No.1 長年の謎「WPW症候群（ケント束）の起源」に解答？ 同症候群と心房細動の関連示す所見も確認

古川哲史（2011/05/16 11:54）

藤田さまへ　　コメントありがとうございます。NotchやTbx2の遺伝子検索は可能です。また、次世代型シークエンサーの簡易版（廉価でrunnning costも安価）が今年の秋には発売されると

藤田さまへ　　コメントありがとうございます。NotchやTbx2の遺伝子検索は可能です。また、次世代型シークエンサーの簡易版（廉価でrunnning costも安価）が今年の秋には発売されると聞いていますので、さらに容易にできるようになると思います。　　政府の掲げているロードマップでは、2020年までに日本人20~200万人の全ゲノムシークエンスを行う予定のようですので、今後は藤田さまの考えているような情報をもとに、個別化医療（オーダーメイド医療）の時代に突入すると思います。

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古川哲史（2011/05/16 11:47）

岡本洋介さまへ　　臨床の先生に確認いただきありがとうございます。中隔は不明ですが、左側と右側はどうもTbx2とTbx3がカギを握る遺伝子のようなので、これらを調べてみると面白いかもしれませんね

岡本洋介さまへ　　臨床の先生に確認いただきありがとうございます。中隔は不明ですが、左側と右側はどうもTbx2とTbx3がカギを握る遺伝子のようなので、これらを調べてみると面白いかもしれませんね。

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藤田（2011/05/16 08:40）

毎週アブレーションを行っている11年目の臨床医です。副伝導路の発生原因にNotchやTbx2が関連していることは大変興味深いと思っております。そこで、ご質問ですが、NotchやTbx2の遺伝子

毎週アブレーションを行っている11年目の臨床医です。副伝導路の発生原因にNotchやTbx2が関連していることは大変興味深いと思っております。そこで、ご質問ですが、NotchやTbx2の遺伝子検索は可能でしょうか？遺伝子異常の有無と焼灼結果との関連を調べることができれば面白いと思うのですが。。。

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古川哲史（2011/05/16 11:54）

藤田さまへ　　コメントありがとうございます。NotchやTbx2の遺伝子検索は可能です。また、次世代型シークエンサーの簡易版（廉価でrunnning costも安価）が今年の秋には発売されると

藤田さまへ　　コメントありがとうございます。NotchやTbx2の遺伝子検索は可能です。また、次世代型シークエンサーの簡易版（廉価でrunnning costも安価）が今年の秋には発売されると聞いていますので、さらに容易にできるようになると思います。　　政府の掲げているロードマップでは、2020年までに日本人20~200万人の全ゲノムシークエンスを行う予定のようですので、今後は藤田さまの考えているような情報をもとに、個別化医療（オーダーメイド医療）の時代に突入すると思います。

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古川哲史（2011/05/16 11:47）

岡本洋介さまへ　　臨床の先生に確認いただきありがとうございます。中隔は不明ですが、左側と右側はどうもTbx2とTbx3がカギを握る遺伝子のようなので、これらを調べてみると面白いかもしれませんね

岡本洋介さまへ　　臨床の先生に確認いただきありがとうございます。中隔は不明ですが、左側と右側はどうもTbx2とTbx3がカギを握る遺伝子のようなので、これらを調べてみると面白いかもしれませんね。

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藤田（2011/05/16 08:40）

毎週アブレーションを行っている11年目の臨床医です。副伝導路の発生原因にNotchやTbx2が関連していることは大変興味深いと思っております。そこで、ご質問ですが、NotchやTbx2の遺伝子

毎週アブレーションを行っている11年目の臨床医です。副伝導路の発生原因にNotchやTbx2が関連していることは大変興味深いと思っております。そこで、ご質問ですが、NotchやTbx2の遺伝子検索は可能でしょうか？遺伝子異常の有無と焼灼結果との関連を調べることができれば面白いと思うのですが。。。

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岡本　洋介（2011/05/13 14:23）

古川先生、先日コメントさせていただいた岡本です。臨床の先生に伺ったところ、WPW症候群ではケント束は左にできることが多いそうなので、心房細動も左房由来が多いということでした。今回のTbx2につ

