医療ITソリューション
「ドクターソフト体験説明会」開催!ホスピタルショウ期間中(7/12〜14)有明にて
クリニック稼動実績No1、BMLの電子カルテシステム。詳細情報はこちらから。

〜一般企業のIT化手法に学ぶ失敗しないIT導入の手引き〜

少子高齢化の進展、医療費自己負担率の増加による患者数の減少や診療報酬改定など、医療を取り巻く環境は大きな変革期を迎えている。これらの変化に対応していくには、今まで以上に医療業務/事務を効率化し、よりよい医療サービスを提供していかなければならない。その有効な手段の1つがITソリューションの活用だ。ここでは、一般企業のIT化をヒントに、失敗しない医療ITソリューションの導入について考えてみたい。


医療環境の変化はIT導入による改革のチャンス

法制度の改革などによる医療環境の変化が起こる中、医療の透明性の確保、患者サービスや経営効率の向上、地域医療の連携など、より質が高く効率的な医療を提供するための環境整備が課題となっている。そのためには、医療・経営業務の効率化を行う一方でコストや手間を低減させ、ミスを最低限に抑えることが不可欠となってくる。医療機関における各種の重複(検査、投薬、事務作業等)を省き、業務効率と医療サービスの質の向上を図る必要もあるだろう。また、地域医療連携の実現には各医療機関からの積極的な情報発信や情報共有が欠かせない。このような場合に、有効な手段となりうるのがITの活用だ。

しかし、医療現場におけるIT導入は、一般企業に比べて著しく遅れているのが現状だ。厚生労働省が調査したレセプト電算処理システム導入率は、1年前の9.6%から大幅にアップしているものの、2005年3月時点で17.5%にとどまっている(図1)。法制度の整備や電子レセプトへの対応の違いがあるとはいえ、韓国が2003年9月現在で95.1%(健康保険審査評価院資料)となっているのとは大きな隔たりがある。国内における医療ITの導入は、まだまだこれからだと言ってもよい。


図1 全国の病院レセプトのレセプト電算処理システム導入率

ITの導入をネガティブに捉える医療機関もあるが、決して“負担”だと考える必要はない。一般企業でも、情報の共有や経営の効率化を目的にITの導入が始まり、さらに個人情報保護や経営の透明化が求められるようになってからその動きは加速。中小規模の企業でも、顧客サービスと経営効率の両方を向上させた例は数多くある。医療機関においても、IT導入を“負担”ではなく“業務改革のチャンス”と考えて積極的に取り組む必要があるだろう。



予算と効果を考えてIT化に着手していく

ITによる効率化を検討する場合は、まず情報の収集から始めるとよいだろう。現在では、各ベンダーから多様なソリューションが登場してきている。中には、大容量のファイルサーバーとデータベースシステムを備え、電子カルテをはじめとするさまざまな機能と連携するようなシステムもある。

ここで重要なのは、現在の業務の棚卸しをした上で、何を実現しなければならないか(必要なシステムは何か)ということと、IT化にどの程度の予算を割くことができるかをきちんと把握することだ。つまり、各ベンダーが勧める機能を何でも取り入れるのではなく、“今抱える課題を解消できる機能は何か”を見極めて明確にし、予算とのバランスを取りながら徐々にシステム化していくというアプローチが重要なのである。また強調しておきたいのは、何もレセプトの電子化や電子カルテなどの“医療に特化したIT”だけでなく、パソコンを活用して会計や患者データの管理を効率化することなども“医療のIT化”の1つという点だ。

一般企業においても、最初から全体を包括するようなソリューションを導入するのではなく、一部を導入して効果を見極めつつシステムを拡大していくケースは多い。例えば、Webシステムを考えてみよう。最初は、予算の範囲内でWebサーバーと回線を用意して簡単なホームページを作成し、会社情報を配信していたとする。ここで会社の認知度が高まり、業績が上がれば、ホームページに検索機能や訪問者ごとにカスタマイズされたページを表示させるパーソナライズ機能、自社製品を販売するEC機能などを追加して顧客サービスを向上させていく。さらに予算が計上できれば、Webと社内にある顧客情報を連携させて柔軟な顧客サポートを実現したり、Webアプリケーションを利用して営業社員が社外から社内システムにアクセスして効率的な業務を行えるようになる。

医療機関の場合は目的や予算も異なるため一概には言えないが、まずはパソコンとLANを導入して情報共有や予約表などの簡単な効率化を実現していくことからはじめ、会計システムなどを導入。その後、電子カルテシステムやデータベースと連携した患者情報の管理システムを導入していくように、目的に合わせてシステムを拡充していくほうがスムーズなIT化を行えるはずだ。



導入しても使わなければ効果は生まれない

当然のことながら、せっかくIT化に着手してシステムを導入したとしても、現場でそれらが実際に使われなければ浪費で終わってしまう。システムが導入後使われずに宝の持ち腐れとなったケースは一般企業でもよく見られ、これらは社員への啓蒙と教育不足によることが原因となる場合が多い。

