「患者の安全や安心のために電子カルテや診療モニタリングなどは必須のシステムでした。加えて、医師側にとってはそこから得られたデータを2次利用するための高度なデータ収集と解析システムが必要です」
下地副院長は、大学病院に勤務していた当時から、医療技術の向上と併せて診療データを元にした研究の重要さに注目していたという。しかし、従来のデータ解析システムは、データ収集とその後の検索や解析処理に数時間、数日という膨大な時間がかかる。
「それが、Cachéによる検索ではあっという間に結果が出てくるので、これならば理想としていた診療情報の解析システムを構築できると即断したのです」と、Cachéを採用した理由を説明する。
下地副院長は、大学での研究や米国での研修などを通して、かねてからIT化された医療データを2次利用することの重要性に注目していた。しかし、高度なITシステムや高性能なスーパーコンピュータを利用できる大学病院や専門の研究機関とは違い、県立病院におけるIT投資には限界がある。膨大な量のデータを処理しなければならない2次データの分析には、一般の業務で利用されているコンピュータでは満足できる処理速度を実現できないと考えられていた。そうした課題をCachéは解決したのである。
同院では、アプリケーションの接続性を高めるインテグレーションプラットフォーム「Ensemble」をCachéと組み合わせたシステムを構築し、「CiDAR」(Clinical Data Repository)という臨床データ分析システムを導入した。 |