■2006.06.26 日経ビジネス特別版「がんの診断と治療」より
 

 北斗病院は、1993年に7名の脳外科医によって設立された。開院当初から脳卒中・心臓病の第2次予防医療(早期診断・早期治療)を目指してきた。2003年には道東でいち早くPETセンターを設立し、PET検査によるがん検診、精密検査の機能を加えた。このことにより、脳卒中、心臓病、がんの3大成人病に対する第2次予防医療を積極的に展開できるようになった。

十勝圏域を代表する病院

 現在、ベッド数は410床。帯広市を中心とした十勝圏域(人口36万人)を代表する病院の一つになっている。PETセンター開設当時2台だったPET装置は、2004年12月にPET/CTを加え合計3台。検査数の累計は今年の4月までに7222例となった。PET検査をがんの精密検査目的の保険診療とがんのスクリーニング目的のがん検診(自由診療)に分けると、その比率は、初年度22.4%対77.6%と圧倒的にがん検診が多い。しかし、年々精密検査の重要度が増し、昨年は42.6%対57.4%。今年は4月までの段階で、56.6%対43.4%と逆転している。PET検査によるがんの精密検査実績は35ヵ月で2699例。今年の月間平均例数は前年比で40%の増加と、毎年検査実績が伸びている。
 「現在、北斗病院より東にはPET検査施設がありません。従って当院のマーケティングの対象は、十勝圏内はもちろん、釧路、北見、網走を含め道東一円、人口80万です。PETセンター開設に当たっては、この地域の先生方および住民の方に、徹底したPET検査の有用性についての啓発活動を行いました」と、橋本郁郎理事長は語る。事実、120kmも離れた釧路日赤病院からは、累計で112名もの紹介患者がある。
 「当院のPETセンターの特徴というのは、『地域に開かれた医療の展開』という病院の理念そのものです。これは、患者さんが病気になってやってくるのを待つのではなく、地域社会で行っている私たちの様々な医療実践を通じて、いい意味での流動化を引き起こして、ヘルスケア全体を底上げしていこうというものです。具体的には、先進医療を他の地域よりもいち早く取り入れ、格差の無い医療を住民に提供することもその一つです」と橋本氏は、その思いを語る。

最先端医療を次々と導入

 2005年9月には、アジア太平洋地域で初めて「トモセラピー」という最新の放射線治療装置を導入し、がん患者の健常な周辺組織の被曝量を軽減した副作用の少ない放射線治療を開始している。この装置ではPET/CTのデータを治療計画に利用し、より的確な放射線照射の目標が設定できるという。さらに今年の8月からは、脳腫瘍などの診断に有効な11Cメチオニンという新しいPET薬剤を用いた検査も開始する。
 最先端医療を次々と導入することについて橋本氏は、「民間の医療法人というのは、志をきちんと持てば、フットワークが一番いいと思います。フットワークを良くするためには、取るべきリスクとそうでないものの切り分けを、迅速に決断することが求められます。公的な医療機関では、それは不可能に近い。ある意味で私たち民間の医療法人は、方向性を自由に選択するという点で恵まれた環境にいると考えています。」
 21世紀医療の先取り。そして、トップランナーとなることが北斗病院の目標である。