『アウトブレイク』
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマン、ドナルド・サザーランド
公開年:1995年
時間:129分
発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ

 冬が近づくと毎年のように新型インフルエンザの話題が上る。タミフル、ラピアクタといった抗ウイルス薬が効かず、病原性の高いウイルスが突然現れたら、流通や人の交流が頻繁な現代社会では、簡単にパンデミックを起こすだろう。

 1995年に封切られた『アウトブレイク』は、当時大評判になったノンフィクション『ホット・ゾーン』(リチャード・ブレストン著、小学館文庫=絶版)で扱われたエボラ出血熱を題材に、強い伝染力と高い死亡率を持つ未知の病原体に立ち向かう研究者の姿を描いている。

 米陸軍感染症研究所(USAMRIID)のレベル4(最高警戒度)研究チームのリーダー、サム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)は、指揮官のフォード准将(モーガン・フリーマン)に命じられ、アフリカの小さな村に派遣された。そこで彼は、村人たちが、未知のウイルスによって皮膚が腫れ、消化管や鼻腔などから出血を起こして次々と死ぬのを目の当たりにする。サムは米国でも広がることを懸念し警戒態勢をとるように軍に進言するが却下される。さらに“モターバ・ウイルス”と名付けられたこの病原体の研究もなぜか禁止されてしまう。

 その後、カリフォルニア州のシーダー・クリークで謎の感染症が発生する。症状はサムがアフリカで目撃したものと同じだった。急速に蔓延する殺人ウイルスに、全米はパニックに陥る。サムは軍の命令で研究から外されるが、米疾病対策センター(CDC)で働く別れた妻のロビー(レネ・ルッソ)と共に治療法の研究と感染ルートの特定に取りかかる。

 そんな中、陸軍から提供された血清をウイルスに感染した猿に投与したところ、劇的な効果を見た。なぜ、新型ウイルスなのに効いたのか―。モターバ・ウイルスは60年代のアフリカでの局地戦で陸軍幹部のマクリントック少将(ドナルド・サザーランド)によって採取され、生物兵器として利用するため保管されていたのだ。

 しかも、ウイルスは突然変異を遂げていた。猿を回復させた血清は人間には効かない。血清を得るためには最初にウイルスをもたらした自然宿主が必要だ。サムたちは、それがアフリカで密猟され、シーダー・クリークで森に放された猿であることを突き止める。ここからストーリーは一転、アクション映画の様相を見せ始める…。

 切羽詰まったサスペンス映画なのに、ところどころダスティン・ホフマンがしゃべるジョークにクスリとさせられる。彼がアクションシーンを演じるのも珍しいのではないだろうか。

 この映画の題材となったエボラ出血熱のウイルスは、76年にスーダンで高熱と消化管、鼻腔などからの出血で死亡した男性から発見された。その後、アフリカ中央部を中心に突発的な流行を繰り返している。自然宿主の特定に至っておらずワクチンも開発されていない。有効な治療法はなく、対症療法のみである。現実の医学の世界は「映画のようにはうまくはいかない」ようだ。

column
モターバ・ウイルスを密かに生物兵器として保管していたマクリントック少将を演じるドナルド・サザーランドは、朝鮮戦争の野戦病院を舞台にしたコメディー映画『マッシュ』(1970年)でハチャメチャな外科医を演じている。マクリントックは彼のなれの果てか。


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