LVESVIの平均値は、治療前では形成術群が61.1mL/m2、置換術群が65.7mL/m2、1年後ではそれぞれ54.6mL/m2、60.7mL/m2だった。LVESIは治療前と1年後のいずれにおいても、またその間の変化率においても、両群間に有意差は認められなかった。

 僧帽弁逆流症(中等症、重症)の年間再発率に関しては、形成術群が32.6%、置換術群が2.3%と、前者の方が有意に高かった(P<0.001)。

 術後30日間の死亡率は形成術群が1.6%、置換術群が4.0%、年間死亡率はそれぞれ14.2%、17.6%であり、いずれも差は認められなかった(順にP=0.26、P=0.47)。また、置換術群に対する形成術群の死亡ハザード比は0.79(95%信頼区間[CI]0.42-1.47、P=0.4542)だった。

 形成術群における主要有害脳心血管イベントの置換術群に対するハザード比は0.91(95%CI 0.58-1.42、P=0.6753)と、有意な差はなかった。重篤な有害事象として、心不全による入院、心不全発症、局所的感染症、出血、僧帽弁手術の再施行、脳卒中などが認められたが、全体の発現率でも個々の発現率のいずれでも、有意な群間差はなかった。

 QOLについては、一般的な健康状態を評価するSF-12と心不全に特異的な評価法であるMLHFを用いて判定したところ、1年後における両群のスコアは同程度だった。また、NYHA心機能分類の変化にも明らかな差はなかった。

 以上の結果からAcker氏は、「1次エンドポイントだけでなく、主要有害脳心血管イベント、重篤な有害事象、QOLなどにおいても両群間で有意な差は確認されなかったものの、僧帽弁逆流症の再発リスクは弁置換術だとより低下することが示唆された。それが虚血性僧帽弁逆流症の長期予後に影響を及ぼす可能性がある」と述べた。