■市民講座|専門医が答えるQ&A
 
 
 
「乳がんについて」の質問2
乳房温存手術
質問事項
(1)乳房温存手術ができるのがんの大きさについて教えてください。
胸筋にがん細胞が転移している場合と、皮膚組織まで転移している場合のそれぞれについて、知りたいのですが?

(2)乳房の大きさが左右で違うような場合、乳がんの可能性を疑った方がよいですか?
 
回答者 十条リハビリテーション病院 乳腺科
回答
Bさんへ
(1)乳房温存手術の限界は、学会がガイドラインで、乳房温存手術の基準を腫瘍の大きさなどから決めています。3〜4cmまでの大きさのものに温存手術が勧められるとしています。しかし、執刀医の技術レベルによるところも大きいです。

一般に乳房温存手術の場合、腫瘤の端から最低2cm程度の余裕をとって切除します。ですから、2cmの腫瘍ですと両側に2cmずつ加えて直径6cm、5cmの腫瘍ですと直径9cmの範囲を切除することになります。

しかし、腫瘍の大きさだけでなく、患者さんの乳房の大きさとの関係によって温存できるかどうかが決まります。例えば、6cmの乳がんの場合、直径10cmの範囲を切除することになります。乳房の小さな方ですと、乳房をすべてとらなければならない場合もあります。逆に、乳房の大きな方ですと、直径10cmの範囲を切除しても、きれいな乳房が残せる場合もあります。

また、骨や他の臓器に転移があると大きく切除するため温存手術はできないと考えている医師もいます。ですが、生存期間に最も影響する要因が遠隔転移であることを考えると、原発巣である乳房のがんを大きく切除しても、生存期間が延びることはありません。つまり、大きく切除する意味がないということです。

むしろ、転移がある場合は、化学療法などの治療をしっかりすることが大切になります。私は転移があれば、むしろ乳房温存手術を行って、QOL(quality of life、生活の質)を維持しながら、化学療法などの治療をしっかり行うほうがよいと考えております。もちろん、これについては異なる意見の医師も多いので、患者さん自身が考えて、選択してください。

ただし、絶対に温存手術ができないケースもあります。炎症性乳がん、皮膚に転移のある場合などです。先に記載しましたように腫瘍があまりにも大きすぎる場合も、乳頭や皮膚は残せますが、乳腺は全部切除しなくてはなりません(乳頭温存乳房全切除)。この場合でも、もちろん、後で乳房を再建することはできます。

(2)従前から乳房の大きさが異なる場合は別として、急に片側の大きさが変化したときは、乳がんも含めて何らかの病気を疑う必要があります。
 
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