ビスホスホネート製剤では多様な剤型が相次いで登場

 骨粗鬆症の標準的治療薬であるビスホスホネート製剤は、起床時に内服し、その後少なくとも30分は座位を保つ必要がある。消化管吸収率が低いことに伴うこうした服薬の煩わしさは以前から短所として指摘されてきた。そこで、投与間隔を空けて服薬コンプライアンスを高めようと、2006年に週1回製剤、2011年には4週1回製剤が発売された。ガイドラインの発行以降も、2012年5月にアレンドロン酸4週1回点滴静注製剤、2013年2月にリセドロン酸月1回経口製剤、同年3月にアレンドロン酸週1回経口ゼリー製剤、同年8月にイバンドロン酸月1回静注製剤と、相次いで多様な製剤が発売されている(図3)。

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 萩野氏は「静注製剤は確実に体内に薬効成分を届けることができる。薬が飲み込みにくい、吐き気がする、座位が維持できない、といった経口投与が困難な患者に加え、胃切除術など消化管手術を行った患者、認知症の患者、一度に内服する薬の種類が多い患者に対しても、積極的に剤型変更を検討してもよいのではないか」と指摘する。

 開発中のビスホスホネート製剤としては、米国でこのほど、朝食後に服用可能なリセドロン酸週1回徐放剤が認可された。わが国でも使用できるようになれば、服薬コンプライアンスがさらに向上すると期待される。また、現在は悪性腫瘍による高カルシウム血症と多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変が適応症であるゾレドロン酸についても、骨粗鬆症を対象に年1回投与による有効性・安全性を検証する第3相臨床試験が進行中だ。

骨折をより重視する方向に見直された薬物治療開始基準

 ガイドラインでは、原発性骨粗鬆症の薬物治療開始基準が見直されたこともポイントだ(図4)。薬物治療の目的が骨粗鬆症性骨折の予防であることを最初に明記し「脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折または椎体骨折)がある」患者は新規骨折の発生リスクが上昇することから、骨量測定の結果を問わず薬物治療を検討することとした。大腿骨近位部骨折または椎体骨折以外の脆弱性骨折がある患者についても、骨密度が若年成人平均値(YAM)80%未満であれば薬物治療を検討するとしている。

 萩野氏が脆弱性骨折の年齢別発生率を検討したところ、上腕骨近位部骨折が年齢とともに緩やかに上昇するのに対し、橈骨遠位部骨折は50〜60歳で増加し、その後は横ばいであった。椎体骨折は60歳以上から急激に増加し、大腿骨近位部骨折は75歳以上から急激に増加する(図5)。つまり、年齢とともに手や腕、脊椎、大腿骨と、より重篤な骨折を起こしやすくなるわけだ。田中氏は「今後、椎体骨折だけではなく非椎体骨折、大腿骨近位部骨折の抑制効果についても臨床試験結果を比較しながら治療薬を選択していくことが重要になるのではないか」と推測する。