予後や心機能、腎機能を改善
 ASV療法の有用性は、様々な指標で検討されている。予後に関しては、中等症以上の睡眠呼吸障害(SDB)を合併している心不全群、軽症のSDB合併か合併していない心不全群のどちらでも、死亡と心不全入院の複合イベントが有意に減少していた(図2)。SDBの有無にかかわらず、ASV療法は慢性心不全患者に有効な治療法だと理解できる。これ以外にも左室駆出率(LVEF)、心不全マーカーのBNP、心臓交感神経活動(MIBG)、腎機能などで評価され、その効果が報告されている。

図2●ASV療法による慢性心不全患者の予後改善効果
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 それでは、治療時間はどの程度必要なのか─。エビデンスはまだないが、目安として1日当たり1時間以上が挙げられる。ASVの使用時間別に心イベント回避率やLVEFで評価すると、いずれも1時間以上の群(平均2.2時間)で有意な効果が得られたためだ(図3)。使用時間に関しては、持ち越し効果がある、すなわち仮に1時間使用すると1時間プラスアルファの時間効果が発揮されると考えられている。しかし、その詳細ははっきりとしていないため、今はなるべく長く続けるよう指導するのが望ましいようだ。

図3●ASVの使用時間別に見た慢性心不全の改善効果
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 治療の時間帯は必ずしも夜間である必要はない。小山氏は「ASV療法を日中実施しても夜間実施しても効果に大差ない。従って、いつ使ってもよいと理解してほしい」と説明する。

 患者に勧める際は、脱落させずに継続させられるかが重要になる。「無呼吸を治療する機械」ではなく「呼吸をサポートする機械」と説明するようにしたところ、治療継続率が高まったとのことだ。導入時の心理的なハードルを下げるため、小山氏は「30分間でもいい」と話している。短時間だと効果が少ない可能性もあるが、やがて使用時間が長くなるので問題はないという。

 また小山氏は、「交感神経抑制が慢性心不全治療のポイントの1つと考えられるので、ASV療法をぜひ検討してほしい」と訴えている。