Transnasal Endoscopy.2007Nikkei Medical Online静岡赤十字病院 経鼻内視鏡センターにおける前処置法

三宿病院が実施している前処置の実際

 1. ガスコン水100mLにプロナーゼ散(ガスチーム)1包(0.5g)と炭酸水素ナト リウム(重曹)1gを入れたものを服用。
ガスコン水はガスコンドロップ40mLを水1000mLに溶かしたもの。

 2. 検査台にてローリング。
腹仰位で10〜30数えた後、仰臥位。

 3. 鼻の通りの良い方を確認する。
受診者に一方の鼻腔を指で押さえて塞いでもらい、もう一方の鼻腔から息を吐き、通りが良い方を確認する。受診者が、どちらも良く通るといった場合は、右の鼻腔を選択する。

 4. 両方の鼻腔に硝酸ナファゾリンを噴霧。
0.05%硝酸ナファゾリン(プリビナ)を1〜2回噴霧する。

 5. 通りが良い方の鼻腔に塩酸リドカインビスカスを注入。
2%の塩酸リドカインビスカス(キシロカインビスカス)2mLを注入する。咽頭まで流れてきたら、飲み込んでもらう。
 キシロカインビスカスが咽頭を通過したことを受診者に確認してから、次の手順に移る(まれに咽頭通過を確認できない被検者もいる)。

 6. 14Frスティックにプリビナを噴霧。
14Frスティック(15cmのものを使用)の先端から5〜6cmくらいのところまで、プリビナを5噴霧、キシロカインスプレーを3噴霧する。
噴霧するときは、スティックから約10cm離す。
キシロカインスプレーはアルコールを含むため、鼻粘膜に使用すると刺激が強い。そのため5の手順の後ただちに準備し、1分放置、アルコールを揮発させておく。

 7. 上記スティックを通りが良い鼻腔に挿入する。
約5度上方に向けて回転させながら挿入。抵抗がある場合は垂直に近くして再挿入する。
スティックを3cm残すくらいまで深く挿入して、その後半分ほど引き抜く。
スティックが挿入できない場合は、もう一方の鼻腔に挿入を試みる(5.の手順に戻る)。スティック挿入後1分ほどおいて、検査を開始する。

 前処置開始から検査実施が可能になるまでの時間は5〜6分くらいである。




岩永智恵子氏(看護師/内視鏡技師)に聞く
三宿病院が実施している前処置のポイント

スティック法を採用している理由はなんでしょうか?

 経鼻内視鏡前処置の方法には、スティック法のほかに、スプレーのみの処置や、綿棒を挿入する方法などがあります。私たちがスティック法を選択した主な理由は、内視鏡が通過できる鼻腔スペースがあるか、その方向はどうか、などを内視鏡挿入前に確認することができるからです。また、被検者の方に鼻腔に管を通すという感覚をあらかじめ体験していただき、内視鏡挿入前の不安感を少しでも和らげていただきたいからです。

14Frスティック1本で良いのでしょうか?

 経鼻内視鏡を開始した当初は14Frの後に16Frスティックを挿入していましたが、16Frスティックを挿入するときに被検者が強い痛みを訴える場合がありました。実際に前処置を行う看護師としては、細いスティックなら入れられるが被検者に苦痛を与える可能性のある太いスティックの挿入には抵抗がありました。また、16Frのスティックが入ったからといって18Frサイズのスコープ(FTS社EG-530N)が抵抗なく入るとは限りません。結局は二度手間ではないかとの理由から、試行錯誤の上、現在の方法に落ち着きました。現在の方法では14Frのスティックにプリビナを噴霧していますので、鼻腔を十分に拡張でき、挿入率も97%に達しています。

現在の方法を実施して、被検者の反応はいかがですか?

 前処置自体の苦痛に関する被検者からの聞き取り調査を実施しました。これは前処置の一つ一つのステップごとに看護師が被検者に質問し、ご回答いただいたものです。何らかの苦痛がある方で多いものは、スティック挿入時の痛み・違和感50%、キシロカインビスカスがしみる47.9%、全体を通してまったく苦痛がなかったという方は36.9%、となっています。ただ、経鼻内視鏡終了後のアンケート結果からみると前処置自体の苦痛は軽度であり、次回も経鼻内視鏡を希望される方が85%となっています。

 しかし、検査中に鼻の痛みやのどの痛み、あるいは、嘔吐反射を訴える方が約15%おられました。したがって、現在の方法も改善の余地があると考えられ、被検者への負担の少ない、より効果的な前処置を目指し工夫を重ねていく予定です。

(日経メディカル開発)