手術を受けることを家族に伝えるのも忘れていた。何かのついでに電話で連絡したら、みんなえらく驚いていた。なんだか申し訳なくなって、「ごめんね」と謝り、息子には伝えないようにお願いした。これから心配事はいくらでも降ってくる。それまではたとえささやかであっても心配事は少ない方がいい。今日と同じように元気でいてほしい。失敗したら立ち上がってほしい。幸せになってほしい。僕が彼に会って幸せとなっているように。

 手術の前日。手を振って幼稚園へ行こうとした息子に、ちょっとハグをしてみた。すると、ふざけてじゃれついてきた。お互いにくすぐったかった。
「愛しているよ」
 僕が照れながら言うと、まだその意味もよくわかっていない幼稚園児の息子は全く恥ずかしげもなく、「愛しているよ」と返してきた。
「手術の日だけ来てくれればいい」と妻には伝えた。いつも通り、息子を迎えに行って、いつも通り、「お父さんはこれから当直」と言っておけばいいのだから。
 手術は明日だ。でも明日のこの時間には終わって

手術前の患者の気分を実感の画像