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GSK Hematology Conference 2013年7月20日(土)東京ミッドタウン Hall A

Treatment strategy and role of ofatumumab for relapsed/
refractory CLL

座長

飛内 賢正
独立行政法人国立がん研究
センター
中央病院 血液腫瘍科 科長

演者

Devinder Gill
Director Clinical Hematology,
Princess
Alexandra Hospital, University
of Qld Associate Professor

 慢性リンパ性白血病(CLL)の欧米での診療状況をオーストラリアのDevinder Gill 氏が講演した。オファツムマブのpivotal 試験の結果をもとに、オファツムマブによる治療の現状と将来を展望した。

 慢性リンパ性白血病(CLL)は、欧米人に多く、日本を含むアジアでは少ない疾患である。発症当初は無症状で、6割は緩徐な進行を示す。

 CLLの治療方針の基本は「watch and wait」だが、常に注意深く観察することが重要である(watch and worry)。治療開始の基準は、貧血(Hb<11g/L)、血小板減少(10万/mm3未満)、CLLに関連する症状(発熱、体重減少、寝汗など)、脾腫、リンパ節腫大などが認められた場合である。

 現在、治療にはクロラムブシル**、フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブが用いられている。治療法の選択に当たって重要なのは、患者の年齢だけを基準にするのではなく、身体、心理を含めた患者全体の健康状態を評価することである。

 しかし、こうした治療を行っても、再発・難治のCLL症例が少なからず存在し、その標準治療がないだけに臨床上の問題となっていたが、近年、新たな抗体療法が行われるようになり、中でもリツキシマブとは作用機序の異なるオファツムマブが注目を集めている。

オファツムマブpivotal試験

 オファツムマブのpivotal試験について紹介する。これは、フルダラビン抵抗性のCLL患者154例を対象に行った試験で、そのうち、フルダラビンにもアレムツズマブ**にも抵抗性のA群(59例)と、フルダラビン抵抗性でリンパ節腫大を有しアレムツズマブ**不適応のB群(79例)を対象にオファツムマブを投与した。投与量は初回300mg、以降は1週間間隔で2000mgを7回、さらに4週間間隔で2000mgを4回点滴静注した。

(図5) 再発CLLにおけるオファツムマブの奏効率

Ogawa Y, Ogura M,et al. Int J Hematol 2013 一部改変
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 その結果、A群の奏効率(ORR)は58%、B群は47%となり、ORR=15%と設定した帰無仮説がp=0.0001で棄却され、有効性が有意差をもって認められた(図5)。A群で奏効した34例の効果発現までの期間(中央値)は1.8カ月、奏効期間(中央値)は7.1カ月だった。また、A群、B群のPFS(中央値)はそれぞれ5.7カ月、5.9カ月、OS(中央値)はそれぞれ13.7カ月、15.4カ月だった(図6)

図6 再発CLLにおけるオファツムマブの生存期間

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 Infusion reactionは全期間にわたって認められたものの、投与を経過するごとに軽減する傾向が認められ、全期間を通して治療継続の見直しを必要とするGrade3の有害事象は認められなかった(図7)。主な有害事象は好中球減少症(Grade3-4が14%)と感染症(Geade3-4が12%)であった(表3)

表3 薬剤関連有害事象の結果

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図7 Infusion Reaction発症率の経時的変化

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 なお、A群、B群ともに、オファツムマブに対するレスポンダー、ノンレスポンダーが存在し、全生存期間に大きな差が認められている(図8)

図8 再発CLLにおけるオファツムマブの奏効率による生存期間中央値の違い

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 CLLに対しては現在世界各国で新たな新薬の開発が続けられており、今後は治療成績の飛躍的な向上が期待される。病勢の監視だけでなく、電解質バランス、腎機能のモニタリング、維持療法などにより、腫瘍崩壊症候群の発症を予防することも重要になるだろう。

  1. * 本邦において慢性リンパ性白血病に対しては適応外
  2. ** 本邦未承認

Closing Remarks

秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座 教授 
澤田 賢一

 治療成績の向上が著しい血液疾患のなかにあって、慢性リンパ性白血病(CLL)は難治性の疾患でありながら選択肢は限られていた。しかしCLLでは先行した抗CD20抗体薬に比べ高い親和性を持つ抗体薬「アーゼラ®」が登場した。難治性CLLに対して単剤で有効性が確認された本剤の登場は、CLLの予後の改善に大きな期待を抱かざるを得ない。ただし、この新薬の潜在的な可能性を十分に発揮させるためには、臨床現場の慎重な投与と注意深い観察が必要であることははいうまでもなく、本格的な臨床応用の幕開けはこれからということもできる。

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