ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ)除菌後の胃癌は、早期胃癌全体の中では少ないとされる。しかし、2013年2月にピロリ除菌の保険適用が拡大されたこともあり、除菌療法の普及に伴い除菌後胃癌が増加する可能性がある。

 そこで、京都府立医科大学消化器内科の間嶋淳氏らは、同病院で10年1月から12年12月までに内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した早期胃癌症例のうち、除菌から1年以降に発見された除菌後胃癌15症例17病変の特徴などについて検討を行った。

 除菌後胃癌の患者の平均年齢は66.4歳で、7.5対1で男性が多かった。除菌理由は胃潰瘍(7例)、早期胃癌内視鏡治療後(6例)が多く、それ以外は慢性胃炎(1例)、十二指腸潰瘍(1例)など。除菌から胃癌発見までの期間は平均4.8年。5年以内の発見が70%だったが、10年以降での発見も見られた。

 図1は、除菌成功後から胃癌の発見までの期間と、腫瘍径との関連を見たものだ。「除菌後胃癌の多くは腫瘍径20mm以下だったが、中には30mm以上のものもあった」と間嶋氏。図中の数字は、最後の胃内視鏡検査から胃癌発見までの期間(月)を示す。20mm以下の症例は最長でも13カ月であり、多くの症例ではフォロー間隔が1年以内だったが、腫瘍径が大きい症例はフォロー間隔が30カ月以上と長い傾向にあった。間嶋氏は「少なくとも、ガイドラインでいう絶対適応病変の状態で除菌後胃癌を拾い上げるためには、1〜2年に一度は胃内視鏡によるフォローが必要かもしれない」と語った。

図1●除菌後胃癌の発見までの期間と腫瘍径
(*画像をクリックすると拡大表示します)

 次に、除菌後胃癌(15症例17病変)と同時期にESDを施行したピロリ陽性胃癌(33症例34病変)の2群について、内視鏡像を比較検討した。

 その結果、平均腫瘍径は、ピロリ陽性胃癌が17.1mm、除菌後胃癌が14.5mmで、除菌後胃癌の方がやや小さい傾向が見られた。肉眼型では除菌後胃癌の方が陥凹型の割合が多い傾向が見られた。組織型は全例が分化型だった。

 病変部位は、ピロリ陽性胃癌はM領域とL領域に多く、噴門近くのU領域には少なかった。一方、除菌後胃癌は全ての領域に同じように発生しており、ピロリ陽性胃癌と比べると、U領域の発生が多かった(図2)。

図2 ●病変部位
(*画像をクリックすると拡大表示します)

 この結果について間嶋氏は、「除菌によりU領域の慢性炎症が改善して発見が容易になったことや、あるいは除菌によりピロリ以外の未知の要因による癌が増加し、それがU領域での発生につながっていることなどが考えられる。今後は、初発癌と二次癌に分けて、さらなる検討を行いたい」と語った。