
重要キーワード解説
2008. 4. 7
PRoFESS試験
PRoFESS(Prevention Regimen for Effectively avoiding Second Stroke trial)は、脳卒中再発予防の評価を目的とした臨床試験である。脳卒中再発予防の標準的治療である抗血小板療法2種類の評価と、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の上乗せ効果を検討した。世界35カ国の脳卒中患者2万人超を対象とした世界最大規模の臨床試験である。
表1 PRoFESS試験の評価項目
抗血小板薬としては、徐放性ジピリダモールとアスピリンの合剤をクロピドグレルと比較、ARBとしては、テルミサルタンの投与/非投与を比較した。抗血小板療法の2群は、双方とも新規の治療法であり、どちらの優越性が示されるのか注目されている。テルミサルタンはPPAR-γ活性化作用を併せ持つなど、特徴的なARBであり、併用群の成績にも関心が注がれている。
主要評価項目は「全脳卒中の再発」。本邦で発売されているARBについて、脳卒中再発予防を主要評価項目に掲げた初の臨床試験である(表1)。試験自体は既に終了しており、最終結果は2008年5月にフランス・ニースで開催される欧州脳卒中学会(ESC2008)で報告される予定となっている。
表2 登録基準に定められた危険因子(少なくとも2つ以上を有すること)
試験デザインとして「2×2(Two by Two)」と呼ぶ方式を採用、2種類の抗血小板療法の比較とテルミサルタン投与/非投与の比較を同時に実施した。登録患者を約5000人ずつの4群に分け、一方の2群には、抗血小板療法として、徐放性ジピリダモール/アスピリン合剤を投与し、もう一方の2群はクロピドグレル投与群とした。さらに、各々の抗血小板薬を投与した2群の一方にテルミサルタンを投与し、一方は非投与とした(図1)。
各実薬の投与量は、徐放性ジピリダモール200mg、アスピリン25mg、クロピドグレル75mg、テルミサルタン80mgである。
表3 患者背景(1)
登録患者の3割超がアジア人
PRoFESSの登録期間は2003年9月から2006年7月(日本では2006年3月〜同年7月)であり、最長4年間追跡された。
登録基準は、(1)登録前90日以内に虚血性脳卒中を発症し、臨床的に安定している年齢55歳以上の患者、または(2)登録前90〜120日に虚血性脳卒中を発症し、臨床的に安定している年齢50〜54歳の患者とされ、(1)(2)それぞれにおいて少なくとも2つ以上の危険因子を有するハイリスク患者が登録された(表2)。
患者は、日本を含む世界の35カ国・695施設から2万333例が登録された。そのうちアジア人が32.7%と、この種の大規模国際臨床試験の中では極めて多い(表3)。アジア人の中では中国人が全体の18.0%と最多で、日本人は約200例、1.1%を占める。全体では白人/欧州人が57.3%と最も多く、アジア人はそれに次ぐ。
表4 患者背景(2)
登録患者の病態をみると、大血管アテローム硬化症が28.5%、ラクナ梗塞が52.1%で、大血管アテローム硬化症の比率が一見、低く感じられる。しかし、PRoFESS試験で用いられている脳卒中病態分類であるTOAST(Trial of ORG 10172 in Acute Stroke)は、大血管アテローム硬化症と判断する基準が厳しいのが特徴で、おそらくは日本の現状に近い病態構成だと思われる。なお、登録患者の2割弱は登録時以前に脳卒中の既往があった。
表5 PRoFESS試験で計画されている各種サブスタディー
一方、合併症(既往)では、高血圧が73.8%と非常に多く、脂質異常症が46.6%、糖尿病は28.1%を占めた。ベースラインにおける投薬は、スタチンが47.2%と最多であり、以下、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の47.2%、Ca拮抗薬24.2%の順だった(表4)。
PRoFESS試験では多彩なサブスタディーがあらかじめ計画され、進められている(表5)。認知機能の低下抑制について検討する試験や、ベースラインと2年目に血液サンプルを採取して実施する血液マーカーおよび遺伝子分析試験などが実施されており、順次、成果が明らかになる予定だ。...
(日経メディカル別冊)