古川先生、先日コメントさせていただいた岡本です。臨床の先生に伺ったところ、WPW症候群ではケント束は左にできることが多いそうなので、心房細動も左房由来が多いということでした。今回のTbx2についての研究の重要性が改めて認識させられます。一方でこの先生はケント束の発生学的な由来は永遠の謎だと思っていたようで、今回の記事にたいへん興味を持たれておられました。ケント束は大まかに言って、左側にできる場合と、中隔にできる場合と、右側にできる場合に分けられるそうですが、それぞれに寄与する遺伝子がわかるとおもしろいなぁ、とのことでした。

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古川哲史（2011/05/11 18:15）

岡本洋介さま コメントありがとうございます。 心室型のMlc2vでドライブしたNICDで心房に不整脈が起こること、などは確かに不思議です。 WPW症候群に合併した心房細動が左房あるいは右房起源

岡本洋介さま コメントありがとうございます。 心室型のMlc2vでドライブしたNICDで心房に不整脈が起こること、などは確かに不思議です。 WPW症候群に合併した心房細動が左房あるいは右房起源かは、ぜひ臨床の先生に聞いてみたいところですね。

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古川哲史（2011/05/11 18:03）

ひよっこさま　　コメントありがとうございます。今回の論文でNOTCHを胎児期から発現させるとWPWにAFが合併するので、 (1)やはり同じ発生段階の臨界期によるもの、 (2)ケント束ができるこ

ひよっこさま　　コメントありがとうございます。今回の論文でNOTCHを胎児期から発現させるとWPWにAFが合併するので、 (1)やはり同じ発生段階の臨界期によるもの、 (2)ケント束ができることによる伝導の変化の後天的影響?? などが可能性があるように思いますが、これに関してはこれからの課題ではないでしょうか？

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古川哲史（2011/05/11 16:57）

岡川浩人様、どうもありがとうございます。やっぱり、心臓の発生を研究されていた方なのですね。自分は、発生は全く素人で最近Margaret Kirbyが書いたcardiac development

岡川浩人様、どうもありがとうございます。やっぱり、心臓の発生を研究されていた方なのですね。自分は、発生は全く素人で最近Margaret Kirbyが書いたcardiac developmentというテキストを読んで勉強しただけです。 ●それによると、heart tubeはマウスのE10.5では完全にepicardiumで覆われ、EMTもE11.5では起こるように書かれているので、それを信じて比較的早いと理解しています。 ●心臓の内皮細胞や心外膜細胞は中胚葉由来なのですね。誤解していました。どうもありがとうございます。

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岡本　洋介（2011/05/11 04:01）

●基礎の大学院生です。臨床経験は研修医の期間だけです。不整脈の研究をしています。今回、不整脈と発生学という、最近のトピックではあっても非常に難解で、とっつきにくかったテーマを平易に解説していた

●基礎の大学院生です。臨床経験は研修医の期間だけです。不整脈の研究をしています。今回、不整脈と発生学という、最近のトピックではあっても非常に難解で、とっつきにくかったテーマを平易に解説していただき、大変感銘を受けました。前もって古川先生の解説を読むことで、僕には難しいこれらの論文を読み始めることができ、現在の不整脈研究の最先端に触れることができました。また、Cre-loxP システムを使って複数の系統の遺伝子改変マウスをつくり、電位感受性色素による電位マッピングで心臓興奮の時間経緯をチェックし、1つの遺伝子についてこれでもかというほど多角的に解析するという、世界のレベルの高さに衝撃を受けました。●特に興味深かった点をそれぞれの論文について1つずつ挙げますと、論文1では、心室のマーカーであるMlc2v のCre をドライバーとしてNICD をノックインしたのに、心房性の不整脈が増えたこと。論文2では、やはり、Tbx2 のノックアウトでは左に限局して異常伝導路が形成されるのが気になります。というのは、動物モデルでは心電図所見と合わせて、不整脈が発生してくる場所が、より重要なポイントになってくると思うからです。●例えば、1つ素朴な疑問なんですが、臨床上、WPW 症候群に合併する心房細動は、左心房由来と、右心房由来のどちらが多いんでしょう？●不整脈の起源と、紹介された論文にあるような遺伝的背景とが対応していてくれると、アブレーションや外科手術などの侵襲的な治療も、患者さんの遺伝子情報をもとに、より高い精度で、より安全に、より簡単に、より有効にできるかもしれないと、論文を読んで考えさせられました。

