久保クリニック(和歌山市)院長 久保裕氏●くぼ ひろし氏 1951年栃木県生まれ。和歌山県立医大卒。89年にコンピューター通信を利用した「オンライン・ぜんそく友の会」を創設。93〜99年「喘息デー」事務局を務める。99年に開業。(2011年9月現在)

─本書を執筆されたきっかけは。
【久保】喘息の薬物治療はこの10年で格段に進歩しましたが、昔ながらの治療を受けている患者がたくさんいます。第1選択薬の吸入ステロイド薬ではなく、経口テオフィリン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬、ツロブテロール貼付薬などが大量に使われています。

 日本は他の先進国に比べて吸入ステロイド薬の普及率が低く、特に小児においてその傾向が著しいといえます。患者向けに吸入ステロイド薬治療を中心とした最新治療を広く紹介したい。それが本書を書いた理由です。

 患者に読んでもらうために、ガイドラインの解説書のような網羅的な内容にせず、「重要なことだけを明快に」説明することにこだわりました。患者向けですが、臨床医の方にも日常診療に役立ててもらえるのではないでしょうか。

─吸入ステロイド薬と長時間作用型β刺激薬(LABA)の配合剤から治療を開始することを勧めています。
【久保】理由は単純です。開業医の場合、初診時に喘息患者の重症度を正確に判断するのは難しく、アンダートリートメントになる恐れがあります。吸入ステロイド薬とLABAの合剤を使用すると、その日から症状が消失もしくは改善します。

 一方、吸入ステロイド薬単剤から始める方法では、改善するまでに数週間のタイムラグが生じる可能性があり、苦痛が続いてしまいます。

喘息の超(ウルトラ)コントロール法久保裕著 1400 円+税 メディカルトリビューン ISBN978-4-89589-366-4 A5判、173ページ

─ご自身も重い喘息に苦しんだとのことですが。
【久保】私が喘息を発症したのは2歳の時です。当時は効く薬がなかなかなくて、ボスミンやネオフィリンの注射を打つのですが、眠れない夜が1週間続くといったことがよくありました。喘息に効果があるといわれていた治療は何でも試しました。

 大学生の時、メジヘラーイソを使いすぎて危険な状態に陥ったこともあります。喘息が遠因で自然気胸や肺炎を何度も起こした結果、慢性呼吸不全になりました。現在は酸素吸入をしながら、週3日だけ外来診療を続けています。

 吸入ステロイド薬が全てを解決してくれるとは思いませんが、臨床医の多くが吸入ステロイド薬の使用方法を正確に理解し、自信を持って処方する時代が早く来ることを願っています。(聞き手:野村 和博)


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