国際モダンホスピタルショウ2008 Review
情報を経営に活かすIBMの最先端ITソリューション
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7月16日〜18日の3日間、東京ビッグサイトで「国際モダンホスピタルショウ2008」が開催された。日本IBMは今回、「情報を経営に活かす最先端ソリューション」という展示テーマを掲げ、医療・福祉従事者、行政・自治体関係者、医療事業企業関係者を対象に、経営・診療データ分析やデータマイニング、インターネット・セキュリティ、グリッド・ストレージ・ソリューションなど、最先端のITソリューションを出展。多数の来場者が意見や質問を熱心に交わす姿が見られた。ここでは同社の展示ブースをレポートする。
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医療機関向けデータウェアハウス構築システム「Convergence CT」
CONVERGENCE CT
高橋精彦氏(写真中)

経営・診療データ分析のためのソリューションとしては、「Convergence CT」が出展された。これは、各種データの統合化を図り機密性を高めることで、情報の多面的活用を実現するものだ。医療機関で蓄積されるデジタルデータを収集し、HIPAA(※1)に準拠した統合型の診療データウェアハウス(CDW:Clincal Data Warehouse)を構築することができる。

近年、医療機関のIT化は進んでいるが、データの収集や統合の方法、データベースの形式などがシステム間で統一されていないことが多いため、各部門が保持しているデータを部門外のシステムから参照することは難しい状況にある。同社の高橋精彦氏は、こうした現状について次のように説明する。

「各部門のシステムでデータが個別に保存されていては、医療計画の推進に支障をきたす恐れがあります。例えば、ある病院が医薬品企業と協力して特定疾患の臨床データを収集しようとした場合、それに関するあらゆるデータを統合的に参照できる環境が構築されていなければ、適正なデータ分析を行うことができません。また、十分な数の患者データを集められなければ、期待する検査効果が得られないといった問題も発生します。こうした問題を未然に防ぐためには、多様な臨床データを高い機密性で収集して統合する診療データウェアハウスの構築が不可欠です。そして、医療機関の経営者や臨床研究者などのユーザーがさまざまな角度からデータを抽出できるようになれば、患者の安全性やケア水準のチェック、医療動向分析の効率化、薬剤ほか医療資源使用の最適化などの効果が期待できます」

このように、Convergence CTによるデータ統合は、診療だけでなく病院経営にも有用である。特定の疾病に対する検査値の結果を分析し、臨床研究や治験などのデータを蓄積することで、より的確で効率の高い診療行為を導き出し、病院経営に貢献できる。

IBMのブースでは、同ソリューションのデモンストレーションを実施し、来場者の関心を集めていた。

※1:Health Insurance Portability and Accountability Act。米国における医療情報の標準化、安全保護、プライバシー保護を目的としたガイドライン。
膨大なデータから適正な情報を探る「InfoSphere Intelligent Miner」
日本アイ・ビー・エム株式会社
IM事業部 DB営業部
BIコンサルティングセールス
寿 日出夫氏(写真左)

日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業
インフォメーション・マネジメント
データサービス・テクニカル・セールス
後藤祥子氏(写真右)

「InfoSphere Intelligent Miner」は、増大するデータから適正な情報を探り出すデータ・マイニング・ソリューションだ。医療施設のIT化が進むにつれ、さまざまな診療情報がデータとして蓄積されていくが、それらの膨大なデータを活用する方法の1つとしてデータ・マイニングが注目されている。

ブースでは、データ・マイニングの技術を医療に用いるケースを紹介し、その可能性について日本IBMの寿 日出夫氏は次のように語った。

「IBMのデータ・マイニングには、医師の判定データをもとに判断する教師付き分析と、データを関連するパターンで分類するクラスタリングや予測など、6種類の分析方法があります。IBMでは、DB2により大容量データの高速処理を可能にしていますが、このブースでは、こうした技術を医療現場で活用していただけないか提案しています。例えば、電子カルテなどで集積された膨大な患者データを分析して、新しい医療に役立つ情報を発見するといった貢献ができると考えています」

すでに国内の大手病院では、データ・マイニングの技術を活用して実績を出している例があるという。また後藤祥子氏は、今後の展開について次のように提案した。

「例えば、製薬会社が新薬をどこに提供すればよいのかといったセールス情報に使えるのではないかと考えています。また、平均余命を予測したり、いままでの治療が正しいかどうかを分析したり、新薬と従来の薬との効果の違いを調べたりするような目的にも活用できると考えています」

IBMでは、いかに情報を企業経営や社会環境の向上に役立てられるかといった点を主眼に置いた技術開発を強化している。データ・マイニングはその1つであり、同社が7月に開設したBIソリューションセンターを通して、データ分析を求める企業や医療機関を支援している。

寿氏は「我々もデータ・マイニング技術により、ある特定の疾患に対してより効果的な治療方法が発見されるなど、医療への貢献を期待しています。現時点では、主に国立や大手の医療機関で活用されていますが、今後は個人病院などの小規模医療機関でも利用できる環境が整っていくと考えています」と今後の展開について語った。

