病院内での放射線の被曝線量を科目・職種別に解析したところ、研修医は消化器内科医や循環器内科医より少ないものの、消化器外科医などより多かった。これは、筑波記念病院(茨城県つくば市)消化器内科の池澤和人氏らが、院内で被曝線量を比較したところ明らかになったもの。

 放射線被曝は少なければ少ないほどよいが、診療科目や職種によっては日常診療における被曝が避けられない。消化器内科の場合、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの検査は、一般的なX線検査に比べ透視時間が長いため、池澤氏らは実態調査を試みた。

 調査対象は、消化器内科医4人、消化器外科医6人、循環器内科医5人、他科(整形外科など)の常勤医9人、研修医16人、消化器内視鏡検査に従事する看護師8人の計48人。線量計は蛍光ガラス線量計や電子ポケット線量計などを用い、2012年度の年間被曝線量を測定した。なお、就業期間が1年未満の場合は、就労月数を基に年間量に換算した。

 その結果、1年間の被曝線量は消化器内科医が1275μSV、消化器外科医が551μSV、循環器内科医が1060μSV、他科の常勤医が197μSV、研修医が640μSV、看護師が27μSVだった。

 医療関係者に対する放射線の実効線量限度は、5年間で100mSV未満、1年間で50mSV未満、女性は3カ月で5mSV未満などと定められているが、いずれの科目・職種もこれらの基準を遵守できていた。

 ただし、研修医の被曝線量は比較的高く、中には2500μSVを超える研修医がいた。その理由として池澤氏は、ERCPなどを実施しているときに熱意のあまり患者に近寄ってしまう、患者から近距離での業務が多い、被曝に関する知識や認識に乏しい─ことなどが考えられると述べた。一方、消化器内視鏡検査に従事する看護師が低値であったのは、線源から距離を取っているためと推測した。

 今回の結果を踏まえ池澤氏は、「被曝線量をなるべく軽減するために、透視は確実かつ速やかに行うことと、線源からの距離を少しでも取ることをさらに徹底すべき」と語った。また研修医に対しては、年度途中の入職であっても、指導医や放射線管理者が十分なオリエンテーションを行うことが必要との考えを示した。