佐藤整形外科(東京都江戸川区)院長の佐藤公一氏は、2001年に分院を開設する際、全身用DXA(dual-energy X-ray absorptiometry)の導入に踏み切った。1000万円以上する高額な装置だが、「患者の骨密度が若年成人平均値(YAM)の何%に相当するかが明確になり、治療薬を問わず治療を継続していけば、約半年で2〜3%の骨密度上昇が確認できる」と語る。腰椎は1年間で約3割の骨が入れ替わることから、治療開始早期から効果判定に有用であり、定期的な測定を行えば個々の患者に適した治療薬の選択も容易になる。受診患者の治療継続率は約8割と高く、「治療効果を実感しやすいためか、治療継続率が上昇している印象を持っている」(佐藤氏)。

数値上昇は骨折のサインであることも
 患者の状態にもよるが、DXAの計測は4〜6カ月に1回。佐藤氏が印象に残っている患者として挙げるのは72歳女性だ(症例)。橈骨遠位端骨折の既往があり、治療を継続するも、なかなか骨密度が上がらなかった。ところが、治療薬を変更していないにもかかわらず、4カ月後に突然DXAが72%YAMから80%YAMに上昇、スキャンデータを確認したところ第3腰椎の上縁に骨硬化像があり、骨折が疑われた。腰椎単純X線を撮影したところ第3腰椎の骨折が確認された。

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 「急激な数値の上昇や減少は、何らかの異常のサイン。測定結果の数値に加えて、スキャンデータで測定椎体や骨棘などの骨硬化像、骨折の有無をこまめに確認する必要がある」と佐藤氏は強調する。

 2012年、原発性骨粗鬆症の診断基準が改訂され、(1)椎体または大腿骨近位部の脆弱性骨折がある場合、(2)その他の部位の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満の場合、(3)脆弱性骨折はないものの骨密度がYAMの70%または−2.5SD以下の場合─に原発性骨粗鬆症と診断すると定義された。

 診断基準の注記には「形態椎体骨折のうち、3分の 2は無症候性であることに留意するとともに、鑑別診断の観点からも脊椎X線像を確認することが望ましい」「骨密度は原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度とする」と書かれている。

 佐藤氏は、「診断基準に腰椎または大腿骨近位部で骨密度を計測するよう記されており、不確かな診断の結果、患者さんに重大な不利益が生じた場合には、訴訟を起こされるリスクもあるだろう。高齢化が進み、骨粗鬆症患者がさらに増加すると予想される中で、全身用DXAの導入を前向きに検討してもよいのではないか」と指摘している。