増大する医用データを管理する「グリッド・ストレージ・ソリューション」
日本アイ・ビー・エム株式会社
システム製品事業
インダストリー・システムズ
ソリューション営業部
ソリューション・スペシャリスト
松本尚隆

IBMが提供する「グリッド・ストレージ・ソリューション」は、増加し続ける医用参照データ(例:医用画像データ)を安全かつ優れたコストパフォーマンスで保存するストレージ・ソリューションだ。米国では数多くの採用実績があり、Iowa Health Systemsなど20以上の医療機関で導入されている。その用途について日本IBMの松本尚隆氏は次のように話す。

「例えば、レントゲンやCT(コンピュータ断層撮影)による医療画像、CADによる設計図面や研究開発データ、報道機関の高解像度写真や動画、公文書などのデータ量は、その種類を問わず、アプリケーション数の増加、大容量・高精細化、作成・保存頻度の増大によって日々、爆発的に増え続けています。Fixed Contentsと呼ばれるこれらのデータは、一度作成されれば更新されることはなく、主として参照用データとして長期にわたり保管し利用されます。また、コンプライアンスの観点より、長期保管における改ざん防止や災害対策などへの技術的担保を求められるため、これらのニーズに応じて複製方法やアーカイブ方法、情報ライフサイクル管理(ILM)、災害対策(バックアップ・リカバリ)が重視されたシステムに格納されます。一方、複数拠点から参照・利用したいというシステム連携のニーズもあるでしょう。こうした用途に対してグリッド・ストレージ・ソリューションは最適なデータの保管環境を提供します」

同ソリューションでは、グリッド化を基盤とした技術によって個別のストレージを有効活用できるうえに、データ量の増大やシステム拡張にもシステムを止めることなく柔軟に対応できる。データの保存場所やアーカイブ方法といったデータ保管のルールは「ポリシー」に独自に設定することで、利用する医療機関の業務内容やニーズに適したシステムを構築することが可能だ。また、電子指紋機能により、保管されたデータは改ざんや破損から自動修復される。さらに、ポリシーベースのシステム運用により、グリッド・ストレージ・システム全体のパフォーマンス向上と、冗長化による障害、災害対策も実現する。

「すべてのシステムは、汎用性の高いオープンシステムで構成されています。そのため、追加や機能拡張、長期保管における機器のマイグレーションに必要な部品のコストパフォーマンスが高く、そのうえ運用も容易なので、常に最適なストレージ環境を維持し発展させていくことができます」と松本氏はつけ加えた。

最新のセキュリティ動向を踏まえた先進のセキュリティ対策「IBM Internet Security Systems」
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・テクノロジー・サービス事業
ITS事業
公共ITセールス
齋藤浩司

IBM Inernet Security Systems(ISS)は、ネットワークの脅威から業務システムのインフラを守るセキュリティ・ソリューションだ。その特長は、進化するネットワーク攻撃への迅速な対応にある。他社の監視サービスと違う点は、IBM X-Forceというセキュリティ研究機関を保有していることだ。全世界で7ヵ所のSOC(Security Operation Center)において、24時間体制で顧客のネットワークを監視し、最新のデータを蓄積・解析する技術力をもったスタッフが対応する体制が整っている。X-Forceで解析され、セキュリティシグネチャが開発されれば、それらはIBM ISS製品に反映され、常に最新のセキュリティ対策を施した状態を保てる。性能や医療現場での有効性について、日本IBMの齋藤浩司氏は次のように説明する。

「ISSは、最近増えているTCP80ポート経由の攻撃からシステムのインフラを守ります。従来のアンチウィルスソフトが特定できない亜種や変種も事前に防げるVirtal Patchというソリューションを提供しています。Virtual Patchはマイクロソフトがセキュリティ用のパッチを作ると同時にパッチを提供でき、また、既知の脆弱性であれば対応済みのパッチも少なくありません。それらはIBM X-Force推奨の設定で自動アップデートも可能です。医療施設のようにセキュリティの専任管理者がいない現場でも、ISSを導入することで最新のセキュリティ動向を踏まえた先進のセキュリティ環境を構築できます」

またVirtual Patchは、院内のシステムで稼動している個々のWindowsサーバーの効率的なパッチ適用と防御を可能にしている。Virtual Patchによって保護されている間に、ベンダーのセキュリティパッチを事前にテストし、システムのリブートや停止をしても差し支えない時期に計画的に適応できる。そうした作業を効率的に行えることで、パッチ管理の効率化も実現している。システムのインフラを効率的に、かつ最新のセキュリティで保護できるISSは、医療機関にとって最適なセキュリティ対策であるとIBMでは推奨している。

お問い合わせ: 日本アイ・ビー・エム株式会社    URL:http://www.ibm.com/jp/healthcare/

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