2010年の欧州心臓病学会(ESC)のガイドラインでは、新たな脳梗塞発症リスクの評価法としてCHA2DS2-VAScスコアが、また出血リスクの評価法としてHAS-BLEDスコアが導入された。これらの評価法は日本人でも使えることが、J-RHYTHM Registryに登録された多数例の解析によって示された。


 「CHADS2スコアによる評価では、0点の患者の中に抗凝固療法を必要とする患者が含まれてしまい、“真の低リスク群”の層別化が難しかった。CHA2DS2-VAScスコアを使えば、こうした問題が解消できることが日本人のデータでも検証された」と話すのは、弘前大学循環呼吸腎臓内科学教授の奥村謙氏だ。

 同氏らは、J-RHYTHM Registryに登録された非弁膜症性心房細動患者7384人を対象に、CHA2DS2-VAScとHAS-BLEDスコアが日本人でも使用できるかどうかを検証した。

 7384人の対象者のうちワルファリン治療を受けていたのは6387人(ワルファリン群)、受けていなかったのは997人(非ワルファリン群)だった。

 CHA2DS2-VAScスコアではCHADS2スコアのリスク項目に、「血管疾患」(心筋梗塞の既往、末梢動脈疾患、大動脈プラーク)、「年齢」(65〜74歳)、「性別」(女性)の3つが新たに加えられた。また「年齢75歳以上」は1点から2点に引き上げられた。

 今回の解析では、CHA2DS2-VAScスコアの「高血圧」を収縮期血圧(SBP)140mmHg以上に、「血管疾患」を冠動脈疾患に置き換えた変更CHA2DS2-VAScスコア(mCHA2DS2-VAScスコア)を用いた(表1)。同様に、HAS-BLEDスコアについても、「高血圧」をSBP140mmHg以上、「不安定なINR」をINRが3.5以上のエピソードに、「薬剤」を抗血小板薬の使用に置き換えた変更HAS-BLEDスコア(mHAS-BLEDスコア)で解析した(表2)。

表1●変更CHA2DS2-VAScスコアの算出方式
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表2●変更HAS-BLEDスコアの算出方式
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