変形性膝関節症の診療に関してはまだ議論が多い。2011年に日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会により発表された「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン」の要点を解説する。


はじめに

 日本整形外科学会(以下、JOA)の変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会は2011年に「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン」を発表した。OARSI(Osteo Arthritis Research Society International)は、国際的な変形性関節症(以下、OA)に関する学会である。JOA版のガイドラインは、OARSIが2008年に発表したOA(股関節と膝関節)に関するガイドライン(参考文献1)のうち、膝関節に関する部分を翻訳し、日本の医療実態に適合させたものである。他のガイドラインとは異なり、Clinical Questionに答える形にはなっておらず、推奨の文章とそれに対する専門家の推奨の強さと解説が記載されている。推奨は全般的なもの1項目、非薬物療法に関する11項目、薬物療法に関する8項目、手術療法に関する5項目の計25項目からなる。ガイドラインに頻出する用語、JOA版を出すに当たって変更された点、重要な推奨について以下に解説したい。

ガイドラインに頻出する用語

 エビデンスレベル(Level of Evidence:LoE、表1):研究法ごとの確かさを評価したものである。何らかの治療法の優位性を証明するには、治療群と対照群をランダムに分けた比較が必要である。

 エフェクトサイズ(Effect Size:ES):治療群と対照群の平均値の差を全体の標準偏差で割ったものである。0.8以上あれば、十分な効果があると考えられている。

 推奨の強さ(Strength of Recommendation: SOR):ある治療法や文章(ステートメント)に対し、専門家集団が推奨する程度を示している。従って、これ自身が強いエビデンスがあるわけではなく、その時点の平均的な医療のコンセンサスの程度を示していると考えられる。

日本版のための変更点について

 「日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会による検討」という章が追加されている。この章では、JOA版作成の経緯と、JOAの他のガイドラインとの整合性を取る目的で推奨グレードを追加した件について説明している。鍼灸、アセトアミノフェン、オピオイドに関する記述は、当時保険適応外であったため削除されており、JOA版では計22項目の推奨となっている。また、ヒアルロン酸関節内投与については、海外と日本での適応の違いなどについて追記されている。