短期的手術回避率は、インフリキシマブ投与群、タクロリムス投与群のいずれも約8割と高かった。しかし、「タクロリムス投与群は保険適用が認められている3カ月で中止した後に再燃率が増加した」(遠藤氏、図2)。図3は、タクロリムス投与でいったん炎症は収まったが、投与中止後2カ月で再燃した29歳男性の症例だ。

図2●インフリキシマブとタクロリムスの累積非再燃率(遠藤氏による)
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図3●タクロリムス中止後に早期に再燃した症例(遠藤氏による)
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 タクロリムスとインフリキシマブを、どのように使い分けるかについては、厚生労働省の研究班主導で無作為比較試験が始まったところで、今のところ一致した見解は示されていない。遠藤氏は、「今回の検討からは、タクロリムスはステロイド抵抗例、重症例などで、切れの良い効果が期待できると考えられる。ただし、3カ月で中止した後の再燃例の予測が課題だ。一方、インフリキシマブは、寛解後も継続使用が可能で、長期成績も良好だった。ステロイド依存例やAZA/6MPが無効・不耐例などに適しているのではないか」と話す。

 インフリキシマブについては、寛解後に維持療法をどこまで続けるべきかが今後の焦点となるだろう。「クローン病では投与をやめない方が予後が良いとされるが、潰瘍性大腸炎では、寛解後に投与を中止しても再燃しない可能性がある」と遠藤氏は話している。