出血リスクを1点でも下げる努力を
 mHAS-BLEDスコアについても検証を行った。図2は重大な出血イベントの発症率を、mHAS-BLEDスコア別に示したものだ。ワルファリン群、非ワルファリン群のいずれも、点数が上がるにつれ、重大な出血イベントの発症率は有意に増加した。0点に対する重大な出血イベント発症のORは、ワルファリン群においては2点が3.12(P=0.01)、3点以上が8.09(P<0.0001)で、いずれも有意に増加した。非ワルファリン群でも3点以上では有意に増加した(OR12.56、P=0.02)。

図2●重大な出血の発症率
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 ワルファリンに代わる新規経口抗凝固薬の登場で、抗凝固療法を積極的に行い脳梗塞の発症を防ごうという機運は高まっている。しかし奥村氏は、「HAS-BLEDスコアが3点以上の患者に抗凝固療法を行う際には出血リスクに十分に注意する必要がある。1点でも2点でもリスクを下げる努力が求められる」と指摘する。

 HAS-BLEDスコアの中で、点数を下げることが可能なのは「高血圧」と「薬剤(抗血小板薬の使用)」の2つだ。「その他、高齢者の場合は腎機能を悪くしないように脱水に注意し、アルコールの常用もやめるように指導するとよいだろう」と奥村氏はアドバイスする。

 冠動脈疾患でステント治療を行った患者には、抗血小板薬が必要となるが、その約10%には心房細動があるとされる。この場合に抗凝固薬を併用すると、さらに出血リスクが高まる。

 奥村氏は、「エビデンスはないが、個人的には1年以上症状が安定していれば抗血小板薬は切ってもよいと考える。薬剤溶出性ステント(DES)の場合も、2剤併用はできるだけ短期間にすべきだろう」と話している。

(出典:Okamura K,et al.Circ J.2014 in Press. Doi: http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-14-0144、表1〜2、図1〜2)