁忌の患者に使用されたものや添付文書に記載されている検査が適切に実施されていないものがあります。

 実際には、個々の事例ごとに厚生労働省に設置された薬事・食品衛生審議会の判定部会において、現在の医学・薬学の学問水準に照らして総合的な見地から判断されますが、「使用目的または使用方法が適正とは認められない」ケースとは、原則としては、添付文書にある使い方をしていない場合であり、原則禁忌の患者に使用されたものや添付文書に記載されている検査が適切に実施されていないものがあります。

 薬剤師の皆さんには、添付文書をしっかり確認して、必要に応じて医師に疑義照会したり、定期的な検査が必要な薬については、患者に検査実施の有無を確認するなど、適正使用のサポートをしていただきたいと思います。

 また、たとえば家族の薬など、処方された本人以外が自己判断で薬を使用した場合も、適正な使用とは認められません。服薬指導の際には、薬を誰かからもらったり、誰かにあげたりしないように、十分説明するようにしてください。
副作用救済給付を受けるには、どうすればいいのでしょうか。

A

 副作用救済給付を受けるためには、発現した副作用の症状および経過とその原因とみられる医薬品との因果関係を証明しなければなりません。そのためには、副作用の治療を行った医師の診断書や処方を行った医師の投薬証明書、あるいは薬局等で医薬品を購入した場合は販売証明書が必要となりますので、それらの書類の作成を医師等に依頼し、健康被害を受けた本人(死亡した場合には、その遺族のうち最優先順位の人)が記入した請求書とともに、PMDAに提出します。

 なお、医療費・医療手当を請求する場合は、副作用の治療に要した費用の額を証明する受診証明書も必要となります。

 請求書、診断書などの用紙は、給付の種類によって違います。申し出に応じて無料でお送りいたします。また、PMDAのホームページからダウンロードすることができます。
薬剤師は、どのような 関わり方ができますか。

A

 薬物治療を受けている全ての方にこの制度を知っていただくことが必要だと考えています。そのためには、薬局で薬を患者さんに渡す際に、制度について紹介していただくことが大切だと思います。

 また、薬剤師の皆さんには、薬を適正使用のためのサポートをお願いします。副作用による健康被害が起こったときに、適正に使用していなかったために、救済給付が受けられないといったことが起こらないように、日ごろから適正使用に対する認識を高めていただきたいと思います。そのことが、患者さんを守ることにつながります。
医薬品副作用被害救済制度 特設サイト
PMDAメディナビ
PMDAメディナビ
PMDAメディナビ
独立行政法人医薬品医療機器総合機構