骨質を捉えるための様々な画像解析手法が進歩

 骨質を形態学的に評価する、骨の微細構造の画像解析法も進歩している(表1)。骨密度測定に広く用いられているDXA(dual-energy X-ray absorptiometry)で得られたデータから微細構造を解析する海綿骨スコア(trabecular bone score:TBS)および大腿骨強度評価(hip structural analysis:HAS)といった手法は、米国やカナダで盛んに行われている。

 QCT(腰椎)またはpQCT(橈骨)による有限要素法を用いた骨強度予測評価(FEM法)は、わが国で厚生労働省が認めた先進医療になっている。適応症は「骨粗鬆症、骨変形もしくは骨腫瘍または骨腫瘍掻爬術後のもの」で、CT撮影で骨の3次元モデルを作成し、加重条件を与えて解析し、骨折のしやすさを具体的に算出する。全国5施設でのみ実施可能な検査法だが、骨粗鬆症の治療効果判定にも有用とされる。

 μCTを用いた骨梁構造の解析は、骨梁の形態、方向性、連結性をそれぞれ数値化し評価する手法で、長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター教授の伊東昌子氏を中心に研究が進んでいる。

 ハイレゾリューションCT(high resolution CT)は現在わが国では肺野の微小病変の診断に主に用いられているが、スライス厚を1〜2mmの薄さに設定して高分解能で骨微細構造を撮影し、皮質骨・海綿骨それぞれの骨密度を評価する手法である。東京大学整形外科学教授の田中栄氏は、「皮質骨と海綿骨は骨折リスク評価における重要性が異なるのではないかという説が海外では大きなトピックとなっている。骨質の評価に関する検査法はまだ保険適用となっていないが、画像解析法のさらなる進歩は、患者の症状に適した治療薬の選択を将来可能にするかもしれない」と評価する。

最新ガイドライン発行以降も治療薬の発売、開発が続く

 2011年末に発行された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版」(以下、ガイドライン)には、各薬剤の主な臨床試験結果を基に、骨粗鬆症治療薬の推奨グレード一覧が掲載された(表2)。新しく記載された薬剤としてはまず、2010年に発売された骨形成促進剤のテリパラチドが挙げられる。また、同じ年に発売されたSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)のバゼドキシフェン、2011年に発売された活性型ビタミンD3製剤のエルデカルシトールについても最新の臨床試験結果が盛り込まれている。

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 ガイドラインの発行以降も、既に複数の薬剤が登場した。2011年11月にはテリパラチド週1回皮下注射剤が発売。2010年に発売された1日1回皮下注射剤と同様に、骨密度の増加、椎体骨折・非椎体骨折の抑制効果が示されている。「テリパラチド製剤では注射後、患者に吐き気や食欲不振が見られることがある。症状に応じて制吐剤を用いるよう、患者にあらかじめ説明しておきたい」と萩野氏は話す。

 2013年6月には破骨細胞分化因子(receptor activator of nuclear factor kappa B ligand:RANKL)の完全ヒト型モノクローナル抗体製剤であるデノスマブが発売された。強力な骨吸収抑制剤で、6カ月に1回の皮下注射により、椎体骨折・非椎体骨折・大腿骨近位部骨折の発生を抑制する効果が明らかになっている。欧米では2010年に発売され、アレンドロン酸との服薬アドヒアランスを評価したDAPS(Denosumab Adherence Preference Satisfaction)試験において、アレンドロン酸よりも高いアドヒアランスが認められた。

 田中氏は「椎体骨折に加え、非椎体骨折、大腿骨近位部骨折も大きく抑制する点に注目している。副作用として低カルシウム血症が以前から指摘されているものの、頻度は比較的低い。服薬中断後、速やかに効果減退することから、半年に1回の受診を促す何らかの対策を取る必要があるだろう」との見方を示す。

 破骨細胞に特異的に発現し、骨のコラーゲン分解に関与している酵素のカテプシンKを選択的に阻害するodanacatibは第3相臨床試験が終了し、2014年の発売が見込まれている。また、骨細胞から産生され骨形成を抑制する蛋白質であるスクレロスチンを阻害する抗スクレロスチン抗体製剤が新たな骨形成促進剤として期待されており、現在海外で第3相、わが国では第2/3相臨床試験段階にある。