人口高齢化などの進展により「多死時代」の到来が迫る中、2012年度診療報酬改定で在宅医療に手厚い報酬が設定され、大きな注目が集まっています。しかし、在宅医療は、診療報酬のほか介護報酬、訪問看護療養費などの各制度が複雑に絡み合い、算定ルールを正確に理解するのは至難の業です。本書では在宅専門診療所のパイオニアで、数多くの在宅患者をマネジメントしてきた、たんぽぽクリニックの永井康徳氏が、現場ですぐに使える実践的な算定の「ツボ」を平易に解説します。
永井康徳 氏
1966年生まれ。愛媛大学医学部卒業後、愛媛大学医学部附属病院、自治医科大学地域医療学教室を経て、愛媛県の明浜町国保俵津診療所所長に就任。2000年に、愛媛県初の在宅医療専門診療所「たんぽぽクリニック」を松山市に開業。現在、医療法人ゆうの森の理事長として、たんぽぽクリニックを含む3診療所、訪問看護ステーション、訪問介護事業所などの運営を手がける。「患者にとって医療者の無知は罪」との考えから在宅医療従事者の教育に取り組み、全国在宅医療テストを主催している。
日本在宅医学会理事、全国在宅療養支援診療所連絡会理事。
※2013年よりテストの名称が“全国統一在宅医療テスト”から“全国在宅医療テスト”に変更になります。
問題1:訪問診療の対象について、次の中から正しいものを3つ選びなさい。
(1)介護老人保健施設に入所している人は訪問診療の対象とはならない。
(2)特別養護老人ホームに入所している人は訪問診療の対象とはならない。
(3)在宅医療の対象は「寝たきりまたはこれに準ずる状態で通院困難な者」であり、要介護度が基準とはならない。
(4)医療機関と患家の所在地が16kmを超える場合、特殊な事情がある場合を除き往診料も在宅患者訪問診療料も算定できない。
(5)障害者施設は在宅医療の対象とならない。
答え:(1)(3)(4)
問題2:在宅医療の診療報酬のうち、1人の患者に同時に算定できるものを2つ選びなさい。
(1)在宅がん医療総合診療料と在宅療養指導管理料
(2)在宅気管切開患者指導管理料と在宅人工呼吸指導管理料
(3)初診料と往診料
(4)再診料と在宅患者訪問診療料
(5)特定施設入居時等医学総合管理料と往診料
答え:(3)(5)
問題3:医療機関からの訪問リハビリについて( )の中に当てはまる言葉や数字を下のA欄の(a)〜(i)の中から選びなさい。
要介護認定者に対する訪問リハビリテーションは( ① )保険優先の原則がある。ただし、医療機関からの訪問リハビリの場合、
( ② )保険からの訪問リハビリが可能になる場合がある。具体的には、1カ月にバーセル指数またはFIMが5以上悪化し頻回な訪問が必要であると認められた患者で、(③)カ月に1回に限り診療を行った日から( ④ )日以内の期間において( ④ )日を限度として1日に( ⑤ )単位まで算定できる。
A欄
(a) 3 (b) 4 (c) 5 (d) 6 (e) 7 (f) 14 (g) 30 (h) 介護 (i) 医療
答え:①=(h) ②=(i) ③=(d) ④=(f) ⑤=(b)
INTRODUCTION
在宅医療を巡る制度の動向と2012年度診療報酬・介護報酬改定
第1章 在宅医療に関する制度の基礎知識
S 1-1保険診療上、在宅医療の対象となる患者
S 1-2在宅医療を受けられる場所
S 1-3カンファレンスでの「3つの呪文」
S 1-4訪問看護が医療保険適用となる「3つの呪文」
S 1-5厚生労働大臣が定める疾病等
S 1-6語呂合わせによる「厚生労働大臣が定める疾病等」の覚え方
S 1-7第2号被保険者が介護保険の給付対象となる特定疾病
S 1-8語呂合わせによる特定疾病の覚え方
A 1-9厚生労働大臣が定める状態等
B 1-10特定疾患と特定疾患医療受給者証
A 1-11身体障害者手帳の取得
第2章 在宅医療の診療報酬
A 2-1医療保険制度の仕組みと窓口負担
A 2-2高額療養費制度と自己負担限度額
A 2-3在宅医療の診療報酬の基本構造
S 2-4往診と訪問診療
A 2-5往診料の算定で注意すべき点
B 2-6在宅患者訪問診療料の算定で注意すべき点
A 2-7同一建物居住者の取り扱い
A 2-8同一建物居住者・同一患家についての留意事項
A 2-9在宅療養支援診療所と在宅療養支援病院
