ここ数年、新たな作用機序の治療薬が続々と登場し、診断基準や治療ガイドラインの改訂も相次いだ。骨粗鬆症診療が様変わりしていく中で、病態の解明も進んでいる。


 骨粗鬆症は2001年に米国立衛生研究所(NIH)によって「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義された。骨強度は骨密度70%、骨質30%で説明できるとされ、骨質には骨代謝回転や微細構造が含まれる(図1)。

 「1980年代まで、骨粗鬆症自体は病気ではない、骨折が生じて初めて病気であるとする意見は専門医の中にも少なくなかった。その後、骨折リスクが増大した状態を骨粗鬆症と定義するようになり、自覚症状がなくても骨粗鬆症と診断できるようになった。骨密度の測定機器が進歩するにつれて、骨密度だけでは患者の骨折リスクの違いを十分に説明できないことも明らかになってきた」と、鳥取大学保健学科教授の萩野浩氏は振り返る。そこで登場してきたのが「骨質」という概念だ。

コラーゲン架橋の異常が骨強度の低下につながることが明らかに

 骨質は主に、骨の素材すなわち「材質」とそれによって作られた「微細構造」で規定され、多様な因子の影響を受けている(図2)。東京慈恵会医科大学整形外科学准教授の斎藤充氏らの研究で、閉経に伴うエストロゲン欠乏や加齢、生活習慣病に伴う酸化ストレスの亢進により、(1)破骨細胞の活性化、(2)骨芽細胞機能の低下、(3)コラーゲン架橋の異常─が生じ、骨強度の低下につながることが徐々に明らかになってきた。

 コラーゲン架橋の異常は、骨代謝回転の異常による骨密度低下とは独立した機序で生じると推測されており、斎藤氏は骨粗鬆症が、骨密度低下型、骨質低下型、骨密度低下+骨質低下型の3つの病型に分けられるとする。

 骨の重要な構成要素であるコラーゲンの分子間架橋の異常は、加齢や酸化ストレスによって増加する終末糖化産物(AGEs)の過形成によって生じるとされる。このため、AGEs量と正の相関を示す尿中ペントシジン値や血中ホモシステイン値を測定すれば、骨質が評価できるのではないかと期待されている。ただし、ペントシジンやホモシステインは皮膚など他の組織にも存在し、骨質のバイオマーカーとして用いるには特異性が低いことに加え、加齢に伴う数値の変動も大きく、今後のさらなる研究の進展が待たれる。