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ひよっこ（2011/05/10 20:10）

循環器内科医大学院生です。分かりやすい解説をありがとうございました。個人的には、WPW症候群、いやAV nodeにアポトーシスやEMTが関与しているというのも驚きで、何だか生まれつき何か電気回

循環器内科医大学院生です。分かりやすい解説をありがとうございました。個人的には、WPW症候群、いやAV nodeにアポトーシスやEMTが関与しているというのも驚きで、何だか生まれつき何か電気回路が「残存」したり、蛇行しているイメージだけでした。遺伝子制御だったのか！とうかがうと、何だかすっきりです。このご紹介から、NOTCH受容体というところを介して、WPWに合併するAFが、同じ発生段階の「臨界」によるものなのか？後天的にNOTCH受容体切断蛋白があるのか？（アルツハイマーの仮説のように）という疑問が湧いてきました。

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岡川浩人（2011/04/29 21:51）

ご丁寧なお返事ありがとうございました。先生もご指摘のように、房室管部分の細胞の由来ですが、大きく心内膜側と心外膜側があります。従来は、内膜側からのものが注目されており、その時期はtubular

ご丁寧なお返事ありがとうございました。先生もご指摘のように、房室管部分の細胞の由来ですが、大きく心内膜側と心外膜側があります。従来は、内膜側からのものが注目されており、その時期はtubular heartからlooping heartの時期と理解しておりました。鶏ならばHamberger-Hamilton stageの14?、マウスで8.5ED、ラットで11EDあたりかと思います。必ずしも明確に対応できないのと記憶が多少あやふやなので、間違っていたら申し訳ありません。この段階では、心内膜・流出路のcardiac jelly内には細胞は存在せず、その後、心内膜細胞がEMTしてjelly内に遊走してjellyを満たし、cushion組織を構成します。このあたりの研究は、サウスカロライナ州立医科大学のRoger R Markwald、 Yukiko Sugi、大阪市立大学の中島先生他多くの研究者の報告があります。その後、心外膜側から房室管・流出路のcushion組織に分布する細胞群（Epicardial derived cells）について注目されるようになり、心内膜と同様に心外膜細胞にEMTが起こり、遊走するとされています。これらの細胞群が平滑筋や繊維芽細胞に分化し、刺激伝導系にも関係しているのではないか？というあたりまでが、私の存じている範囲です。以上の、心外膜が重要という説はオランダのGittenberger-de Groot、Poelmann、スペインの Jose Pomelasらあたりだったと記憶しています。ただ、この心外膜からのEMTの時期ですが、looping stageが完了した後に心臓が心外膜に覆われ、その後と理解していたのですが、もっと早い時期に起こっていたのでしょうか？不勉強で申し訳ありません。　　以上より、先生のご指摘のように、今回の論文は心外膜側からのEMTと、それにより分布した細胞群によるものと思います。ただ、時期に関してはtubular heartの時期よりも、もっと後期ではないかと思うのですが。　　また、EMTで外胚葉系が中胚葉系へと直接分化するのかというご質問ですが、心臓の組織は中胚葉の心臓発生領域から遊走する細胞により構成されるので、内皮細胞・心筋細胞・線維芽細胞・心外膜細胞すべて中胚葉と理解しておりました。間違っていたらすいません。私の関わった領域は心内膜側からのEMTのみですが、我々の認識では内膜細胞の特徴（PECAMなどのマーカーを発現し、内腔に面して敷居状に分布する）を喪失し、間葉系細胞の特徴（αSMAなどの間葉系細胞のマーカーを発現し、紡錘状の形態で、collagen gelの中を遊走する）を発現することがEMTと理解しておりました。

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古川哲史（2011/04/29 11:14）

●（3）EMTには、proepicardiumから遊走しepicardiumに生着した上皮細胞から比較的早期に起こるEMTと、岡川さんがご指摘された内皮細胞からcardiac jerryの中で

