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GSK Hematology Conference 2013年7月20日(土)東京ミッドタウン Hall A

Q&A Session

司会

冨山 佳昭
大阪大学医療学部附属病院
輸血部 病院教授

演者

Professor
石田 陽治
岩手医科大学医学部 内科学講座
血液・腫瘍内科 教授

演者

森下 英理子
金沢大学区薬保健研究域
保健学系 病態検査学 教授

演者

Professor
Aristoteles Giagounidis
St. John’s Hospital, Germany

 Giagounidis 氏の講演を受けてQ&A セッションが開かれた。日本ではITP の治療法として脾摘が行われてきた。そうした治療体系においてTPO-RA をどのように使用していくか、その際に血栓塞栓症の発症リスクをどうように評価するかについて活発な討論が展開された。

ITP治療における脾摘とTPO-RAの位置づけ

 Q&A Sessionでは、論点の1つに日本のガイドラインでは2次治療に位置づけられている脾摘の問題が採り上げられた(図7表2)。

図7 ITP治療ガイドライン

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表2 世界各国のガイドラインの比較

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 石田氏は、血小板減少症患者における10年無再発生存率が7割前後であるにも関わらず6)、米国での脾摘実施率が2009年時点で10%を切っている7)点を指摘した。その背景には、脾摘後の感染症や血栓症、心血管イベント等のリスクの上昇があるとし、患者個々の適応を詳細に判断する必要があるとの見解を示した。

 この点についてGiagounidis氏は、欧州でも実施率は25%まで低下しているとした上で、脾摘に伴う合併症の懸念、エルトロンボパグ等の有効な薬剤の導入が低下の理由と考えられるとした。

 また、脾摘の好適例としては、残された長い人生における免疫抑制療法施行の回避と治療反応性の良さを根拠に、60歳以下の若年患者を挙げた。座長の冨山氏は、妊娠を希望するケースも好適とする一方で、高齢の患者などは日本のガイドラインにおける脾摘(2次治療)とTPO-RA(3次治療)の相対的な位置づけから外れる場合もありうることを示唆した。

TPO-RAと血栓塞栓症発症リスク

 森下氏は、TPO-RAの安全性プロファイルについて、日本でのエルトロンボパグ使用成績調査の中間報告に基づき、TEEを中心にコメントした。解析によって危険因子として抽出されたのは、TEEの既往、抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併などであり、これらの危険因子を保有する患者ではTEEの発生リスクが上昇するとした(表3、表4)。

表3 血栓塞栓症の危険因子 (日本PMS)

* SLE, Cancer, Immobilization, Infection, Obesity, etc
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表4 血栓塞栓症リスト(日本PMS)

Blue=Venous Thromboembolism, Red=Arterial Thrombosis etc
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 また、エルトロンボパグ使用症例におけるTEEの発生は血小板数の多少とは無関係であることが示唆されているとした5)

 エルトロンボパグ投与におけるTEE発生リスクについてGiagounidis氏は、EXTEND試験の結果を踏まえ、森下氏が挙げた危険因子を有するケースでは注意が必要であり、一方でITP自体が健常人に比較し、血栓症を起こしやすいということが知られているとした8)

 基調講演、Q&A Sessionを通じてエルトロンボパグのITP治療における位置づけ、有効性と安全性がエビデンスをもって明らかにされたが、臨床的には寛解に伴う減量や中止の判断、病態生理学的には制御性T細胞の関与等、明らかにすべき課題は多く残されている。

<参考文献>

  1. 1) Cooper N, et al. Br J Haematol. 2006; 133: 364-374
  2. 2) Gernsheimer T. Eur J Haematol Suppl 2008; 80: 3-8
  3. 3) Mukai HY, et al. Thromb Haemost. 1996; 76: 675-678
  4. 4) Cheng G, et al. Lancet 2011; 377: 393-402
  5. 5) Saleh MN, et al. Blood 2013; 121: 537-545
  6. 6) Ghanima W, et al. Blood 2012; 120: 960-969
  7. 7) Boyle S, et al. Blood 2013; 121: 4782-4790
  8. 8) Thomsen RW, et al. J Thromb Haemast 2010; 8: 1413-1416

Closing Remarks

秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座 教授
澤田 賢一

 治療成績の向上が著しい血液疾患のなかにあって、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は難治性の疾患でありながら治療選択肢は限られていた。しかしITPには経口のトロンボポエチンアゴニスト「レボレード®」の登場によって、治療成績の向上が期待される。「レボレード®」はITPの2次治療として有効性と安全性において十分なデータのある薬剤であり、特に長期投与に安全性が確認されたことは極めて重要な知見である。

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