Nikkei Medical ONLINE SPECIAL「沖縄県立南部医療センター・こども医療センター」事例・沖縄の医療を連携するデータ解析システムにCachéとEnsembleを採用

[Interview2]全国の診療と予防医療に貢献する病院を目指す(下地武義 副院長)

 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターは、充実した診療施設と最新のIT環境を整え、2006年4月に開院した。同院の下地武義副院長は、こうした環境によって提供された電子化データを蓄積し、その後の研究などに活用できるように2次データとして収集・分析することの重要性に早くから注目。「Caché」と「Ensemble」によってそれが実現されれば、将来的には県内の臨床データをすべて活用できるようになり、より高度な医療の実践や研究が可能になるという。

2次データ利用の重要性に早くから注目してきた

 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターでは、2003年から情報システムの検討を開始し、2006年4月の開院時には、電子カルテシステムをはじめ、生体モニターや産科病棟での胎児心拍数モニター、病棟の心電図モニターなど、22社以上の医療関連システムを導入した。

 さらに、電子カルテや検査装置から得られる1次データを蓄積し、その後の研究などに活用するために2次データとして収集・分析するためにも高性能なシステムを構築する必要があった。下地武義副院長は、この取り組みの重要性について次のように語る。

下地武義 副院長

【略歴】
1969年3月順天堂大学医学部卒業
1973年4月ノースウェスタン大学(米国イリノイ州)脳神経外科留学
1979年4月順天堂大学脳神経外科講師
1979年6月ノースウェスタン大学レジデントプログラム修了
1989年4月沖縄県立南部病院脳神経外科部長就任
1993年4月沖縄県立那覇病院脳神経外科部長就任
2001年4月沖縄県立那覇病院総合診療部長就任
2003年4月沖縄県立那覇病院副院長就任
2006年4月沖縄県立南部医療センター・こども医療センター副院長就任

 「患者の安全や安心のために電子カルテや診療モニタリングなどは必須のシステムでした。加えて、医師側にとってはそこから得られたデータを2次利用するための高度なデータ収集と解析システムが必要です」

 下地副院長は、大学病院に勤務していた当時から、医療技術の向上と併せて診療データを元にした研究の重要さに注目していたという。しかし、従来のデータ解析システムは、データ収集とその後の検索や解析処理に数時間、数日という膨大な時間がかかる。

 「それが、Cachéによる検索ではあっという間に結果が出てくるので、これならば理想としていた診療情報の解析システムを構築できると即断したのです」と、Cachéを採用した理由を説明する。

 下地副院長は、大学での研究や米国での研修などを通して、かねてからIT化された医療データを2次利用することの重要性に注目していた。しかし、高度なITシステムや高性能なスーパーコンピュータを利用できる大学病院や専門の研究機関とは違い、県立病院におけるIT投資には限界がある。膨大な量のデータを処理しなければならない2次データの分析には、一般の業務で利用されているコンピュータでは満足できる処理速度を実現できないと考えられていた。そうした課題をCachéは解決したのである。

 同院では、アプリケーションの接続性を高めるインテグレーションプラットフォーム「Ensemble」をCachéと組み合わせたシステムを構築し、「CiDAR」(Clinical Data Repository)という臨床データ分析システムを導入した。

県立病院1000床の臨床データを活かすための取り組み

 「今年は、当院から県医学会で講演する演題数が格段に増えています。これは明らかにCiDARの導入成果です。膨大なデータを瞬時に検索して分析し、加工するのも容易になったので、仮説の検討や実証にかかる時間が大幅に短縮され、論文作成が促進された結果だと思われます。特に若い医師は電子カルテを即座に使いこなし、CiDARによるデータ分析も容易に行います。我々の大学時代の研究と比べると驚くべきことですが、この恵まれた環境に魅力を感じて研究に取り組みたいと考える医師が当院に集まってきてくれれば、CiDARを構築した意義もあります」と、下地副院長は今後の研究推進に期待を寄せる。

 将来的には、沖縄県内の県立病院をすべてネットワークでつなぎ、そこから得られる2次データをすべてCachéとEnsembleで収集し、CiDARで分析できるようにするという。県内の県立病院がすべてITで連携し、診療情報がCachéに蓄積されるようになれば、臨床データは1000床規模を超える。その数字の意義と価値に下地副院長は注目する。

 「大学病院にも匹敵する1000床という臨床データに注目し、優れた医師たちがより高度な医療や予防のための研究をこの沖縄で推進してくれることが私の願いです。そして、沖縄県での研究結果が診療技術の向上だけでなく、全国の成人病や生活習慣病などの予防医療に貢献することを期待しています」と下地副院長は豊富を述べた。

2次利用・データの流れ

CiDAR(Clinical Data Repository)

同院では、アプリケーションの接続性を高めるインテグレーションプラットフォーム「Ensemble」をCachéと組み合わせたシステムを構築し、「CiDAR」(Clinical Data Repository)という臨床データ分析システムを導入した。

お問い合わせ先

INTERSYSTEMS インターシステムズジャパン株式会社
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-10-1 日土地西新宿ビル17F
TEL:03-5321-6200
URL:InterSystems.co.jp/

ページトップへ

Nikkei Medical ONLINE SPECIAL INDEX
●関連サイト


日経BPCopyright (C) 1995-2007 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved.
このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP,またはその情報提供者に帰属します。
掲載している情報は,記事執筆時点のものです。