米国では、糖尿病患者の飼い主の低血糖や高血糖を知らせる糖尿病アラート犬の活用が始まっている。同国・Uni-versity of VirginiaのJaclyn Shepard氏は、アラート犬の判断の正確性を検証した結果を発表した。2014件の低血糖または高血糖のエピソード中、アラート犬が異常を正しく知らせた率は54.4%と良好だったが、犬による差が大きいことも明らかになった。

 Shepard氏は今回、アラート犬を飼っている18人のT1DM患者(うち14人は2〜15歳の小児患者)の協力を得て、本人または家族に、毎日の自己血糖測定(SMBG)値、測定時刻、測定時にアラート犬が異常を知らせていたかを記録してもらった。測定時に90mg/dL未満ならば低血糖、200mg/dL超であれば高血糖と定義した。アラート犬は計18匹だった。

 その結果、低血糖または高血糖(計2014件)の際に異常を正しく知らせた率(的中率)は54.4%だった。低血糖(584件)では65.6%、高血糖(1430件)では52.1%だった。これらの的中率は、SMBG時に低血糖または高血糖だったのにアラート犬が異常を知らせなかった告知失敗率よりも有意に高率だった(いずれもP<0.0005)。しかし、低血糖または高血糖の的中率は犬によって39.0〜73.3%、低血糖では33.3〜100%などと大きな差を認めた。また、高血糖の的中率は夜間(47.6%)よりも昼間(66.3%)の方が高率だった。低血糖については差は見られなかった。

 アラート犬が異常を知らせたエピソードの68.6%は、SMBG値も異常域(90未満または200mg/dL超)にあり、血糖値は至適域(90〜200mg/dL)でアラート犬の判断が間違っていた率(31.4%)との間には、有意差が見られた(P<0.0005)。

 これらの結果からShepard氏は、「アラート犬による告知の的中率は良好だったが、犬による個体差も大きかった。的中率を高める科学的で客観的な方法の開発や個体差の原因究明が不可欠だ」と指摘した。

 また同じグループのLinda Gonder-Frederick氏は、アラート犬の訓練を行っている13団体を対象にした聞き取り調査の結果をまとめた。

 訓練期間は1〜13年(平均4.6年)、トレーナー数は1〜8人(平均4.3人)、現在訓練中のアラート犬は2〜175匹(平均27.9匹)、患者に提供されるアラート犬は年間1〜100匹以上(平均27.8匹)、費用は1000〜3万ドル(平均1万2429ドル)、アラート犬になる月齢は2〜24カ月(平均19.1カ月)など、団体による差が見られた。また訓練の内容や患者提供後のサポート体制も大きく異なっていた。

 同氏は「アラート犬の訓練に対する規制や標準的な訓練法がなく、顧客への対応内容も様々だった」とした。