スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は心血管リスク低減の観点から、有効性と安全性がともに認められている。しかし、主に筋骨格系有害事象のために、実臨床ではスタチン不耐性を示す患者が10〜20%に上る。これらの患者に対する有効なLDL-C低下療法は確立されておらず、いわば“アンメット・メディカル・ニーズ”である。今回、そうした患者における抗PCSK9モノクローナル抗体薬evolocumabの有用性を検討した臨床試験GAUSS-2の成績を、オランダAcademic Medical CenterのErik Stroes氏らが報告した。

 同試験は多施設、無作為化、二重盲検化の第3相臨床試験として実施された。対象としたのは、少なくとも2剤のスタチンに不耐性を示した高コレステロール血症患者307例。これらの患者をevolocumab 2週投与群(evolocumab 140mgの2週ごと皮下注+プラセボの1日1回経口投与、103例)、evolocumab毎月投与群(evolocumab 420mgの毎月皮下注+プラセボの1日1回経口投与、102例)、エゼチミブ2週投与群(エゼチミブ10mgの1日1回経口投与+プラセボの2週ごと皮下注、51例)、エゼチミブ毎月投与群(エゼチミブ10mgの1日1回経口投与+プラセボの毎月皮下注、51例)の4群に、2対2対1対1となるように無作為に割り付けた。

 患者背景を見るといずれの群も、年齢は約60歳、男女比はほぼ半々、白人が9割以上だった。NCEP(National Cholesterol Education Program)リスク分類は高リスクが51〜67%を占め、不耐性を示すスタチンについては、3剤以上が半分を超えていた。また、脂質指標はLDL-Cが192〜195mg/dL、ApoBが133〜140mg/dLなどだった。

 複合主要評価項目は試験開始時からのLDL-Cの変化率とした(10週と12週の平均値と12週値の2種類で評価)。12週値で見ると、エゼチミブ2週投与群が−18%、evolocumab 2週投与群が−56%、エゼチミブ毎月投与群が−15%、evolocumab毎月投与群が−53%だった。

 また、evolocumab 2週投与群はエゼチミブ2週投与群に比べ、平均値だと−37%、12週値だと−38%、それぞれ低下していた。さらに、evolocumab 毎月投与群はエゼチミブ毎月投与群に比べ、平均値で−39%、12週値でも−38%のさらなる低下が確認された。

 副次評価項目は、試験開始時からの他の脂質指標の変化率とLCL-C目標値の達成率だった。2週投与群で比較すると、evolocumab群はエゼチミブ群に比べ、ApoBは−33%、Lp(a)は−25%、トリグリセリドは2%、HDLコレステロールは4%、ApoA-Iは4%。一方、毎月投与群で同様に比較すると、それぞれ−33%、−28%、−5%、5%、2%だった。

 LDL-C目標値の達成率を見ると、evolocumab群では高かったがエゼチミブ群では低く、両者の差は著しかった。例えば、治療目標値が100mg/dL未満の高リスク群だと、evolocumab 2週投与群は77%、同毎月投与群は76%だったのに対し、エゼチミブ2週投与群は7%、同毎月投与群は4%だった。

 有害事象として、evolocumab治療下においてエゼチミブと比べ問題となるものはなかった。また、認知神経学的有害事象の発現や抗evolocumab抗体の形成は1例もなかった。筋肉痛はエゼチミブ治療下が18%、evolocumab治療下が8%と、evolocumabによるLDL-C低下の作用機序がスタチンとは異なる可能性が示唆された。

 こうした一連の結果を基にStroes氏は、「evolocumabによるLDL-C低下作用がエゼチミブよりも強いことと、いずれの投与群でも効果が同等であることが示唆された」と述べた。さらに、「長期成績の検証という課題は残されているものの、高いLDL-C低下作用と良好な忍容性を併せ持つevolocumabは、スタチン不耐性のハイリスクな高コレステロール血症患者に対する有効な治療法になり得る」と結論した。