医療現場でも、システムを実際に利用する職員などのユーザーにシステム導入の目的と効果を導入前から説明しておくことが必要だ。特に、ある程度規模の大きな医療機関になると、IT導入前の体制造りも重要なポイントとなる。医療機関のトップがIT化についての姿勢を明確にし、これまでの業務の無駄が省けて職員の負担が軽減されることを理解してもらい、場合によっては軽減された負担を利用して何を行うべきかを説明する必要があるだろう。ユーザーが活用してこそ、導入の効果が生まれるからである。

さらにユーザーの“使い勝手”という点では、医療業務とITの両方に習熟した人材の確保も重要だ。病院は一般のシステムと異なる業務が発生するため、病院の業務やシステムに習熟した者を企画段階から確保しておく必要も出てくるだろう。

また、導入時には使い方をはじめとした教育も必要となる。使いこなすことで効率がアップし、ミスも防げるので導入時の教育は非常に重要だ。しかし、これらは難しく考える必要はなく、システムを導入するベンダーに相談すれば、ある程度のサポートは受けられるはずだ。逆に言えば、導入だけを勧めて職員教育の必要性を無視するベンダーは、今後のサポート体制にも大きな不安があると言ってもよい。導入を検討する段階から職員のITスキルをベンダーに伝え、どのような教育を行えばよいかやサポートを受けられるのかを相談しておくとよいだろう。



将来的な拡張を見据えた計画的な導入を行う

先に触れたように、予算や目的に合わせた段階的な導入によってスムーズなIT化を図っていくことは重要だが、最初からある程度の将来的なビジョンを持っていなければ、計画的な導入は行えない。すぐに実現したい経営改善や患者サービスを考え、さらに将来的に行いたい医療サービスや地域との連携、およびその範囲や期限を明確化して、それに沿った予算設定と導入計画を立てていかなければならないのだ。

ITに投資するときの評価方法として一般企業で活用され、医療機関においても注目されている手法としてバランススコアカード(BSC)というものがある。これは、組織のビジョンを「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」という4つの視点から評価して戦略を立て、バランスの取れたアクションで目標を達成することを目指すものだ。BSCを活用して現状を把握すれば、現在どこにリスクが存在し、問題解決と成長のために何を目標としてITを導入していけばよいかを予測していくことが可能となる。医療機関のリスクとしては、医療原価や疾病別コスト、あるいは医療過誤、新患率や患者の伸長率などが考えられるだろう。

また、段階的な導入を考えていく際に注意しておかなければならないのは、ソリューションや技術が汎用的なもので将来拡張可能かどうかだ。これらを無視して導入を進めてしまった場合、新たなソリューションを導入するために全体のシステムを最初から構築しなおさなければならないような事態に陥ってしまう場合もある。

導入するソフトウエアに拡張性があるのか、既存システムと連携できるのか、などを見極めながら導入していかなければ、コスト的に大きな負担となるだけでなく、導入期間が長期化することによって利用していたシステムを止めなければならなくなったり、職員の教育を最初からやり直さなければならなくなる場合もある。そこで、しっかりとした計画性とビジョンを持つことが重要となる。



情報を細かく収集し最適な手法を考える

これまで簡単に“失敗しないITの導入”を考えてきたが、いずれの場合にも当てはまるのは、ある程度自分で判断できるようにしておくことだ。確かに先端技術を見据えてその内容までを把握することは難しく、ITのプロであるベンダーに任せるべき部分は多い。しかし、技術の大まかな概要やそのメリット/デメリットを調べることはそれほど難しいことではなく、雑誌やインターネットで簡単に入手できる情報だ。また、他の医療機関に話を聞くことができれば、自分で気付かなかったポイントが浮かび上がることも多い。

システムの導入にあたって、計画やビジョンを明確に立てることは重要だが、システムの概要やリスクを把握するだけでその計画やビジョンの幅は広がり、ベンダーとの意思疎通もスムーズになる。ベンダーに任せきりのシステムは、そのベンダーが親身になって構築したとしても、使い勝手に不満が出たり、細かな目的が達成できなかったりしてしまう場合が多い。コストをかけて第三者的なコンサルティングに任せることも1つの手だが、その場合もコンサルティング機関との意思疎通が重要となるので、やはり明確なビジョンや指針を示すための材料として、情報収集はある程度しておきたいものだ。



よりよい医療を提供できる競争力をつけていく

以上、一般企業におけるIT導入をベースに医療IT導入を成功させるポイントを挙げてきたが、最初に書いたように、自分の組織にとって現在の状況が医療/経営改革の大きなチャンスだと考えてIT導入に前向きに取り組んでいくことで大きな成果を得られると考えたほうがよい。医療へのニーズが変化し、社会一般的にも経営の透明化や情報の開示が求められている中、医療機関同士の競争は避けることができず、経営の改善と業務の効率化を行わなければよりよい医療を提供することを模索することもできなくなってしまう。

IT導入は、組織が小規模であればあるほど、経営トップとなる院長の判断と意識が大きく影響を与える。トップが将来展望を明確にしてIT化に取り組み、職員への啓蒙を積極的に行っていけば、IT導入に成功して競争力を身につけていけるようになるだろう。


図2 医療機関における導入の際のポイント



日経BP Copyright© 1995-2006 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved.
このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP,またはその情報提供者に帰属します。
掲載している情報は,記事執筆時点のものです。