ステロイド依存例の治療には、免疫調整薬(AZA/6MP)が推奨されている。渡辺氏は、重症例の約45%にAZA/6MPを使用しており、「AZA/6MPで長期間コントロールできている患者も少なくない。ステロイド依存例では、これらを恐れずに使うことが重要だ」と強調する。

 しかし、白血球減少などの副作用があるためAZA/6MPが適切に使用されず、その結果、ステロイドを中止できずに長期使用されている例も少なくないという。「投与量を少量から開始して調整すれば、AZA/6MPの副作用を減らすことができ、安全に使用することが可能だ」(渡辺氏)。

 寛解維持療法も基本は5-ASAになる。経口薬か、局所治療薬(座薬や注腸薬)の単独投与または併用を行う。難治例では原則としてAZA/6MPを用いるが、TNFα阻害薬で寛解導入した場合は、それらを継続してもよい。

 渡辺氏は、「どうしても目先の症状の改善にとらわれて強い薬を使いがちだが、患者の治療は長期に及ぶことを考え、まずは長年使用されて安全性が確立された、安価な既存薬を適切に使いこなすことが重要だ」と訴える。

手術時年齢は高齢化
癌合併に注意し定期的な検査を

 東北大学の遠藤氏のデータにも見られたように、生物学的製剤による内科治療の進展によって、潰瘍性大腸炎の手術回避率は向上している。

兵庫医科大学の池内浩基氏

 しかし、第10回日本消化管学会の発表では、「潰瘍性大腸炎患者の手術年齢の高齢化と癌合併例の増加」を指摘する報告もあった。兵庫医科大学炎症性疾患外科主任教授の池内浩基氏らは、潰瘍性大腸炎の内科的治療の進歩による同科の手術症例の変化を調べた。

 対象は、2012年12月までに同科で手術を行った潰瘍性大腸炎患者1441人。手術時期によって、5-ASAやステロイドによる治療が主だった1999年以前を「前期群」(333人)、血球成分除去療法が登場した2000〜08年を「中期群」(766人)、タクロリムスやTNFα阻害薬が承認された09年以降を「後期群」(342人)とし、3期に分けて分析を行った。

 その結果、ステロイド総投与量は前期群1万4000咾ら後期群9600咾悗噺詐し、免疫調整薬(9.9%から48.8%へ)、血球成分除去療法の併用(20.4%から55.3%へ)、インフリキシマブの使用(0%から12.3%へ)は、いずれも増加していた(前期群と後期群間で全てP<0.01)。