糖尿病患者において米飯の前に肉や魚を摂取すると、先に米飯を摂取する場合に比べて食後の血糖上昇は抑制されるが、先に食べる食品が魚か肉かによって小腸からのインクレチン分泌パターンは異なり、肉の場合はグルカゴン様ペプチド(GLP)-1だけでなくグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)分泌も強く促進されることが分かった。GIPは脂肪蓄積作用があることから、この機序により肉類摂取による肥満助長を説明できる可能性があるという。関西電力病院(大阪市福島区)の矢部大介氏らが報告した。

 DPP-4阻害薬の薬理作用は小腸から分泌される内因性のインクレチンに依存するため、その血糖降下作用は患者の食事内容の影響を受ける。矢部氏らの検討でも、魚の摂取量が多いとDPP-4阻害薬によるHbA1cの低下幅が大きくなる負の相関が認められた。

 そこで今回、未治療のT2DM患者(15例)を対象に、魚と米飯の食べる順番が食後の血糖上昇に影響を及ぼすか、クロスオーバー法による検討を行った。その結果、先に魚(サバ水煮缶詰、220kcal)を食べ15分後に米飯(240kcal)を食べた場合、その逆の順番で食べた場合に比べ、食後の血糖上昇は有意に抑制されていた。

 魚を先に食べた方が血中GLP-1濃度は有意に高値となり、胃内容物の排出時間も有意に遅延したことから、魚に含まれる成分によってGLP-1の分泌が促進されたためと考えられた。一方、GIPも魚を先に食べた方が有意に上昇したが、その程度は軽度だった。

 また、魚を肉(鉄板焼きの牛肉、220kcal)に置き換えた検討でも、同様に米飯より肉を先に食べた方が、食後の血糖上昇は有意に抑制された。だが、魚を先に食べた場合と異なり、GLP-1の分泌促進だけでなくGIPの分泌も強く促進されていた。

 肉と魚では脂肪酸の構成比が大きく異なり、魚に多く含まれる多価不飽和脂肪酸はGIP分泌を刺激せず、肉に多く含まれる一価不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸はGIP分泌を促進することが知られている。肉の摂取でGIPの血中濃度が増加したのはそのためと考えられるが、GIPには脂肪蓄積促進作用がある。もともと脂肪を多く含む肉を摂取し、さらにGIPによって脂肪蓄積が促進されれば、体重増加は避けられない。

 「今回の結果は、肉の摂取と肥満との関連を説明する知見の1つと言えるだろう。またDPP-4阻害薬はGIPの作用を高めることから、同薬剤を処方している患者に対しては、食事指導の内容にも注意すべきと考えられる」と矢部氏は指摘している。