日本整形外科学会は運動器の重要性を広く啓発するため、2007年にロコモティブシンドローム(以下、ロコモ:運動器の障害により、要介護であるか要介護になる危険の高まった状態を示す)の概念を提唱した。ロコモの3大原因疾患としては、骨粗鬆症とそれに関連した脆弱性骨折、変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症が挙げられる。一方、骨粗鬆症患者の転倒・骨折による寝たきりを防ぐためには、運動器全体の健康を保つことが重要になる。そこで2学会の連携をさらに強め、ロコモの普及・予防につなげようと、第15回日本骨粗鬆症学会において「超高齢社会における運動器の健康を守る意義」と題して、日本整形外科学会と日本骨粗鬆症学会の初の合同シンポジウムが開催された。

 座長を務めた江戸川病院慶友人工関節センター長の泉田良一氏が最初に登壇し、「日本整形外科学会会員のうち、日本骨粗鬆症学会に参加しているのはわずか4%にすぎない。骨粗鬆症は多領域にまたがる重要な疾患であるにもかかわらず、関心を持つ整形外科医はまだ少ない」と指摘した。骨粗鬆症は骨折の危険因子となるだけではなく、関節の変形を来し、骨脆弱性のために脊椎固定などの手術が困難になることもある。泉田氏は、海外と日本の年齢別の骨密度に関する報告を幾つかまとめて比較したところ、日本人の骨は高齢になるにつれて非常にもろく折れやすいことが明らかになったと紹介し(図)、わが国での骨粗鬆症治療の重要性を改めて強調した。

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背が縮み丸くなれば骨粗鬆症疑う
 続いて、同じく座長を務めた国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授の太田博明氏が「長寿として知られるわが国だが、女性の平均寿命と健康寿命の間には13年もの開きがある。女性の健康寿命を延ばすには現在、要支援・要介護となる原因の4分の1を占めている運動器障害の対策が重要」と述べた。骨粗鬆症患者は約1300万人に上ると推定される一方、多くが無症状で経過するため骨折を来した後の介入が多く、十分な治療効果が得られないことが問題となっている。

 健康増進法の下で行われている骨粗鬆症検診を実施している市区町村は全体の約6割にとどまっており、受診率も約5%と低い。太田氏は骨粗鬆症疑いの患者を早期に発見するポイントとして、(1)身長が以前よりも2cm以上縮んだ、(2)背中が丸くなった、(3)母方の親族に骨折歴・骨粗鬆症治療歴がある、(4)腰や背中に痛みがある─を挙げ、かかりつけ医が問診の際にこれらの点に注目し、日常診療の中で骨粗鬆症を積極的に疑うことこそが早期介入への第一歩になると訴えた。