裁判官になって、間もなく32年経ちます。これまで裁判所での裁判実務の勤務としては、大阪地裁を振り出しに、函館地家裁、京都地裁、神戸地裁尼崎支部、大阪高裁、大阪地裁、京都地裁、大阪家裁で勤務し、現在は徳島地家裁所長をしています。刑事の経験は函館地家裁にいた3年、家裁の経験は大阪家裁にいた3年半だけであり、ほかは民事事件を担当してきました。
 この連載で取り上げる医療訴訟は、民事に関するものです。医療訴訟は、裁判官になった当初から経験していますが、本格的に医療訴訟を担当したのは、2007年から大阪地裁の医事部に勤務した時のことです。
 大阪地裁での医療訴訟で最も印象に残っているのは――というより、これまでの裁判官生活の中で最も印象に残っているのは――2010年3月に判決を出した、奈良県の大淀病院の事件です。

32年の裁判官生活で最も印象に残った医療訴訟の画像

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