学問的な知識だけでなく臨床技術を習得し、内科医と外科医が協力しながら診療に当たるべき──。今学術集会の会長を務めた竹之下誠一氏に、学会プログラムの企画意図と、これからの臨床医のあるべき姿を語ってもらった。


竹之下 誠一氏
福島県立医科大学器官制御外科学講座主任教授

──今年の学術集会のメインテーマを「知と技の融合」にされました。その狙いからお話しいただけますか。

竹之下 今年は第10回の記念大会に当たり、外科が担当するのは2回目でした。外科と言えば「技」ですが、消化管領域の内科の先生も内視鏡をされる方が多く、やはり「技」が必要です。もちろん、学問という意味では内科、外科を問わず、「知」が求められます。その臨床医が持つ「技」を学問が裏打ちするという狙いで設定しました。

 内科と外科の「技」は最近オーバーラップしてきています。内科が内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で早期胃癌の切除を行うことは珍しくなく、外科手術は腹腔鏡を用いて低侵襲化の方向に進んでいます。消化管領域だと、腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)のように、まさしく外科と内科が一緒に手術をするケースも出てきました。それぞれの領域を円に例えると、だんだん重なるところが増えていって、端のわずかに重ならない部分がそれぞれの専門領域となっていくかもしれません。

 内科が担当した後、外科に紹介するというように、「自分たちはこれだけやったから後はお願いする」という時代ではなくなってきていると思います。最初から協力しながら診療した方が患者さんにとって望ましいわけですし、学問的にもそういう方向に変わりつつあります。将来的には、内科、外科という診療科目の縦割りはなくなり、疾患領域別になる可能性があるのではないでしょうか。手術に限らず、内視鏡や画像診断など様々なところで医師に「技」が求められる場面が増えており、今後は科目によらず、「知」と「技」を併せ持つ必要があると考えています。

学術集会ポスター
(*クリックすると拡大表示します)

──ポスター(上)は、テーマを踏まえてデザインされたと聞きました。

竹之下 ポスターの背景は「しぶき氷」です。冬も凍ることがない猪苗代湖の波しぶきが湖岸の樹木に繰り返しかかることで形作られる氷で、まさしく芸術です。これは、確固たる「知識」を柱として、少しずつ継続的に形成する「技術」が融合していく様子を象徴しているように思います。そこで、異なる分野の多面的な知識と技術が融合し、新たなる発想を生じることを願って、このようなポスターを作成しました。