DPC時代の情報化戦略と病院経営への取り組み 〜病院向け経営分析システム「Mercury」とそれを支えるデータベース「Caché」
DPCにより経営環境の変化に直面する医療機関
政府の厳しい財政事情の反映と,欧米各国と比較して「平均在院日数」が長い日本の急性期病床の適正化を目的として,厚生労働省では平成15年4月から全国82の特定機能病院(大学病院,国立がんセンター,国立循環器病センター)の一般病床にDPC(Diagnosis Procedure Combination:包括的診療報酬制度)の導入を開始した。急性期病床を備えた医療機関では,DPCによる経営環境の変化に直面している。
基準を満たさない病院はDPC対象から外されることも
宮崎大学医学部附属病院 医療情報部 教授 医学博士 荒木 賢二氏

財務省の財政制度等審議会では,社会保障関係費を5年間で1.1兆円削減する方針を示している。そのため,平成20年度の予算編成では,医療を中心とした給付の伸びを抑制するために,2200億円の削減が予算編成に組み込まれた。その予算削減策の1つとして,DPCが重要な鍵を握っている。宮崎大学医学部附属病院 医療情報部の教授で医学博士である荒木賢二氏は,DPC時代の病院経営について次のように話す。

「現在,DPC制度への参加および申請している病院も含めた総数は1400で,病床数は45万を超えています。しかし,政府は1000病院で30万床を目標数としています。つまり,計算上は400病院と10万床が今後調整される可能性があります。また,DPCの認可を得た病院でも問題があれば廃止となることも考えられます。そうならないためには,DPC時代に向けた情報化戦略を活用した病院経営が必須の課題であるといえます」

平成19年度の中央社会保険医療協議会の資料によれば,荒木教授が指摘するように,DPCにおいては将来のあり方も踏まえた再検討の必要性が明記されている。そして平成20年度以降は,3日以内の再入院のリセット禁止や,2年間のデータ提出と在院日数の制限,アップコーディング審査などを行い,基準を満たすことができないDPC病院はその対象から外すという検討も出されている。こうした背景からも,DPC対策に向けた病院経営のための情報化戦略が求められている。

DPC対策における課題は情報化と分析システムの導入

では,具体的にどのような対策を講じればよいのか。荒木教授は,「正確なDPCコーディングや,在院日数の短縮を目指した地域との連携,コスト削減と医療の質を確保するための電子カルテの導入,そして高度な経営分析システムの活用や,厚生労働省に提出するデータ形式の整備などです」と提案する。

宮崎大学では,厚生労働省によりDPCが検討されているころから,その制度における課題と対策について研究と検討を続けてきた。その中で最も重視された課題が,経営戦略に基づいた電子カルテの導入と,そこから得られたデータを的確に分析できる経営分析システムの活用であったという。

「電子カルテは,単なる診療行為の電子的な記録という目的だけでなく,クリニカルパスによる医療連携や,経営分析のための診療行為原価を算出するための情報源として,経営戦略においても重要な意味を持ちます。こうした観点を持たずに電子カルテを導入してしまうと,DPC病院としての生存競争に勝てないかもしれません」と荒木教授は語る。

電子カルテには,診療の質向上や経営支援にとって欠かすことのできない戦略的な用途が求められている。そのためには,診療行為別の原価計算とクリニカルパスの作成は必須であるという。

「収支に合わない診療行為は改善を考慮すべきですが,それが適正な医療行為かの判断が肝要です。ヒポクラテスは2000年以上も前から『純粋と神聖をもってわが生涯を貫き,わが術を行う』という誓いを立てています。医療は常に神聖なもので,高い理念の下で行われなければなりません。その理念をしっかりと守ったうえで様々な経営改善に取り組むことが重要です。患者を救うという本来の目的を忘れて医療制度に流されてしまうと,医療機関の足元がすくわれてしまう危険性もあるのです。そうならないためにも,医療の的確な分析と対策を可能にする診療行為別の経営分析は重要な取り組みだと思います」と荒木教授は訴える。


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