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第三回PET画像診断フォーラム
 
さる10月29日、京都においてPET画像診断フォーラムの第3回会議が開催された。活動2年目を迎える今回の会議では、すでに13種類のがんの精密検査で保険適用が認められているPET検査について、今後は、全てのがんの精密検査で保険適用となることを目標に活動を継続していくことが確認された。

 会議の冒頭、新たにメンバーとなった日本医科大学健診医療センター所長・石原圭一氏、また新たにサポート企業として参画した島津製作所の紹介が行われた。続いて鳥塚莞爾会長から、「保険診療に認められていないがんの診断におけるFDG-PETの臨床的有用性―多施設アンケート」を実施して、全国30施設から回答を得たことが報告された。この調査は、現在は保険適用となっていない種類のがんについて、その精密検査(がんであることの確定診断、その病期や転移、再発の診断など)目的のためにPET検査を行った場合の有用性を証明することを目的に実施されたもの。すでに13種類のがんの精密検査では、PET検査の保険適用が認められているが(表1)、これ以外のがんについてPET検査を実施した場合も、その有用性が高いことが調査結果から得られた。これを報告書にまとめ、実績として厚生労働省に提出し、保険適用の拡大を求めていこうという趣旨である。さらに、アルツハイマー症の早期発見にPET検査が役立つことから、 鳥塚氏は「将来的にはこの点を行政、医療関係者そして一般に広報・啓蒙していく必要がある」と発言された。

 
任意型検診と対策型検診の違い
 次に各メンバードクターから1年間の活動を振り返ってのコメントがあり、今後PET検査に関する広報のポイントとして、「任意型検診」と「対策型検診」の違いを啓蒙すべきとの意見が上がった。
 「検診には、個人の死亡リスクの減少を目的として、個人が任意で受診する『任意型』と、集団を対象としたがん検診として、集団の死亡率減少を目的として実施する『対策型』があります。前者は受診者が任意に自由診療、すなわち自費で受診するもの。病変の発見率も大事ですが、PET検査のように短時間に苦痛がなく、全身をスクリーニングできるという受診者の意思、満足度も検査の重要なポイントとなります。一方後者は、不特定多数の母集団を対象として、公共的な予防対策として行われる検診です。政策事業なので有効性に対する科学的なエビデンスが必要であり、費用対効果比も重要になります。このように考えると、PET検診は「任意型」には適しているが、「対策型」には不向きな検査法であることが分かります。しかしPET検診に関した議論の中には、両者を混同した意見があることが残念です。この2つある検診の区別が、マスコミも一般の方も出来ていない。今後は、これら任意型、対策型という名称を使い、その違いを広報・啓蒙する必要があります」。
(獨協医科大学・村上氏)
 今春、一部報道機関からの発信で「がんの検出率」が問題になったが、検出率が問われるのは対策型検診であって任意型検診ではない。当フォーラムでは今後、WEBサイト「PET画像診断フォーラム」の一般向けページに、「任意型検診と対策型検診の違い」の詳細記事や「がんの基礎知識」など新たなコンテンツを追加する予定である。
 
PET関連団体との連携市民公開講座の開催
 次に当フォーラムの2年目の課題として挙げられたのがPET関連団体との連携や一般への啓蒙イベントの開催。今後は核医学会、アイソトープ協会、臨床PET推進協議会などの関連団体やPET専門医の研修会であるPETサマーセミナーなどとの連携強化を進めるべきとの意見が出された。この中で来年8月に開催予定の「PETサマーセミナー2007in琵琶湖」(大会長・武田病院画像診断センター長 林田氏)では、そのプレイベントとしてPET検査の有用性を啓蒙する目的で一般市民を対象とした「市民公開講座」を開催。当フォーラムがその主催者となることが、メンバードクターの林田氏から発表された。
 「テーマは、『女性がんはPET/CTで診る』。日時・会場は、セミナー開催前日の8月23日、京都を予定しています。一般の方、特に女性を対象にPET検査への理解を深めていただくため、乳がん、子宮がん、卵巣がんなど婦人科がん特有の症状、その画像診断について分かりやすく解説し、PET/CT検査を含むがん検診の重要性を訴求したいと思います」。(林田氏)
 開催の詳細は、当フォーラム第4回会議の報告記事(07年5月掲載予定)で紹介する。
 
画像診断専門医のレベルアップが急務
 最後に議題として取り上げられたのが、PET、CTなど画像診断を行う専門医の教育問題。  昨年3月時点の自由診療を併せて行う全国PET検査施設は約70。今年6月の再調査では、約130施設とほぼ倍増している(事務局調べ)。当然、専門医の絶対数不足や、その読影技術のレベルアップが問題となる。PETの発展という見地からは、誤診を防ぎ、読影力を向上させること、言い換えれば「正確に読影できる専門医」をどのようにして増加させるかが急務である。会議では、この対策として各地で開催される読影研修会、読影セミナーなどの開催情報を収集。当フォーラムWEBサイトで広く告知すること。また将来的にはサポート企業とも協議して当フォーラム主催の研修会も検討することが議論された。また同WEBサイトで専門医が自己学習できる「読影スキルアップ」などのコンテンツを充実。さらに、メールおよびインターネットを活用したNET互助会である「PET専門医ネットワーク」構築の構想が提示された。
 
PET画像診断フォーラム・メンバー  

前列左から、
● 武田病院画像診断センター長 林田孝平氏
● 横浜市立大学医学部放射線科教授 井上登美夫氏
● 会長 京都大学名誉教授 鳥塚莞爾氏
● 獨協医科大学PETセンター長 村上康二氏
● 兵庫医科大学病院 核医学・PETセンター長 柏木 徹氏
後列左から、
● 東海大学医学部放射線科講師 高原太郎氏
● 東天満クリニック院長 松村 要氏
● 厚地記念クリニック院長 陣之内正史氏
● セントラルCIクリニック院長 塚本江利子氏
● 済生会中津病院PETセンター長 岡村光英氏
● 日本医科大学放射線科講師 高木 亮氏
● 京都大学医学部核医学画像診断 中本裕士氏


● 兵庫県立成人病センター診療部長
足立秀治先生
(新メンバー)
●日本医科大学健診医療センター所長
石原圭一氏
PET画像診断フォーラム・サポート企業

● GE横河メディカルシステム株式会社
● 東芝メディカルシステムズ株式会社
● 株式会社島津製作所
● 日本メジフィジックス株式会社
● シーメンス旭メディテック株式会社
● 株式会社 日立メディコ
 
日経ビジネス2006年12月25日、2007年1月1日新春合併号180〜181p掲載の「PET画像診断フォーラム第3回会議報告記事」に誤りがありました。お詫びして、下記のように訂正させていただきます。
正誤表
・180p 2段12行
(誤) さらに、アルツハイマー症の早期発見にPET検査が役立つことから、
⇒(正) さらに、アルツハイマー症と他の痴呆症との鑑別診断にPET検査が役立つことから、