再燃や手術を繰り返し、病気が進行していくことが多いクローン病とは異なり、潰瘍性大腸炎は、寛解導入後に再発しないケースも少なくない。東京医科歯科大学の渡辺氏は、「潰瘍性大腸炎患者の約7割は軽症例。5-ASA製剤などの既存薬で、十分に寛解に導ける。安易にTNFα阻害薬などの強い薬を使わずに、専門家のコンセンサスを得て研究班が作成した治療指針に従った治療を心掛けてほしい」と訴える。

7割は軽症、標準薬は5-ASA
治療指針に従い基本治療の見直しを

図4●潰瘍性大腸炎の治療フローチャート
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 図4は、治療指針に基づく潰瘍性大腸炎の治療フローチャートだ。これを見ても分かるように、治療の標準薬は5-ASAとなっている。「5-ASAは、寛解導入効果だけでなく寛解維持効果もあり、きちんと内服すれば85%の患者は寛解が維持されるというデータもある」と渡辺氏。また、投与量を増やすと効果が高まることが明らかになっており、「5-ASAを十分量、十分な期間使うことが治療の基本となる」とも言う。

 経口薬(商品名ペンタサ錠、アサコール錠、サラゾピリン錠ほか)に加え、局所療法として座薬(ペンタサ座薬、サラゾピリン座薬)、注腸薬(ペンタサ注腸ほか)があり、改善が見られなければ、病型によって製剤を変更または追加する。しかし、患者の約3割は中等度以上で、5-ASAが無効であればステロイド治療が必要となってくる。

 治療指針では、ステロイドが効かないステロイド抵抗例と、減量すると再燃するステロイド依存例を難治例とし、それぞれについて異なる治療法を推奨している(図5)。渡辺氏は、「難治例の場合でも、タクロリムスやTNFα阻害薬を必要とする患者はごく一部。適切な症例に慎重に使うべき」と話す。

図5●潰瘍性大腸炎難治例の治療
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