皮膚の表面から見えない血管を探して、注射針を刺して血液を採取する――。医師になって、まずぶち当たる壁といえば、採血ができるかどうかです。患者さんに痛みを伴う処置である上、うまくいったかどうかが瞬時に誰にでも分かるので、医師免許取り立ての研修医にとっては、大きな関門です。

 今は、赤い色を付けた液体が循環するシミュレーターもあるみたいですが、私が医師になった1995年頃には、もちろんそのようなものはなく、研修医同士で採血の練習をし合ったものです。おかげで皆、肘の内側に内出血斑があるという、なんともイケてない光景ではありましたが…。

 もちろん、採血をするのにドキドキする時期は、1年も経つと過ぎ去ります。後は、皆それぞれのテクニックを駆使しながら、高齢の方や極度の肥満の方、子どもなど、一般的に採血が容易ではない患者さんの採血も、難なくこなせるようになります。

 時を同じくして、大学病院では研修医の仕事だった採血は、出張先の国公立病院や私立病院では看護師の仕事になり、医師は採血の指示を出すことと、結果を判読して治療を行っていくことがメインの業務になっていきます。

医師にとっての採血、薬剤師にとっての調剤の画像

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