●（3）EMTには、proepicardiumから遊走しepicardiumに生着した上皮細胞から比較的早期に起こるEMTと、岡川さんがご指摘された内皮細胞からcardiac jerryの中で比較的後期に起こるEMTがあると思います。いずれのEMTにもTGFファミリーが関与しますが、上皮側でのEMT（前者）はBMP2が、内皮側でのEMT（後者）はTGFbeta3が関与すると言われています。ここでは、2番目の論文のFigure 7で示されているようにBMP2が関与すること、および岡川さんがコメントされたように、時期から見て前者のEMTが想定されます。ケント束は、上皮側からのEMTによりできた心外膜側房室間の線維組織や脂肪組織の中を走る筋束ということなのだと思います。　　●（4）図1は分かりやすくするつもりで経時的に書きましたが、かえって誤解を生じてしまったかもしれません。EMT後の間葉系の細胞がアポトーシスして、線維芽細胞等に置換するということではありません。アポトーシスと線維化は同時期に起こるものの、独立した事象と考えられます。AV canal myocardiumがアポトーシスを起こし、そこに上皮側からのEMTによりできた線維芽細胞がほぼ同時に侵入してくる、というイメージです。　　●（5）「EMTの段階で線維芽細胞系の細胞等へと既に分化しているのでは？」とのコメントですが、逆に教えていただけますか？　小生は、EMTは外胚葉系に分化した細胞が、時間は短いかもしれませんが一度未分化状態（EMTでは間葉系細胞）に戻ってから、中胚葉系の線維芽細胞、脂肪細胞、心筋細胞などに分化していくものと理解していました。つまりiPS細胞が線維芽細胞から一度多分化能の状態に戻り、神経など別の胚葉へも変化できるように。EMTの段階で既に線維芽細胞等になっているとすると、外胚葉の細胞が直接中胚葉の細胞に変化するということになるので、胚葉を超えた変化が起こることになります。最近では、induced cardiomyocytesのように、そのような可能性もゼロではないと言われていますが、EMTでは直接上皮細胞から線維芽細胞へと胚葉のバリアを乗り越えて変化するものなのでしょうか？

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古川哲史（2011/04/29 10:42）

岡川浩人様へ、コメントありがとうございます。コメントから、発生にかない詳しい方とお見受けします。小生、専門は電気生理で発生はテキストで勉強しただけの“若葉マーク”ですので、発生研究者からコメン

岡川浩人様へ、コメントありがとうございます。コメントから、発生にかない詳しい方とお見受けします。小生、専門は電気生理で発生はテキストで勉強しただけの“若葉マーク”ですので、発生研究者からコメントをいただけると理解が深まり、心強いです。コメントに対するレスポンスです。　　●（1）図1のシェーマですが、確かに円筒状心臓の中身は空洞です。このシェーマではそこが確かに分かりづらいですね。次回から工夫してみます。ご指摘ありがとうございます。　　●（2）円筒状心臓のAV canalですが、円筒状心臓は流入路から、sinus venosus→common atrial chamber→AV canal→left ventricle→right ventricle→conotruncus（outflow tract）　が存在します。図で色分けしたのは、単に分かりやすくするためで、そのようなはっきりした構造があることを意味しているわけではありません。組織学的には区別できないかもしれませんが、機能的に伝導の遅いAV canalと呼ばれる細胞集団があるということが、示したいことでした。（読みやすくするために、編集部で2つに分割しました。以下、後半に続く）

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岡川浩人（2011/04/28 10:59）

図１のシェーマがよく理解できません。tubular heartは文字通り土管のような管のはずですが、シェーマでは内腔まで埋まっているようにみえます。壁の一部を模式化したというのであれば理解でき

図１のシェーマがよく理解できません。tubular heartは文字通り土管のような管のはずですが、シェーマでは内腔まで埋まっているようにみえます。壁の一部を模式化したというのであれば理解できますが。 また、tubular heartの時期にはAV canalというようなはっきりとした構造はないと思います。内皮（上皮細胞）が一層、心筋細胞が一層でその間はcardiac jellyと称される細胞成分を含まないぶよぶよの構造です。もっと後期になってからEMTがおこり、内皮細胞から間葉系の細胞が分化してどんどんとそのjellyの部分に埋まっていって、AV cushionを構成します。その後アポトーシスが進行して弁や房室間の構造が構成されていくと思いますが？また、EMT後の間葉系の細胞がアポトーシスして線維芽細胞等に置換するかは？です。EMTの段階で線維芽細胞系の細胞等へと既に分化しているのではないでしょうか？

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