A 2-10機能強化型在支診・在支病
A 2-11在支診・在支病の連携による機能強化型の届け出
S 2-12在宅時医学総合管理料と特定施設入居時等医学総合管理料
A 2-13在医総管と特医総管の算定のポイント
A 2-14在医総管と特医総管の重症者加算
A 2-15在医総管、特医総管の在宅移行早期加算
A 2-16在医総管、特医総管に含まれる費用
A 2-17在宅がん医療総合診療料
A 2-18在宅がん医療総合診療料算定の留意事項
A 2-19自宅で看取りを行った場合の加算
B 2-20救急搬送診療料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料
A 2-21在宅療養指導管理料
C 2-22在宅自己注射指導管理料
C 2-23在宅悪性腫瘍患者指導管理料、在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料
C 2-24在宅中心静脈栄養法指導管理料
C 2-25在宅自己腹膜灌流指導管理料、在宅自己導尿指導管理料
B 2-26在宅酸素療法指導管理料、在宅気管切開患者指導管理料
C 2-27在宅人工呼吸指導管理料、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
C 2-28在宅成分栄養経管栄養法、在宅小児経管栄養法、在宅寝たきり患者処置指導管理料
C 2-29在宅療養指導管理料と併算定できない処置、注射、指導管理料
A 2-30在宅患者訪問点滴注射管理指導料、在宅患者緊急時等カンファレンス料など
B 2-31退院時共同指導料
A 2-32在宅サービスが同一日に重なる場合の対応
B 2-33病院の在宅患者受け入れのメリット、特養や老健施設への在宅医療
C 2-34対診と他医療機関受診
第3章 高齢者施設の入所者への在宅医療
S 3-1高齢者施設、住宅の種類と医師、看護師の配置
S 3-2高齢者施設、住宅での在宅関連報酬の算定
C 3-3特養、老健施設などの入所者への医療提供
A 3-4有料老人ホームの入居者への医療提供
A 3-5サービス付き高齢者向け住宅の入居者への医療提供
A 3-6ショートステイ、グループホームなどの利用者への医療提供
第4章 訪問看護に対する報酬
S 4-1訪問看護に対する報酬
A 4-2主治医の指示書発行に対する報酬
A 4-3訪問看護、訪問リハビリテーション指示書の要件
C 4-4訪問看護の診療報酬、介護報酬
B 4-5訪問看護関連の点数の対象疾患、状態
A 4-6訪問看護の回数と提供時間
B 4-7長時間訪問看護加算、複数名訪問看護加算
B 4-8在宅移行管理加算、特別管理加算
A 4-9在宅ターミナルケア加算、訪問看護ターミナルケア療養費
B 4-1024時間対応体制加算、24時間連絡体制加算、緊急時訪問看護加算
C 4-11在宅患者連携指導加算、在宅患者緊急時等カンファレンス加算
B 4-12退院時共同指導加算
B 4-13外泊時、退院日の訪問看護
C 4-14訪問看護情報提供療養費、乳幼児(幼児)加算、専門的な訪問看護の評価
C 4-15早朝・夜間・深夜の訪問看護への加算、サービス提供体制強化加算
B 4-16初回加算、看護・介護職員連携強化加算
B 4-17訪問看護における点滴・注射、送迎の扱い
A 4-18高齢者住宅での訪問看護の扱い、医療材料の費用の請求
A 4-19訪問看護の算定制限など
B 4-20訪問看護と訪問リハビリテーションの併算定
第5章 訪問リハビリテーションに対する報酬・その他
A 5-1訪問リハビリテーションの概要
A 5-2訪問リハビリテーションの対象者
C 5-3訪問リハビリテーションの報酬
B 5-4訪問介護のサービス提供責任者と連携した場合の加算など
B 5-5短期集中リハビリテーション実施加算、サービス提供体制強化加算など
B 5-6訪問リハビリテーションの報酬の算定制限
B 5-7居宅介護支援に対する報酬
B 5-8あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの療養費
A 5-9薬局の薬剤師による訪問薬剤指導
A 5-10医師の居宅療養管理指導、介護職員による医療行為
A 5-11居宅での死亡診断の法的問題