ある日の午後の外来。電子カルテの画面に表示された予約患者さん一覧の中に、見覚えのある名前を見つけました。見覚えはあるものの思い出せず……。「誰だっけ?」と気になりながら外来を続けていました。

 その患者さんの順番になっても、やっぱり思い出せないまま。小学生の男の子です。「知り合いの子供さんだったかな?」と考えましたが、その苗字の知り合いはいません。
 本人が入ってきても、見たことがない顔。声にも聞き覚えがありません。
 「今日はどうされましたか」と尋ねると、付き添いのおばあちゃんが「転んであちこち擦りむいて怪我をしたんです」と答えました。

「どうってことないんだけどさ、これくらい」。口を尖らせる男の子の表情を見た瞬間、あっ!と思いました。私は、彼が赤ちゃんだった頃を知っていたのです。 彼は私が小児科で研修していた時の患者さんで、当時、生後7カ月でした。色白で、真ん丸に太って、7カ月児とは思えないほど重たい赤ちゃん。喘息で入院していましたが、母親がネグレクト気味だったことと、喘息もなかなか良くならなかったことで入院が長引き、回転の速い小児科病棟では“一番の古顔”でした。

研修医時代の「息子」との再会の画像