聖路加国際病院血液内科部長 岡田 定氏●おかだ さだむ氏 1981年大阪医大卒。聖路加国際病院で内科研修。昭和大藤が丘病院血液内科を経て、1993年から現職。(2012年6月現在)

─本書を執筆されたきっかけは。
【岡田】血算(CBC:complete bloodcount)は臨床検査の中でも最も基本的な検査です。この血算の見方を身に付けることが臨床医にとって大切なことだと私は考えています。しかしこれまで、血算の読み方を網羅的に解説した本はありませんでした。

 聖路加国際病院の内科は、血液、感染症、循環器、消化器など14の専門科が1つの内科にまとまっています。私は当院で20年近く1人で血液内科を担当していました。そのため、血算異常がある患者を、専門分野の枠を超えて診る機会が多くありました。

 さらに当院はレジデント教育にも注力しており、毎月1〜2回の血液内科の教育カンファレンスを行っています。その経験から、意外に血算の情報が読み取られていないことを知りました。

 データはあっても、数値を表面的に見るだけでは意味がありません。若い医師だけではなく、日々の診療で血算を扱う臨床医や、検査技師の方にも血算の見方やその結果を生かしてどう鑑別診断をするかを知ってもらえたらと考え、執筆しました。

誰も教えてくれなかった 血算の読み方・考え方
岡田定/著 4200円(税込み) 医学書院 ISBN978-4-260-01325-3 B5判、185ページ

─鑑別のポイントが簡潔にまとめてありますね。
【岡田】正確さを重視した学術書ではなく、目の前にいるレジデントへの講義をイメージして作成しました。読者からは「分かりやすく、学生でも読める内容だ」とよく言われます。この本を読むことで必要なポイントを頭に入れて、実際の臨床現場で血算のデータを瞬間的に鑑別診断に生かす能力を養ってほしいと思っています。

─病院ごとに血算基準値が異なるといった話題も提供しています。
【岡田】大抵の病院は、健常と思われるスタッフや人間ドックの患者のデータを基に基準値を決めています。そのため、病院によって基準値が大きく異なることも少なくありません。

 患者だけでなく医療者も、基準値という概念を誤解している印象があります。血液の値はダイナミックに動くので、基準値の数字だけにとらわれないようにする視点が必要です。経過の中で血算の推移から正しい情報を抽出し、病歴や身体所見、他の検査所見と総合的に考える診断力を高めてほしいと思います。(聞き手:加納 亜子)


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